第十三話 学生会
放課後ルナティアは学生会室に向かっていた。
学生会室は3階の階段を上がると目の前に部屋がある。
学校で最も高い位置に学生会室はあり、学校内部でも全てにおいて中心に位置する組織だ。
ミラルバやシャーリンの話では、学生会は規律に厳しく上下関係も存在していると聞かされて、ルナティアは少し不安を感じていた。
今までの人生で先輩後輩といった位置関係での付き合いなどした事がなかったからだ。
コンコン!
ルナティアはドアをノックした。
「はい。
どうぞ。」
中から女性の声がした。
ドアをゆっくりと開けながら中に入った。
「ルナティア・シルブラット入ります。」
部屋の中には多数の机が規則正しく並んでいる。
窓際には大きな机が置かれていて、恐らく総代会長のシスティーナだとルナティアは直ぐに分かった。
「来たわね、ルナティアさん。
さあ、こちらに。」
部屋の中ある机には3人ほど椅子に座っている。
1人の女性と2人の男性がルナティアの事を見ている。
ルナティアはシスティーナの近くに歩いて行った。
「私は、もう自己紹介も済ませてたけど、あえて言うわね。
3年のシスティーナ・アルバータ。
総代会長をやらせてもらってる。
そして、そこにいるのが3年の副会長リグナ・ドロール。
そして、2年会長ナターリャ・カルロイド。
もう1人が、2年副会長アフィーニャ・サーベスト。
それぞれ学年でトップの成績を収めている優秀な魔導士候補なのよ。」
全員がルナティアに向かって軽く会釈した。
ルナティアも名前と顔を覚えつつ会釈で返した。
「よろしくお願いします。
私は1年ルナティア・シルブラットです。
学生会の事はまだ良くわからないので、よろしくお願いします。」
「わかったわ。
説明するわね。
学生会は全校生徒の学校生活をサポートするのが主な仕事になります。
学則の見直しや1年間の行事設定から予算会計などを行っています。
行事に関してはある程度毎年恒例となっている物や季節などによっても新たに設定するかどうかなど話し合います。
それと魔法を対人に行う事を学校内では禁止していますので、規律違反の見回りなどもしています。
学生会役員には役員特権が認められています。
特権として、対人魔法による怪我や施設破壊などは厳しく罰を与える事が許されています。
クラス役員の選出も可能です。
まあ、補佐してもらう人を2人まで選出できます。
差し当たってルナティアさんは1学年会長と言う役職になります。
任期は一年で来年2年の会長になるかは選択出来るので覚えておいて下さい。」
「はい。
わかりました。
それで私はいつから何を先ずすれば良いのでしょうか?」
「そうね。
先ずは月曜日と木曜日に役員会があるから放課後参加して貰えれば良いわ。
後々仕事も振って行くから。
どうかしら?」
「はい。
わかりました。
頑張ります。」
「じゃあ、これを渡すわね。」
そう言うとシスティーナはルナティアの制服の襟に学生会のバッジを付けた。
「学生会のバッジよ。
忘れずに付けてね。」
「はい。
ありがとうございます。」
「学校には少し慣れた?」
先輩と言うのは、一年や二年先に生まれているだけなのに、何故か大人びて見える。
2年の先輩であるナターリャさんも胸も大きくてスタイルも良いとルナティアは思った。
「まだ慣れるまで行きませんね。」
「そう言えばハンニベル先生の初授業でルナティアさんとミラルバさんが脱出したって聞いたわよ。
凄いじゃない!」
本人は必死だったので凄いのかどうかは分からないが、もう知られていると言う事実にルナティアは驚いている。
「え、ええ、そうですね。
なんか必死にやったらそうなりました。」
褒められるのは嬉しいけれど、照れ臭く感じて苦笑いになっていた。
「必死になるよね。
私達もやられたけど、脱出は出来なかったのよ。
先生曰く、お前達のレベルでは無理だ!ですって。」
「ハハハ……。」抜け出せた私とミラルバはどう言うレベルなんだろうと思わず頭の中で言葉になっている。
「そうそう!
ルナティアさん。
今週の木曜日学生会室に放課後来てね。
ライジングフォース競技の打ち合わせをするから。」
「はい。
わかりました。」
ライジングフォース競技とは魔術競技の一つでアルタミラ高校の名物行事だ。
各クラスで1チーム3人の3チームを編成して、クラス対抗戦を行う。
毎回保護者もたくさん来場して盛り上がる競技だ。
「去年は3年1組が優勝したけど。
今年はわからないわね。
何せルナティアさん達が居るから盛り上がりそうだし。」
システィーナとリグナはルナティアに今年の大会を盛り上げてもらう事に大きな期待を寄せている。
「ハハハ…。が、頑張ろうかなぁ〜。」
まさかこんな所で期待されるとは思ってもいなかった。
あとは何気ない話しを少しして先輩達ともほんの一時だが打ち解ける事が出来た。
一礼をしてルナティアはドアを開けて外に出た。
『はぁ〜……、緊張したよ〜。』と、心で呟くと同時に教室で待っているミラルバの元に急いだ。
教室ではシャーリンとミラルバが話しをしているのが見えた。
「お待たせ〜。」
「きたきた!」
「どうでしたか?
学生会は?」
顔に動揺が見えたのか、ミラルバはルナティアに寄りそうと肩を叩いて笑っている。
シャーリンは冷静に興味がある様だ。
「そうね。
先輩達と少しだけ打ち解けたかも。
そうだ!
クラス役員の選出も出来るんだって。
私の補佐を2人にやって欲しいんだけど〜。
ダメかなぁ?」
両手を合わせてお願いする素振りでルナティアは2人を見ている。
「良いよ。
ねぇ?リンもするよね?」
「ん〜、そうだね。
ルナのお願いなら聞かないわけには行かないわね。」
2人とも快く笑顔で承諾してくれた事にルナティアは心から救われた気がした。
「持つべき者は親友だね〜。」
その言葉の通りルナティアは心から喜んでいる。
放課後約束していたカフェに向かいながら、3人は楽しそうに笑顔が絶えない。
「ねぇねぇ、部活は何にするの?」
たどり着いたカフェには待つ事なく席に着く事が出来た。
平日昼間なのだが、お客さんもそこそこいる。
3人は店の大きな窓側に座って賑やかに盛り上がっていた。
特にミラルバは楽しそうな笑顔全開だ。
「私はね〜、もう決めてるよ。
魔術競技部。」
「私も、魔術競技部と決めてたわ。」
それはもう決めてましたと言わんばかりのルナティアとシャーリンの反応だった。
「やっぱり2人とも魔竸だったか〜。」
ある意味答えが残念と言った反応のミラルバだ。
「だって、お兄様もお姉さまも皆魔竸部だったのよ。
私だって憧れるわよ〜。」
シルブラット家の兄弟は皆魔術競技部で活躍した事をよく聞かされていた。
それだけにキラキラしたイメージがルナティアの中で育まれたのだ。
「私も入ろうかなぁ〜。」
「うん。
3人で入ろうよ。」
ルナティアはミラルバもその気になってきたのでとても嬉しそうに喜んだ。
結局この数日後3人は魔術競技部に入部した。




