表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/20

第十七話 悠久の時を超えて

来週から学校は再開される事になったが、魔族との遭遇により安全確保が王国としての使命と位置付けて国王は騎士団にも調査の命を出した。

ここ数100年魔族との交戦は無く、国としても一大事と一級の警戒体制に入っていた。

アスタミラ魔導高等学校の裏手に広がる森林地帯に騎士団の基地が設置され、調査団を含めたもの達が集まり物々しい事態となっている。


この日、ルナティアはミラルバとシャーリン、アインラットとベルフット、ランドと街の公園で待ち合わせをしていた。


誰よりも早くルナティアは公園に来ていて、ベンチに腰掛けて人々の往来を眺めていた。

「おい!ルナティア。」

最初に現れたのは、アインラットだった。

照れ臭そうに少し手をあげてルナティアが座っているベンチの側までやって来た。

「おはよう。アインラットくん。

元気だった?」


「ああ、俺は何ともない。

お前こそ元気になって良かった。」


「うん。

ありがとう。」

お互いか気を遣い、アインラットは申し訳ない気持ちで一杯で声も何処と無く元気がない。


「すまない。

男の俺たちが何も出来なくて、女子達を守る筈の俺たちが助けを呼びにいく役割に回るなんて、本当に情け無い。」

プライドの高いアインラットらしい意見である。

将来は王国騎士団に入隊する事を目指して頑張っている事をルナティアもよく知っている。

悔しい気持ちが伝わってくる。



「お〜い!」

こちらに走ってくる女の子はミラルバだった。

「ルナ!会いたかったよ!元気そうで安心した!」

ルナティアはベンチから立ち上がるとミラルバと抱き合って喜んだ。

「私も会いたかったよ。

ミラも元気で良かった。」


「その子は元気だけが取り柄だからね。

少し入院するくらい怪我をしたら、少しはお淑やかになれるかもね。」

ミラルバの後ろから何処となく元気のないシャーリンが見えた。

「リンも元気で良かった。」

ルナティアはミラルバから離れてシャーリンに抱きついた。

「ごめんね。私が魔族の攻撃で気を失ったから、ルナに無理させた。」

来た時から何となく俯きがちだとはルナティアも思っていたが、後ろめたさでルナティアに申し訳ないと思っていたようだ。

「私もね。いっぱい反省したの。

逃げる方法があったんじゃないかとか、頭ん中グルグル回って答えなんて出てこない。

だって、必死だったもん。

だから私達、強くならなきゃ。

大切な人を守れる人にならなきゃいけないよ。

そう思ったの。」

ぐっとシャーリンの手を握ってルナティアは熱い瞳を向けている。


「まったく、ルナは前向きで凄いよ。

死にかけたら、その思考には中々成らないよ。」

呆れていると言うのでは無い、どちらかと言うと関心していると言った方がいい心持ちだろう。

「私達は一緒に強くなる!でしょ?」

ルナティアもシャーリンも一番ポジティブなのはミラルバに違い無いとお互いに思った事は言うまでも無い。

その場に居た4人は誰かを救う為の強さを身に付ける共通の目標を見つけたのだ。


数日後、ルナティアは王宮に召集された。

国王との謁見には貴族の正装を身に纏い王宮に向かった。

ラスタナル王国54代国王ラストラル・アスベルリアは国民からの尊敬も厚い。

国内情勢もラストラルの代になってから発展が目覚ましく、今までに無いほど繁栄を極めていた。

謁見の間は一面赤い絨毯で目がチカチカするとルナティアは素朴な印象を持った。

既に謁見の間は騎士や国王の側近、内政を司る大臣達が多数集まっていた。

その謁見の間で王座を目の前にして跪いて国王を待っていた。

「待たせたね、ルナティア。」

ルナティアの背後から歩いて来て王座に腰掛けたのは初老の国王だった。

「陛下。

お久しぶりでございます。

ご聡明で何よりです。

この度は私のような未熟者に勲章などと陛下の心の深さにルナティアは感銘しておりました。」

国王とは何度か顔を合わせたことがある。

ゼルスの付き添いで紹介されて以来、家族絡みでの付き合いもあった。

「よく来たな。

ますます綺麗になったでは無いか見違えたぞ。

父ゼルスも嘸かし自慢の娘であろう。

学校生活は楽しいか?」

本当に気さくに笑う国王であるとルナティアは初対面の時から感じていた。

家族と一緒に接している時は、一国の王である事を感じさせないほどフランクな人物だ。

