表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵を知る者  作者: Gary
力の源泉は己の内に
35/124

闇の狩場

 私は闇夜に蠢く影を追い、街道を南へと駆ける。

夕刻に通った道だ、地形は把握している。

西の森へと入って行った蠢く影達。

私も街道を外れ、森に入る。

随分アル様と離れてしまった、引き返すべきか…。

いや、災いの芽は小さいうちに排除すべきだろう。


 私は鬱蒼うっそうと茂る木々の中を突き進み、大樹の陰に身を隠す。

敵の動きが止まった…。

殺気を放つ敵の気配が、森のそこかしこから感じられる。

私は大樹の陰から顔を覗かせ、周囲を観察する。


 月の光は森の木々にさえぎられ、深い暗闇と静寂が森を支配している。

敵は巧妙に身を隠し、こちらの出方を伺っているようだ。

敵は暗殺者集団だとミラ様が言っていたので、身を隠す事が得意だと思われる。


 しかし、森で育った私には目に見える物だけでなく、気配や微かな物音、そして息遣いから、敵の居場所を感じる事が出来る。

前方のやや開けた場所を中心に、その場所を取り囲むように敵が待ち構えている。


 これ以上踏み込んでいれば危ないところだった。

私の弓の必中距離にいるのが、約半数の15。

昼間の開けた場所であれば今の3倍の距離を狙えるだろうが、暗闇で視界が制限されているうえ、森の木々が障害となっている。


 私の携行してきた矢の本数は22、敵の数は30丁度。

一射一殺したとしても8本足りない計算だ。

問題ない、私ならやれる。


 私は意を決して、大樹の陰から飛び出す。

開けた場所を中心に半円形に展開された布陣の、右側面から回り込むように戦えば、敵の集中攻撃に晒される事は無いだろう。


 まずは3射。

急所を射貫かれた敵は呻き声を上げながら、絶命する。

残り19本、敵は27。

続けて2射、1射、3射。

そこで私は木陰に隠れて息を整える。

矢は残り13本、敵は21。


 すれ違い様に倒れた敵の死体を見ると、その殆どが弓を持っていた。

矢の本数は問題なく足りそうだ。

チャンスがあれば敵の矢筒から、根こそぎ矢を回収すれば良い。

やはりこの程度の敵ならば瞬殺だ。


 再び木陰を飛び出した私は、12射を放つ。

途中、いよいよ敵の反撃があったが、あんな初動の遅い矢など目をつぶってでも避けられる。

敵が誤射して木に突き刺さった矢を2本ほど回収できた。

これで矢は残り3本、敵は15。

残り半分、そろそろ敵の矢を奪わないと、私の矢も底を尽きそうだ。

それに、敵も半数になって動きを変えて来た。


 こちらの動きに合わせて包囲の輪を形作る敵。

直近の敵を射殺し死体に駆け寄るが、その手に握っていたのは短刀だった。


「ちぃっ!」


 私は苛立ちを露わにして舌打ちをする。

残り2本…。

もうあまり猶予はない。


 再び駆け出し、前方の敵2人に狙いを定める。

この左右どちらかの敵が弓を持っている事を願う。

すると、右の敵が矢を放ってきた。


 私は左に転がり、放たれた矢をかわすと、ニヤリと笑って2射を放つ。

そのまま右の敵の死体に駆け寄り、血に染まった矢を奪い取る。

15本…充分だ。


 敵は残り12、このまま一息に終わらせてやる。

私は大きく深呼吸をして息を整え、最後の突撃を開始する。

2射、3射、そして1射…。


「外した!?」


 確実に急所を狙ったにも関わらず、最後に放った1射が空を切り、木に突き刺さる。

動揺した私は再び木陰に身を隠す。

明らかにおかしい。

この暗闇で私の矢をかわす事の出来る人間など、そうはいない筈だ。

ミラ様やアイ様でも難しいだろう。

偶然か?

いや、警戒するに越した事はない。


 私は注意深く敵の気配を探る。

敵は残り7人、間違いない。

この中に私の矢をかわすほどの手練れがいる可能性もある。

ここは慎重に、1人ずつ確実に殺して行った方が良いだろう。


 敵の気配に向かって突撃した私は、横からの矢をかわし、1人を殺す。

すぐに前進して、もう1人。

更に視界の端に映る敵影に向かって渾身の矢を放つ。


 すると私の放った矢は敵影を突き抜け、暗闇に包まれた森の奥へと消えて行く。

確かに私は確実に敵の眉間を狙って矢を放った。

そして矢は回避されもせず、敵を突き抜けた。

気配を探るが、既にそこには敵はいない。


 そして私は1つの答えに辿り着く。

あれは…魔法だ――

ご意見、ご感想、評価など頂けたら私の魔力も滾りますので、どうぞよろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