仲間、そして強敵
10月11日午後5時5分
フリーフィールド中央
3神の姿像噴水前
「お!来た来た~!待ってたぞ!」
既にてっちゃんと銀は集まっていた
一応だがプレイヤーネームだとてっちゃんはテツマ
ありきたりだが名前からとったらしい
銀はガーリンド
昔から使ってるHNでとあるゲームだと名前が知らないやつはいないほどの腕前らしい
そして俺は・・・・
「おいハル!なんだよその名前?」
突っ込まれると思ったよ
「ファントムだけど?何が悪いの?」
ファントムとは幽霊やお化けのことを指している
「ハル、鬼って妖怪や単独で鬼に分類されるものだよ?」
銀・・・・・こんなとこまで的確に突っ込むのはやめてくれよ・・・・・
「わかってるよ!妖怪だとしっかりとした英語がないの!しょうがないだろ!」
実際英訳するとなるとogreやGhostなどになってしまうためあえてファントムにしたのだ
「それよりさ開始早々で悪いんだけどクエスト手伝ってくれない?武器手にいれようとしたらクエスト始まっちゃってさ・・・・」
経緯を分かりやすく二人に説明すると快く手伝ってくれることになった
俺のレベルが現在14に対して二人は
「俺は今18まであげたぞ!銀は?」
てっちゃんは18か・・・まともに寝ないで頑張ったんだろうなぁ~
現実世界と時間の流れは完全に一緒
そして脳の伝達がすべてリンクしてるためこっちの世界で寝ても実際に寝たのと同じ状態になる
残念ながら食事に関してはさすがに気が紛れる程度で体は栄養不足になるため、食事はリアルの世界でとらなければならない
「僕は今16だね。武器のためにアイテム収集とかしてたら遅れちゃった」
二人とも俺より上かよ・・・・・・武器探しに時間かけすぎたな
今さらだが二人の種族について
てっちゃんは人狼で武器は通常のものと鉄爪と足に装備する鉤爪があるらしい
すでに腕には鉄爪が装備されていた
次に銀だが
龍族を選んだと言っていた
瞳の色と翼の色が上げたステータスによって変わっていく
あと驚いたことに専用武器が一切実装されていない
その代わりに能力値が他の種族と比べるとかなり高い
素手同士の戦いならまず負けることは無いだろう
二人とも外見はよく見ればわかる程度で8、9割型人間の姿をしている
と言ってもヒューマンを横において比べるとかなり違うんだけどね
「どうする?ご飯食べてからまた集まる?」
銀の提案に俺は賛成
腹がへってやばい
「俺もご飯食べてこようかな」
今の時刻は夕方5時半ほど
つまり丸一日何も食べていないことになる
「そうだな!飯食わずに死んだりとか洒落になんないしな」
てっちゃんも賛成してくれた
「それじゃあ次の集合は夜の7時。場所は今いるここで。ご飯食べて風呂入ってしっかりと休むように!解散!」
俺の声を聞いてから二人はログアウトしていった
「よし、急いで準備しよう」
そして俺もログアウトする
意識がはっきりしていくとゲーム音声が聞こえる
『ゲームを終了しますか?』
YESのほうへ目を動かす
『かしこまりました。またお待ちしております』
今日の晩飯当番は俺だ
冷蔵庫のなかを確認し手際よく作り上げると俺は先に食べ始める
うちの家庭はみんな帰ってくる時間がバラバラのため基本的に揃ってご飯を食べることは少ない
そのまま流れ作業で洗い物も片付け風呂の準備
そして7時5分前
「よし、またがんばるか!」
そして俺はまたゲームの世界へ身を投じた
10月11日午後6時58分
フリーフィールド中央
3神の姿像噴水前
体のサイズと同じぐらいの広さがある光の輪ができ
自分の頭から形成されていく
約2時間しかたっていないのに人の数が一気に増えていた
「やっぱ仕事終わりや学校終わりのやつらもいるんだな」
そんなことを考えながら人間観察をしていると二人も同じ場所に現れた
「待たせたな。んでそのダンジョンとやらにはどこから行くんだ?」
たしか俺がいたところから北へ向かった山の上だったはず
「とりあえず鬼の里をぬけなきゃいけないから移動用の転移石板のとこに行くか。パーティリーダー俺でいい?」
