■第13話:ついに国王からの召喚! ……えっ、私を「愛人(2位以下)」にする気?
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
『困った神様シリーズ』第5弾、本日も更新です!
魔法もチートも使わない、圧倒的な「自己肯定感」と「ド正論」による異世界蹂躙劇。
どうぞ、リラックスしてお楽しみくださいませ!
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「キタァァァァァッ!! ついに、ついに『国家権力のトップ』よ!!」
女神ネフェルは、モニターの前で特製ペンライトを両手に持ち、荒い息を吐いていた。
「王都の有力な男たちを次々と廃人(あるいは熱狂的ファン)にしてきた好子様を、とうとう国王が危険視して王城に呼び出したわ!」
「でも、あの好色で傲慢な国王のことだから、どうせ好子様の美貌を見て下心丸出しにするに決まってるわ! さあ、王国の頂点に立つ男のプライドを、どうやってへし折るのかしら!?」
ネフェルは、もはや「神」ではなく、完全に「アリーナ最前列のオタク」の顔で画面に噛り付いていた。
【場所:王都・王城「謁見の間」】
豪華絢爛な謁見の間。
高い天井に輝くシャンデリア、床に敷き詰められた真紅の絨毯。
その最奥、一段高い玉座に座っているのは、恰幅の良い中年の国王と、その隣に静かに座る王妃だった。
周囲には、近衛兵や貴族たちがズラリと並んでいる(その中には、好子に論破されて以来、姿勢が異常に良くなった武闘団長ガレンの姿もあった)。
「……面を上げよ、好子とやら」
国王が、偉ぶった声で顎をしゃくった。
しかし、好子はそもそも最初から一度も頭を下げておらず、真っ直ぐに国王を見据えて立っていた。
「ほぅ……。噂に違わぬ、いや、それ以上の美貌だな」
国王の目が、好子の姿を舐め回すように動いた。その瞳には、一国の主としての威厳よりも、明らかな「欲望」がギラついている。
「我が愚息(ルカ王子)や、優秀な臣下たちを次々とたぶらかした罪……本来なら極刑に値する」
国王は、ニヤリと下品な笑みを浮かべた。
「だが、余は寛大だ。その類稀なる美貌に免じて、罪を許してやろう。……どうだ? 余の『寵妃(愛人)』にならぬか?」
周囲の貴族たちがざわめいた。
隣に座る王妃の顔が、僅かに苦痛に歪む。
「余の女になれば、王都で一番の屋敷と、最高の宝石を与えよう。どんな男よりも大きな権力で、お前を甘やかしてやるぞ。光栄に思うがいい!」
国王は、自分の提案が絶対に断られないと信じきっていた。何せ、相手は一国の王なのだから。
しかし。
「…………はぁ」
好子は、謁見の間全体に響き渡るほどの、深く、冷ややかなため息をついた。
「……ん? どうした? 嬉しさのあまり声も出ないか?」
国王が身を乗り出す。
好子は、扇子をパチンと開き、口元を隠して目を細めた。
「あなた、隣に奥さん(王妃)が座っているのに、堂々と他の女を口説いてるの?」
「なっ……」
国王の顔が少し引きつる。
「王たる者、優秀な種を残すために複数の女を囲うのは当然の権利だ! 王妃も承知しておる!」
「承知してるんじゃなくて、あなたのその『下品な振る舞い』に呆れて諦めてるだけでしょ」
好子は、玉座の隣で俯く王妃を一瞥し、そして再び国王を氷点下の視線で射抜いた。
「大体、私に『愛人』になれって言ったわね?」
好子の声のトーンが、さらに一段低くなった。
「愛人ってことは、正妻(王妃)がいる以上、どう足掻いても『ナンバーツー(2位以下)』の扱いってことじゃない」
「そ、それは身分の違いが……」
「この私に『2位』の席を用意して、喜んで尻尾を振ると思ったの?」
ピキィィィンッ!!(国王の威厳に致命的なヒビが入る音)
「な……っ!」
国王は言葉を失った。
好子は、謁見の間のど真ん中で、一国の王を完全に「格下」として見下していた。
「それに、あなた。権力や宝石で私を釣ろうとしてるみたいだけど……そんな『外付けの価値』がないと女の気を引けない時点で、男としての魅力はゼロよ」
好子は、国王の弛んだ腹を扇子で指差した。
「美食と怠惰でだらしなく膨れ上がったお腹。王冠の重さに負けて前に出た首。そして何より、たった一人の女性(王妃)を生涯愛し抜く覚悟すらない、その『軽薄な精神』」
「き、貴様……! 王に向かってなんという暴言を……!!」
「王だから何? 肩書きを全部剥ぎ取ったら、あなたには何が残るの?」
好子は、ピシャリと言い放った。
「『国』を治めているつもりかもしれないけれど。自分の『欲望』ひとつ、自分の『体型』ひとつすら自己管理できていない男に、この完璧な私を所有する資格なんて、万に一つもないわ」
ズガァァァァン!!(国家権力が物理的に崩壊する音)
「あ……あぁっ……!」
国王は、心臓を直接抉られたような衝撃を受け、玉座の上でガクリと膝を崩した。
絶対的な権力者としての自負が、一人の少女の「圧倒的な本質を見抜く言葉」によって、木っ端微塵に粉砕されたのだ。
「ひっ……! お、俺は……肩書きだけの、だらしない男……!?」
国王は、両手で顔を覆ってガタガタと震え出した。
その時である。
ずっと黙って俯いていた王妃が、スッと立ち上がり、好子に向かって優雅なカーテシー(お辞儀)をしたのだ。
「……っ!? 王妃様!?」
周囲の貴族たちが驚愕する。
王妃の目には、長年溜め込んでいた夫への鬱憤が晴れたような、清々しい光が宿っていた。
彼女は無言のまま好子に微笑みかけ、そして、震える国王を見下ろして「フッ」と鼻で笑った。
「あ、あなたたち……! 私を置いて……!」
哀れな国王の叫びが、謁見の間に虚しく響き渡った。
「用が済んだなら、もう帰っていいかしら。王城の空気がカビ臭くて、お肌に悪いわ」
好子は、国王にはもう一瞥もくれず、背を向けて悠然と歩き出した。
周囲の近衛兵たち(とガレン団長)は、誰一人として好子を止めようとはしなかった。
むしろ、全員が道を空け、まるで真の女王を見送るかのように、深々と頭を下げていた。
【場所:神界・ネフェルの部屋】
「アハァァァァァァァッ!! 万歳!! 好子様万歳!!」
ネフェルは、モニターの前で特大のクラッカーを鳴らし、狂喜乱舞していた。
「国家元首すら瞬殺!! 『愛人=2位の席なんかふざけるな』!! そして王妃様まで味方につけたわ!!」
「最高! もうこの国、好子様が女王になっちゃえばいいんじゃない!?」
ネフェルは、壁の「好子様語録」のド真ん中に、一番大きな文字で書き加えた。
『自分の欲望すら管理できない男に、私を所有する資格はない』
「ああ、もう……私、一生この子を推し続けるわ……!!」
女神としての誇りなどとうの昔に宇宙の彼方へ消え去り、ネフェルは世界で一番幸せな「限界オタク」として、歓喜の涙を流し続けるのだった。
(第5弾・第13話・完)
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