2つ目の中継都市
クレメンテスの街を出発して3日目。
軍属の経験も無い少年達がこれだけ集まると、何らかのトラブルが発生してもおかしくはない。
しかし、少年達を従えるアレンの統率力のお陰で、この日は何事も無く、街まで走って往復するだけの訓練を終える事が出来た。
さすがにアレンは、少年達を纏めているだけあって、彼の指揮の下では揉め事どころか不平不満を口にする者すらいなかった。
今後僕達は、素人同然の民兵達を従えて戦をしなければならない。
指揮官の少ない僕達には、アレンの統率力が大きなアドバンテージになるかもしれないのだ。
そして迎えた行軍4日目。
次の中継都市ビトルフまで、あと1日程度の行軍で辿り着く筈だ。
休養していたシリウスも完全に回復し、今日から僕達の訓練に参加する事になった。
シリウスと少年達、特にアレンとの蟠りが解消されているのか不安ではあったが、必死に謝罪するアレンに対してシリウスが気にしている様子はなかった。
こんな時だけは、シリウスの淡白で興味のない事には無関心の性格に救われた。
「先日は本当に、すんませんでした!」
「チッ、いい加減にしろ…もうケリが着いた事だ…。」
「でもっスね…」
「アレン君、もうシリウスさんも気にしていないようですし、お互いにあの時の事は水に流しましょう。僕達はもう共に戦う仲間なんですから。」
「…了解っス。」
「それより、今日の訓練はどうしましょうか?」
「今からクレメンテスを往復しても夕刻には間に合いそうにないですね…」
「チッ、俺は早くあの力を試したい…何でも良いから早く決めろ。」
「あのー…提案なんスけど、隊の皆様よりも先にビトルフに行くってのはダメっスか?」
「ダメではないと思いますが、何か目的でもあるんですか?」
「そんな大層な事でもないんスけど、ナシ着けときてー奴がいるんスよ。上手く行けば仲間が増えるかもしれねーんスけど…」
「分かりました、そういう事なら一応ジークさんに報告してからビトルフに向いましょう。」
いつものように欠伸を繰り返しながら隊列の殿をダラダラとジークが歩いている。
「ジークさん!」
「んー、どうした?」
「今日の訓練は、ビトルフへ向かおうと思うのですが、問題ありませんか?」
「ああ、別に構わねーぞ。」
「ありがとうございます。では、すぐに出発しますね!」
「おう、行って来い。何度も言うが、無茶だけはするなよ?」
「はい、分かりました。」
ジークの適当な許可をもらった僕達は、いつもの訓練をしながらビトルフを目指す。
先頭にはシリウス、それに続いてザックスとアレン、そして少年達、やはり最後尾を走るのは僕だ。
先頭のシリウスは度々、驚くべき速さで駆け抜けては休息を繰り返している。
彼が身に着けた魔力のコントロールは、恐るべき能力を発揮するが、持久力が続かない瞬発力タイプのようだ。
それとは逆にザックスは、能力こそシリウスよりもかなり劣るものの、長時間の使用が可能な持久力タイプのようだ。
同じ魔力のコントロールであっても、個人によって性能に差が有るのか、それとも使い方によっては瞬発力タイプでも持久力タイプでも発揮する性能を使い分ける事が出来るのか、現時点では解からない。
ただ一つ言える事は、どちらにせよ僕も早く魔力のコントロールを身に着けて、2人に追いつかなければならない。
そうこうしているうちに、僕達はビトルフに辿り着いた。
この街で訪れる事態を、この時は誰一人、知る由もなかった――
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