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第十四話 単真魔法と連真魔法と

学校で初めての実力テストが行われる。

ルナティアもテストに向けて勉強を勤しんでいる。

勉強は朝の早い時間に始めて、朝食を摂り学校に出掛けるといった感じだ。


「今週は実力テストがあるのだろう。」


「はい。

お父様。

なので、ルナは勉強を頑張ってます。」

ルナティアは常に父であるゼルスから誉められたいと願っている。


「それは素晴らしい。

良い成績を取る事だけが良いとは言えないぞ。

しっかりと理解して自分の魔法力を高める事こそ大事な事だ。」

いつにも増して神妙な面持ちで父の言葉を心に刻み込んでいる。


今週は実力テストの一般教科筆記問題が行われた。

初日は一般科目、2日目は専門科目、最終日は魔法実技の日程になっていて、2日目が終わると、最終魔法実技が行われた。

魔法実技でもルナティアに勝る生徒は無く、満足のいく結果の手応えをルナティアは感じていた。


結果は最終日の翌日に廊下の掲示モニターで映し出された。


「ねえ、ルナ、リン!

テストの結果見に行こうよ。」

ミラルバが2人の手を取って廊下に飛び出した。

連れられるまま、廊下の掲示モニターにやって来た3人は沢山の生徒達の後ろから覗き込んでいた。


「見て、ルナが1番だって!」

モニターの順位1位の所にルナティアの名前があった。

成績は一般、専門、実技と順位が書いてあり、ルナティアは全て1位で総合も1位となっていた。


「よし!