それが国民からの支持を高めている要因の一つと言える。

ルナティアもそんな国王が大好きである。

「はい。

とても楽しく学ばせて頂いております。」


「そうか。

それは何よりだ。

しかし、今回は命の危機であったな。

ルナティア達を危険な目に遭わせてしまったのは国王である私の責任だ。

魔族の侵入を察知できないとは情け無い限りだ。」

申し訳なさそうに国王は顔を歪めた。


「陛下。

私達はいずれ陛下の剣や盾となって働く物達なのです。

そして、魔族とも戦う事が私達の使命でもあります。

少し早く経験しただけの事です。

そのような事で陛下の心を煩わせるのは忍びありません。」

凛とした表情でありながら年齢らしい笑顔を見せつつ国王の事を気遣っている。


「ルナティアがそう言うのであれば、私から言う事は無い。

今回の魔族討伐は見事であった。

ルナティアよ。

私から、いやこの国を代表して至宝魔導騎士勲章を授与する。」


おお!

国王の発言に謁見の間に居る皆が声を挙げた。

だが、一番驚いた顔をしたのはルナティアだった。

顔を挙げて国王を見つめて微動だにしないが、驚きの表情は隠せない。

それもその筈、至宝魔導騎士勲章は国に多大なる功績を齎した魔道士や騎士に与えられる勲章であり、まだ学生の若い魔道士見習いが授与する事など前例がない。


「陛下…、そのような身に余る勲章を私が……」

言葉にならないほどで声も少し震えている。

「良いのだ。

ルナティアよ。

お前はこの何百年と魔族を討伐した事ない世界で唯一魔族討伐を成したのだ。

この勲章でも余りある功績だ。

本来なら領土を与えても良い程だが、まだ学生故、欲しい物が有れば領地の代わりにお前に褒賞として渡そう。

何かあるか?」

嬉しいのだと国王の瞳はルナティアに訴える。

幼き頃より国王はルナティアを知っている。

そして、若い世代の活躍は国の宝だと思っているからだ。


「……、陛下。

それでは、悠久の魔女が使用していた魔装具、悠久の指輪を賜りたいです。」


「なんだと!」

誰が発したかはわからなかったが、ルナティアの発言に部屋中のもの達が騒めいた。


「いくら公爵家の令嬢であっても、言っていい事と悪いことがあるぞ!

悠久の指輪は国宝だぞ。

公爵家の令嬢であろうと手にして良い品ではない!」

先ほどから叫んでいたのは、国家魔法局局長であり国の魔法施設や魔法に関する取り締まり、魔法研究施設などを束ねる長である、ファスタマ・ルアーゼンだった。

「お父様は言われました。

夢を持つなら、何かを望むので有れば、誰もが度肝を抜くくらい大きな物をその心に抱けと。

先日、意識を失っている時に夢を見ました。

ある賢者が私に悠久の魔女の話しをしてくれたのです。

話は特にこれといってなんと言うことはない話だったのですが、賢者が私に見せた悠久の魔女の姿とその指に光り輝く指輪が目を引きました。

賢者が私に見せたかったのは、悠久の魔女とこの指輪なのだと無意識に理解できたのです。

そして、この城に到着した時、城の中から私を呼ぶ魔力を感じました。

直感でここに悠久の魔女の指輪があるのだと知りました。

今日の為に賢者が私に伝えたかったのだとも。

故に、陛下に無理とは知りながらも、身の程を弁えず、伝えた次第です。」


「ふははは、ルナティアよ。

よくも臆せず申した。

解った。

しかし、悠久の指輪は装備者を選ぶと聞く。

見せる事は可能だが、悠久の指輪がお前を選ぶとは限らんぞ。」

部屋中に響き渡る国王の笑い声に部屋にいる物達の騒めきも止まったのだった。

国王は配下の騎士に何かを告げると騎士は部屋を出て行った。

そして、その騎士が部屋に戻って来ると一つの小箱を国王に渡した。

「ここ数十年の間、この指輪から魔力の波動が強まっていると報告を受けていた。

魔導研究員の話では眠りについていた指輪が装備者を探しているのではないかと言う仮説を唱えていた。」

そう言うと、小箱を開けた。

中にはシンプルにルーン文字らしき文字が刻まれて中央に青い宝石があしらわれた銀色の指輪が入っていた。

皆が見守る中、指輪が少しずつ青く光り始めると箱から宙に浮き上がるとゆっくりルナティアの元に飛んでいき、目の前で止まった。

ルナティアが左手を差し伸べると指輪は光を増して眩いばかりの閃光を放つ。

光が消えるとルナティアの人差し指にスッポリと収まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