二人は頷くと嬉しそうに笑ってくれた
「懐かしいよな!こうやって三人で集まると初代WORLDの頃を思い出すぜ!」
そういえばあの頃も俺がリーダーやってたっけ
あの頃の俺は二人よりプレイ時間が圧倒的に多く知識もレベルも一番高かった
「なつかしいね~。やっぱみんなでやるのは楽しいよ!」
銀は元々一人用のシューティングゲームばかりやっていた
それをてっちゃん知り無理矢理誘った
「あの頃は銀なんて緊張しまくりで面白かったな!」
いまでも思い出すと笑っちゃうぐらいへっぴり腰だった
「もー!それはいいから早くいこうよ!」
銀にせかされ俺達は転移石板へ向かった
山間部フィールド10月11日午後7時34分
鬼族領地北部
捨てられた鉱山
「ここがそのダンジョンか・・・・」
入り口は柱で固定されてるタイプでかなり広い作りになっていた
「そういえばハルは武器もってんの?手にいれるためのクエストがこれだろ?」
そう言われてみれば武器のことはなしてなかった
「言うの忘れてたんだけど、キーアイテムとしてこれ使えるみたいなんだよね。町中で騒がれるの嫌だから隠してたんだけど・・・・」
メニューコマンドを開きアイテムの表示をONにする
すると背中にあの剣が現れた
「嘘だろ!?めっちゃかっこいいし強そうじゃん!」
てっちゃんは興奮が止まらないようだ
銀も心剣な顔で刀を観察している
「ハル、これたぶん現段階じゃあ最強とまではいかないけどその種類の中じゃZ級の5本の中に入ると思うよ」
ちなみに等級のランク付けについてだが下から
D<C<B<A<AA<Z
の順で決まる
誰がつけたのかは知らないが、よくあるゲームだと最上級はSなんだけどなぜかこのゲームはZになっている
「やっぱり?能力値が異常なまでに高いからなんとなくそんな気はしてたんだよね。やっぱあのおっちゃんただ者じゃないな」
あんなに恐いんだから一般人レベルだったら逆に困るけどね・・・・
そしてついに俺達はダンジョンに足を踏み入れた
「ここってダンジョンの仕組みはどうなってるんだろうね。平屋型なのかそれとも階層型なのか・・・・」
前作は銀が言った通り平屋型、階層型、あとワープ型やフリーフィールド型なんかもあった
フリーフィールド型は基本的に即ボス戦ダンジョンが全体を占めてたけどね
「たぶん階層型でしょ。階段やトロッコタイプの、。それよりさぁ~いきなりボスが前作の上級って勘弁してくれよ・・・・・」
紅岩蜘蛛は正直戦いづらい
天井に張り付かれると一定のスキル以外では攻撃が届かないからだ
まさか始めて2日目に出会うとは・・・・
「おい、余裕かますのはここまでだ」
前方には岩が集まってできたような小さな生き物と小さく赤い蜘蛛が2、3匹
小さいと言っても俺達の3分の1ぐらいのサイズだけどね
確か銀は無視がダメだったは・・・
「ぼ、ぼぼ、ぼぼぼく帰るね!!!!」
ちょっと待てと、てっちゃんが襟首をつかみ引きずり戻す
「大丈夫だ!俺達が前衛に出るから銀は遠くから落ち着いて魔法を撃て。そうすればお前の方にはいかねぇから、な?」
てっちゃんが銀を説得すると信頼があるからこうなるのか、銀の目にはやる気が戻っていた
「ごめん・・・・けどもう大丈夫!」
こういう時に便りになるよなてっちゃん
けどさ、いったい初期装備の俺とてっちゃんでどうやって前衛やるの・・・・
レベルによっては一撃でやられるかもしれないのに・・・・
そんな不安を吹き飛ばすかのようにてっちゃんは言いはなった
「見た感じ相手のレベルはそんなに高くない。俺のスキルで見たんだ、間違いはない。たぶん3回ぐらいたたけば倒せるか倒せないかだな。」
人狼のスキルで【遠視】というものがあると聞いてたけど案外使い道ありそうだな
てっちゃんは話を続ける
「岩のやつはレベルが俺の一個上だけど足は遅いだろうから失敗しなければ大丈夫。あいつは固いだろうから銀!頼むぞ。俺とハルはあの蜘蛛をどうにかする。岩のやつもたまに叩いてヘイトは稼ぐから安心しろ!よし、行くぞ!」