やった〜!」

その場でルナティアは思わず飛び跳ねて喜びを表現した。


「ミラは2位だね。

一般が3位だけど総合は2位って、それも凄いと思うけど。」

モニターを見ていたシャーリンがボソッと呟いた。


「リンは3位か。

3人でトップスリー〜上位独占だね。」

ミラは順位にはあまり興味がない様で、自分の2位と言う事には関心を示さなかった。


「ルナはほんと凄いよ。

全部1位なんて勝てる気がしない。」

今まで何をやっても成績が優秀であったシャーリンにはルナティアの成績があまりにも遠いもののように感じていた。

決して手の届かない様な圧倒的な敗北を味わっている。

確かにそこに居た生徒達もルナティアの成績を見て同じ事を思っているに違いない。


その日帰宅すると実力テストの結果を両親に報告すると、2人とも凄く喜んでくれた。

その事がルナティアのやる気に更に拍車をかけている。


「お父様。

先生が明日は野外実習で魔物の討伐演習や魔法実習があると言っていたの。

魔物って怖いのかな?」

ルナティアは魔物をハッキリと認識して見たことが無かった。


「学校の演習で行く場所には、それ程危険な魔物は居ない筈だ。

日頃の訓練を生かせる場なのだから、怖がらず向き合ってきなさい。」


「うん。

わかった。」


その夜は明日の演習が気になってワクワクしながら、中々寝付けなかったが、いつの間にか深い眠りに落ちていた。


「お嬢様。

今日は魔物の討伐を行うと伺いました。」

学校に向かう為、車に乗り込むとディアナが軽快な口調で話しかけて来た。


「うん。

ちょっと緊張してる。」


「ハハハ、授業で出会う魔物は危険な種族では無いでしょうから、普段通り魔法が使えれば怖く無いですよ。」

ルームミラーでディアナはルナティアをチラッと見ると硬い表情をしている。

少しでも緊張を解そうと言葉をかけた。


「うん。

そうよね。

こんな事で挫けてたら天聖魔導士なんてなれないもん。」


「そうですよ。

肩の力を抜いて、冷静に状況を見て対処すれば大丈夫です。」


「うん。

ありがとう、ディアナ。」

ミラーで見たルナティアの表情は少しではあるが笑みが見えた。


午前の授業から野外での魔物に対する授業が行われた。

魔物はどう言うものなのか、姿や習性、それに危険度など、ルナティアは真剣に聞いている。

擬似召喚でファウンドウルフが召喚された。

姿は大型の犬の様で、全身茶色で大きな牙が特徴だ。


「ルナティア。

単真魔法と連真魔法との違いについて、解説してみろ。」


「はい。

単真魔法とは魔力操作をする際に一方向に向けて、魔法を繰り出す事で直線的に進む作用を与えます。

ファイアーボールなど手から、もしくは杖から発せられる魔法などは自分と発射が分離する為、素早い予備動作や回避、移動が必要な場合に最適です。

それと反して連真魔法は発動した魔法に魔力操作で魔力を流し続ける事でより長く持続出来る魔法に使われます。

エアーウォールの様に防御系魔法に多く使われるものです。

只、魔力操作をし続ける必要がある為、予備動作や回避が必要な場合には適さないので注意が必要です。」

ルナティアは淡々と説明した。


「ルナティア。

見事な回答だ。」

生徒達はざわついている。

知識としてそこまで理解しているものは少ないのであろう。


「では、ルナティア。

入学試験の時ウインドスピアーにかけていた魔法処理はどちらだ?」

繰り返しハンニベルはルナティアに質問した。


「はい。

単真魔法と連真魔法の複合魔法です。」

複合魔法と言うワードに再び生徒達ざわついた。


「ほう。

それは興味深い。

皆にも聞かせてやってくれ。」


「はい。

皆んなそんなにビックリする事でも無いんだけど。

ウインドスピアーを単真魔法で生成して直線的に飛ばします。

でも、魔法の残留魔力自体は身体から全て切り離された訳ではなく、放たれたウインドスピアーと微力ですが繋がっていて、その残留魔力に連真魔法による魔力操作を伝達させる事が出来るんです。

そうする事で軌道修正や極端に言うと目標の追尾も可能です。」

ルナティアの説明に生徒達は言葉を失っていた。

言っている事は何となく理解できたが、実際に可能なのかどうかまでは想像できる者は1人も居なかった。


「なるほど。

では、ルナティア。

実際にやってみろ。」


「はい。

では、分かりやすく追尾を見せますね。」

グランドにある的とは反対方向にルナティアは向きを変えると真剣な表情へと変わった。


「いきます。」

ウインドスピアーを杖で展開すると真っ直ぐ放った。

そして、杖を的の方向に振るとウインドスピアーは的に目掛けて方向展開して的の中心を射抜いた。


皆が一斉に拍手をした。


「ルナティア。

見事だ。

しかし、この様な魔法の使い方を誰から学んだ?

父親か?」

目の前で起こっている魔法事象にとても関心を示して拍手をしている


「いいえ、自分で見つけました。

私、毎朝魔法の研究をしてるんです。

その時、魔法遊びのつむじ風を他の場所に乗せる事は出来るのか試したくて。

つむじ風は連真魔法だから、自分と距離を取ると魔力操作が出来なくなるので考えたんです。

つむじ風自体は単真魔法で発動して、軽く飛ばすイメージで移動させて、魔力を送り続けられたら出来るかもって。

最初は失敗の連続だったけど、残留魔力の様に魔力の残留がある事が分かって何とか完成しました。」

手振りそぶりを加えつつルナティアは魔法の研究について詳しく話した。

それはルナティアの魔法に対する悪なき探究心が齎した結果でもある。


「よく分かった。

ルナティアありがとう。

皆も魔法に対する興味を持って固定概念に囚われず育って欲しい。

これから、野外に出て魔物討伐に対する訓練に入る。

先ずはチームに別れて移動する。」

チーム分けが書かれている紙をハンニベルは全員に渡した。


チーム分けでルナティア、シャーリン、ミラルバは一緒のチームになっていた。

それにどのような意図があるかは判らないが、3人は素直に喜んだ。

1チームは6人の編成で役割を決めていく。


「リーダーはやっぱりルナよね。」

誰が言い始めたのか、その言葉にチーム全員が頷いた。


「え〜、リーダーはシャーリンの方が向いてると思うけど。」

リーダーという重責にはルナティアは経験の無い事だけに及び腰になっている。


「大丈夫よ。

私はサブに回るわ。」

毅然とした態度で堂々と補佐役をシャーリンは買って出た。


何となく仕切っていて、全体のバランスを見ながらミララバが全員の役割を決めていく。

それを見ていたルナティアはリーダーはミラルバがやれば良いのにっと思うのだった。


全てのチームが役割を決め終わると、ハンニベルの元に集まった。

「それでは演習を始める。

準備したのは、ファウンドウルフ数十頭だ。

それほど強い魔物では無いが、油断していると集団で襲ってくる。

くれぐれも油断せず、無理な時は退却を速やかに行え。

私も含めて、教師陣がフォローする。」


こうしてルナティア達は初の魔物討伐をする為、森の中に足を踏み入れるのだった。

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