■第1話:召喚されたのは「私と同じ顔」の女の子。……えっ、なんでそんなに自信満々なの?
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!
魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。
どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!
【場所:女神ネフェルの神界・「嘆きの鏡の間」】
「……うっうっ……。今日も鏡を見るのが辛い……」
薄暗い神殿の中心で、一人の女神が膝を抱えて泣いていた。
彼女の名はネフェル。
かつて、この世界の「美の神(自称イケメンだがセンスが壊滅的)」に告白し、
『は? お前みたいなブス、視界に入れるのも汚らわしいわ』
と一蹴された過去を持つ。
実際には、ネフェルは「全宇宙がひれ伏すレベルの絶世の美女」なのだが、そのトラウマと、周囲のイケメン神たちの「歪んだ美的感覚」によって、彼女は完全に自信を喪失していた。
「許さない……。私をフッたあの男……そして、この世界の勘違いイケメンたち……」
「全員、私と同じ思いをさせてやる……」
ネフェルは、異世界召喚の魔法陣を展開した。
「出てきなさい……! 私と同じ、『不遇な容姿』を持つ魂よ!」
「私と共に、イケメンどもを絶望の淵に叩き落とすのよ!」
カッッッ!!
まばゆい光と共に、魔法陣から一人の少女が現れた。
日本の女子高生、好子である。
その顔は、ネフェルと瓜二つの、息を呑むような美女だった。
「……ん?」
好子は、パチパチと瞬きをして周囲を見回した。
そして、目の前でメソメソ泣いている女神(自分と同じ顔)を見た。
「……あら。随分と趣味の悪い部屋ね」
好子は、開口一番そう言い放った。
「よ、よく来たわね、可哀想な私の片割れ……」
ネフェルが涙目で手を取ろうとする。
「辛かったでしょう? その顔のせいで、今まで男たちに虐げられてきたのね……」
「は?」
好子が眉をひそめた。
「あなた、何を言ってるの?」
好子は、懐から手鏡を取り出し、自分の顔をうっとりと眺めた。
「私は『完璧』よ」
「えっ?」
「虐げられる? 冗談じゃないわ」
好子は鼻で笑った。
「言い寄ってくる有象無象が多すぎて、『掃除(お断り)』するのが大変だっただけよ」
「は、はい……?」
ネフェルはポカンとした。
(な、何この子……? 鏡が見えてないの……?)
(私と同じ、この「地味でパッとしない顔(※超絶美女)」なのに、なんでこんなに自信満々なの!?)
ネフェルは、これは「ショックのあまり頭がおかしくなっている」のだと解釈した。
「そ、そう……。まあいいわ」
「とにかく、あなたにはこれから、この世界のイケメンたちを『誘惑して、そして残酷にフッて』欲しいの!」
「彼らを廃人にして、私の復讐を遂げてちょうだい!」
「復讐? よく分からないけど……」
好子は、髪をファサッとかき上げた。
「要するに、『身の程知らずな男たちに、現実を教えてやれ』ってことね?」
「それなら得意よ。私の趣味だもの」
好子の瞳が、サディスティックに輝いた。
「いいわ。やってあげる」
「ただし、私の眼鏡に叶うイケメンなんて、この世界にいるのかしら?」
【場所:王都・中央広場】
ネフェルは、好子を地上の王都へと転送した。
(ふふふ……。見てなさい、あの自信過剰な態度がいつまで続くか……)
(きっとすぐに、イケメン騎士団に「ブス!」と罵られて泣いて帰ってくるわ……)
しかし。
「おお……! なんだあの美女は!?」
「女神か!? いや、天使か!?」
好子が歩くだけで、道行く男たちが次々と足を止め、魅了されていく。
彼女の美貌は、異世界でも圧倒的だった。
そこへ、白馬に乗った近衛騎士団長(自称イケメン)が現れた。
金髪碧眼、キラキラのエフェクトを背負った、典型的な王子様系だ。
「やあ、そこの美しい子猫ちゃん」
騎士団長が、キザにウインクをして馬から降りた。
「僕の名はナルシス。君のような花には、僕のような水が必要だと思わないかい?」
神界のモニターで見ていたネフェルが悲鳴を上げる。
(で、出たァァァッ! 王都一のイケメン騎士! 私が「靴磨き係」にも採用されなかった相手よ!)
(ああっ、好子ちゃんが傷つくわ! 「邪魔だドブス」って言われるわ!)
しかし。
好子は、騎士団長を「ゴミを見る目」で見下ろした。
「……何?」
好子の声は、絶対零度だった。
「え?」
騎士団長の笑顔が凍りつく。
「気安く話しかけないでくれる?」
好子は、ハンカチで口元を覆った。
「その安っぽい鎧、成金趣味の馬、そして何より……」
好子は、騎士団長の顔を指差して吐き捨てた。
「その『中途半端な顔』で、私の視界に入らないで」
ズガァァァァン!!(精神的ダメージ音)
「ちゅ、中途半端……!?」
「ぼ、僕が……!? 王都一の僕が……!?」
「あなたいつ鏡見たの? 10年前?」
「私の隣を歩くなら、せめてあと3回くらい転生して出直してらっしゃい」
好子は、騎士団長を空気のように無視してスタスタと歩き去った。
「あ……あぁ……」
騎士団長は、その場に崩れ落ちた。
プライドを粉々に粉砕され、白く燃え尽きた。
「ぼ、僕じゃ……釣り合わないのか……」
「美しい……。あの冷徹な眼差し……踏まれたい……」
騎士団長は、一瞬で「ドMの廃人」へとジョブチェンジした。
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「う、嘘でしょォォォッ!?」
ネフェルは、モニターの前で絶叫した。
「なんで!? なんであの騎士が落ち込んでるの!?」
「あいつ、私には『息をするな』って言ったのよ!?」
「好子ちゃん……あの子、なんなの!?」
「私と同じ顔なのに……なんであそこまで『上から目線』でいられるのよォォッ!!」
ネフェルは、成功を喜ぶどころか、激しい敗北感に打ちひしがれていた。
「私って……何?」
こうして、
「最強の自己肯定感を持つJK」による、イケメン撲滅(という名の選別)の旅が始まった。
そして、それを見守る女神ネフェルの胃が、キリキリと痛み始めたのだった。
(第5弾・第1話・完)
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