俺とてっちゃんは一目散に駆け出した
まだスキルがない俺はとりあえず相手を思いっきりぶったぎる
相手のライフゲージはとあるスキルなどを使わないと見えないが、てっちゃんの人狼パッシブスキル【ターゲットアイ】により確認できる
赤蜘蛛は意外と動きが早く追いかけるのも大変だが、思った以上にこの武器が軽い
手に吸い付く様な感覚があるぐらいだ
「一匹目だ!てっちゃん大丈夫か!」
心配するだけ無駄だった
てっちゃんは二匹目の蜘蛛の腹を握りつぶす
蜘蛛が次々と赤い砂嵐に包まれ砕けていく
岩子が残っているがそれも終わりかな
「紅の精よ、我に力を貸し与えよ!」
そう叫ぶと銀の持っていた杖から火炎弾が放たれ一撃で葬った
わざわざ呪文唱えるのって大変そうだな~
「初戦突破だぜ!」
三人でガッツポーズをするがまだまだ先は長かった
一時間ほど経過してやっと地下5階層目
そこへ降りると回りには朱色の石がごろごろ転がっていた
必要な黒鉄石と白銀石はもう揃った
あとはボスからドロップを手にいれるだけ
だがそうは簡単にいかないのがこのゲームである
「おい、ちょっと待て・・・・」
先頭を進むてっちゃんが俺達を止める
先にあるのはかなり広く作られているであろう部屋が見えた
「あれ・・・・・お前ら見えるか?あの赤い点が縦に2個、横に3個並んでるのが左右対称に2つ。あれたぶんボスの目だ」
てっちゃんは見えてるようだが俺には微かに見えるか見えないか
集中して見るとぼんやり見えてくる
「やばいかもしれないな。かなりでかいぞ・・・・。それに他にも赤い点が見えるからさっきの赤蜘蛛も結構いるな」
ってことはやっぱ下級ボスではないようだ
下級ボスだと他のモンスターはいない
けど上級だと逆にボスモンスターが3匹同時とかざらにあるから困るんだよな
「てっちゃん、どうする?」
さっき手にいれたスキルを確認しながらショートカットメニューに登録しながら確認する
「さっき手にいれたスキルって範囲型か?」
序盤で前衛寄り種族が範囲スキル覚えたらやばいって・・・・
「違うね、単体に対しての攻撃スキルと筋力スキルアップのパッシブだけ。攻撃スキルの方は連撃タイプだから使えるかも」
攻撃スキルにも範囲と単体、火力型と連撃型、それに連続入力できるものがある
連続入力っていうのはつまりスキルを繋げることができるってこと
最初に出して次のスキルにも行けるし、できないスキルを使用したあとにそれを使うこともできるかなり便利なものだ
「あ、あのね。僕一応範囲型の魔法あるよ?風魔法が範囲表示ついてる」
てっちゃんがなにか閃いたようだ
このゲームにおける最大の戦闘のメリットは自分達が自由に動けるため作戦を練りやすい
ヘイトというモンスターに狙われるターゲットさえ前衛がとっていれば滅多に後衛は狙われない
それにモンスターを囲んで叩くこともできる・・・・が、すぐ移動されるけどね
「じゃあこうしよう。俺とハルで切り込んでボスのとこまでどうにかたどり着くからそしたら赤蜘蛛は俺達を狙うよな?」
まぁ二人で突っ込めば確実に俺達だけ狙われるだろうね
正直きついけどな!
「そこで囲まれたら俺達はギリギリまで引き付ける。そうなったら銀の出番だ。MPオート回復アップのパッシブはもうあるだろ?」
魔法をメインに使うキャラは基本的に序盤で覚える
熟練度があればだけど、それでもMPがないとソロなんてできなくなるため取得する仕組みになっている
「始めてすぐ覚えたよ。今はスキルレベル3だから連続でバーストウィンドなら5回か6回撃てると思う」
バーストとてことは上げたのは火と風か
やっぱしっかりしてるな銀は・・・・
「俺達が引き付けた赤蜘蛛たちに向かって撃ちまくれ。そしたらボスのヘイトが上がらないように俺達が叩くからHPをみながら回復頼むぞ!やばくなったら大声で叫べ。俺がすぐに助けてやる。わかったな?」
俺と銀は無言で頷く
「よっしゃ!初のボス戦といきますか!」
俺達は覚悟を決めボス戦のルームへ踏み込んだ




