■第2話:次なる標的は「国一番のプレイボーイ王子」。……えっ、その口説き文句、古すぎません?
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!
魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。
どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「くっ……! なんでよ! なんで騎士団長が『踏まれたい』なんて言い出すのよ!」
ネフェルは、ハンカチを噛み締めながらモニターを睨みつけていた。
画面の中では、好子が優雅に王都のカフェでお茶をしており、その周囲をファンになった男たちが遠巻きに囲んで拝んでいる。
「あの顔は……あの顔は『ブス』なはずなのよ! イケメン神がそう言ったんだから!」
ネフェルは、震える手で次の「生贄」の資料を取り出した。
「見てなさい好子……。次こそは、あなたのその鼻っ柱をへし折ってやるわ」
「この男なら……王国の第2王子、ルカなら、きっとあなたを『勘違い女』と罵ってくれるはず!」
ルカ王子。
王都の社交界に君臨する、国一番のプレイボーイ。
その甘いマスクと巧みな話術で、落とせぬ女はいないと言われる「歩くフェロモン発生装置」である。
「行け、ルカ! その甘い毒牙で、あの生意気な小娘(私の顔)を絶望させておしまい!」
【場所:王都・貴族の庭園パーティー】
その日、王都の有力貴族が主催する大規模なガーデンパーティーが開かれていた。
色とりどりのドレスと、着飾った紳士たち。
そこへ、好子が姿を現した。
招待状? そんなものは持っていない。
だが、彼女が会場の入り口に立った瞬間、門番たちはその圧倒的なオーラ(と美貌)に気圧され、無言で道を譲ったのだ。
「ふうん。少しはマシな空気が吸えるかしら」
好子は、退屈そうにグラスを傾けた。
その時。
会場の空気が変わった。
黄色い悲鳴と共に、キラキラしたエフェクトを背負った青年が現れた。
ルカ王子である。
「やあ、麗しのレディたち。今日も美しいね」
ルカが微笑むだけで、周囲の令嬢たちがバタバタと倒れていく。
(来たわ! ルカ王子!)
神界のネフェルが拳を握る。
(さあ、あの生意気な女を見つけて! そしてコテンパンにしてやるのよ!)
ルカの視線が、会場で唯一、自分になびかない女性――好子を捉えた。
「おや……? 見慣れない花が咲いているな」
ルカは、獲物を見つけた肉食獣の目で、好子に近づいた。
【決戦! プレイボーイ VS 超・高飛車JK】
ルカは、好子の目の前に立ち、完璧な角度で微笑んだ。
「君のような美しい花を、庭師たちは隠していたようだね。僕の名はルカ。君の名を教えてくれるかい?」
ネフェルが叫ぶ。
(出た! 必殺の『甘い囁き』! 私ならこれだけで気絶してるわ!)
しかし。
好子は、ルカの顔をジロジロと見た。
上から下まで、品定めするように。
「……あなた」
好子が口を開いた。
「前髪のセットに時間かけすぎじゃない? スプレーの匂いがキツイわ」
「えっ?」
ルカの笑顔が固まる。
「それに、その口説き文句。……何時代の化石?」
好子は、心底つまらなそうにため息をついた。
「『美しい花』? 語彙力が貧困ね。幼稚園からやり直したら?」
ズガァァァァン!!(精神的ダメージ音)
ルカの膝が震えた。
生まれて初めての経験だ。自分の完璧なアプローチが、鼻で笑われた。
「そ、そんな……。僕は王子だぞ!? この国の女性は皆、僕を愛して……」
「愛して? 勘違いしないで」
好子は、ルカの胸元(高級なシルクのシャツ)を指先でツンと突いた。
「彼女たちは、あなたの『王子という肩書き』と『上辺だけの優しさ』に群がっているハエよ」
「あなた自身の中身なんて、誰も見てないわ。……まあ、見るべき中身もなさそうだけど」
「ぐふっ……!!」
ルカは、心臓を直接握り潰されたような衝撃を受けた。
図星だった。彼自身、薄々気づいていたコンプレックスを、初対面の(しかも自分と同じ顔の)少女に暴かれたのだ。
「も、もういい! 力ずくでも……!」
ルカは焦った。プライドを保つため、強引な手段に出た。
彼は好子の腕を掴み、近くの壁に押し付けた。
ドンッ!(壁ドン)
「君がどんなに強がっても、僕のこの目で見つめられれば……」
ルカが顔を近づける。
ネフェルが絶叫する。 Let's go!
(キャァァァッ! 伝説の『壁ドン』よ! これは逃げられない! もうダメだわ好子、顔を真っ赤にして腰を抜かすのよ!)
しかし。
好子は、至近距離にあるルカの顔を、冷めた目で見つめ返した。
「……ねえ」
「な、なんだい?(ドキドキ)」
「近すぎ。毛穴が開いてるわよ」
「ヒィッ!?」
ルカが飛び退いた。
「あと、歯に青のりが付いてるわ。さっきカナッペ食べたでしょ?」
「うわぁぁぁぁぁッ!!!」
ルカ王子は、顔を覆ってその場に崩れ落ちた。
完璧な王子様像が、物理的にも精神的にも粉砕された瞬間だった。
「……はぁ。期待外れね」
好子は、ハンカチで腕(ルカが触った場所)を拭きながら、蔑みの眼差しを下ろした。
「顔だけ良くても、中身がスカスカじゃ話にならないわ」
「出直してらっしゃい。……永遠にね」
好子は、カツカツとヒールを鳴らして去っていった。
後には、抜け殻となった王子と、新たな「女王」の誕生に震える貴族たちが残された。
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「…………」
ネフェルは、石化していた。
「壁ドンが……効かない……?」
「毛穴……? 青のり……?」
「なんなのあの子ォォォッ!!」
ネフェルがクッションを投げ飛ばして暴れた。
「なんで!? なんであの顔(私のコンプレックス)で、国一番の王子をゴミ屑のように扱えるのよ!?」
「私だったら……私だったら、手を握られただけで失神して、一生の思い出にするのに!」
ネフェルのプライドは、ルカ王子以上に粉々に砕け散っていた。
自分の顔が通用しないのではなく、「自分の卑屈な心」が問題なのだと、好子の行動が証明してしまっているからだ。
「くやしい……! 悔しいけど……!」
ネフェルは涙目でモニターを睨んだ。
「……かっこいいじゃない……!」
最悪なことに、ネフェル自身が少しずつ、好子の「圧倒的な強者ムーブ」に憧れ始めていた。
こうして、王都のイケメンたちが次々と「好子様親衛隊(ドM集団)」と化していく中、女神ネフェルの自己肯定感は、さらに複雑に捻じ曲がっていくのだった。
(第5弾・第2話・完)
本日もお読みいただき、ありがとうございました!
もし少しでも「面白い」「好子さんメンタル強すぎ!」と笑っていただけましたら、
ページ下部にある【☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけますと、毎日の執筆の大きな励みになります!
(ブックマークへのご登録も、大変嬉しいです!)
それでは、また次回の更新でお会いしましょう。
今後とも宜しくお願いいたします!




