前に進むため・・・
あれから一ヶ月・・・・
何をするでもなくたんたんと生活をしていた
「おはよ」
銀が2階から降りてきた
俺は一足先に朝食を済ませて出掛ける支度をしていた
「どっかいくの?ふぁ~・・・」
銀は眠たそうに背伸びをしている
今日は用事と言うか・・・・・
「てっちゃんのとこと他にも少し。いつまでもへこんでたら怒られちゃうしさ。他のやつらにも挨拶してこようかと思って」
あの事件以来制圧部隊も消耗しすぎたらしく動きがストップしていた
それに俺の心も・・・・
「わかった。無理しないでね?」
あの事件が起きてから一週間は部屋に閉じ籠っていた
頭のなかで必死に受け入れようとして考えてた
けど考えたって何か起こるわけでもない
だから少しずつ動いてかないと・・・・
「おう!あ、もしかしたら今日別のとこで泊まるかもしれないから、そしたら連絡する」
銀に嫌な目付きをされたがそんなの気にしちゃいられない
いろいろありすぎて今日は予定ガッツリ詰まってるし
ちなみにあの女の人とは行動しないことにした
俺が断って諦めてもらった
最初の町で暮らした方があの人のためにもなる
「んじゃ行ってきまーす!」
まずはウィドのとこか・・・・
距離的には離れてそんなに離れてないな
ウィドが泊まってる宿屋に着いたところでNPCに確認する
昨日のうちに予定を入れておいてもらえたなら通してもらえるはずだ
「お待たせしました。2階の右手、突き当たりの部屋になります」
案内通りに部屋へ向かうとすでに先客がいたようだ
中へ入ると先客はどうやらハーメルンとライオネルだったようだ
「いらっしゃい、まぁ座りなよ」
和やかなムード・・・・とはいってないようだ
どっちかと言うと俺が来て少し緩和されたレベル
「もう大丈夫なのかい?少しやつれたように見えるけど・・・」
ウィドが気を使ってくれるのは嬉しいが大丈夫じゃなければわざわざ俺の方から出向かねぇよ
「大丈夫。さすがにいつまでも引きこもってるわけにはいかないからな!そっちは?」
ウィドが少しため息をついて話始める
「さっきちょうど3人で偵察に行ってきたところだよ。次のダンジョンの入り口までね。結果、次は多分ミノタウルスかキマイラあたりだと思う」
ってことはダンジョンの外見じゃ判断がつけづらいみたいだな
そんな気はしてたけどさ
「それで人は集まりそうなのか?厳しいんだろ?」
ためしに少し突っ込んでみる
この反応次第で次の話題が決まる
「正直厳しいと言えるね。この間の被害者は約60人。それでまた行くって言うんだから無理もないよ」
予想してた通りの模範解答だな
ハーメルンはしゃべらないのか?
「ハーメルンさんの方はどうなの?何か動いてる?」
ためしに話題を振ってみるするとまさかの返答が・・・・
「残念ながら前作のトップランカー勢は今のところ君たちだけのようだ。ログインしていなかったのか、それとも消えたか」
さらっと怖いこと言うんだなこの人
ちなみに声と体格でハーメルンは男だとわかった
「なるほどねぇ~。で空気を悪くしたライオネルのおじさまは?」
あえて鋭く突っ込む
今の流れ的にこいつが絶対なにかやらかしやがったせいで俺が入ってきたとき空気が悪かった
「それなんだがな・・・・・。実は・・・・」
ことの発端は前回の制圧の際俺が消えてから起こったそうだ
話を手短にまとめると
PVPギルドを制圧
軍を設立してお金を集める
制圧部隊を完全にギルド化する
という話題がプレイヤー達から上がったそうだ
「ギルド化はしない方がいい、軍の設立は余計な不安を煽るから余計にダメ。PVPギルドはまだ確証がとれてないから危険すぎる。これ以上になにか必要か?」
これ結論すぐでると思うんだけど・・・・
「そうなんだけどね、実は・・・・・ギルド作っちゃったんだよ」
嘘だろ!?
「誰が?って・・・・・聞く理由はねぇよな?ライオネル?」
でかい図体が小さくなっていくように見える
これはやらかしたなこいつ・・・・
「すまねぇ!思い立ったらすぐ行動しちまうのが俺の悪い癖なんだよ・・・・」
じゃあやめろよ
なんて突っ込んでも解決しない
さてこれはどうしたものか・・・・・
今更解散なんて言うとギルドメンバーが納得してくれないだろうし・・・・・
ん?待てよ?
「おっさん、ギルドの名前何にした?」
もしかしたらまだ救えるかも
「冥界制圧部隊・・・・」
マジねぇわ
もうダメだなこれ
「そういうことであんな重い空気になってたのか・・・」
「「そういうこと」」
ライオネルがどんどん小さくなっていく
ギルドの募集は止めたらしいが問題は解散することを納得してもらえるかどうか
「もういっそのことそのまま続けちゃえば?そうすればどうにか丸く収まってくんじゃないか?」
これが誰も痛い目に遭わずすむ方法だが・・・
「それがですね、入隊金取っちゃったらしいんですよね。また余計なことに」
「わかった。おっさん土下座してこい?そうしないとどうにもなんねえよこれ」
俺はライオネルの肩を叩き促すと今にも死にそうな顔で出ていった
「2人とも大変だな。あんなのがいると」
うんうんと深く頷くウィドとハーメルン
相当苦労してるんだな
挨拶も軽くしたあと俺は宿をあとにした
「次がユウカのとこか・・・・・。これまた面倒なことにならなきゃいいけど・・・・」
向かったのはフリーマーケットの主催者、ユウカ=雪乃目
前作で世話をした俺の舎弟ならぬ妹分
「まさかあいつもやってるとは思わなかったな~・・・・はぁー」
やる気がすでに下がり気味の俺である
店につくとすぐにユウカが出てきた
「あんちゃん遅いで!もう約束の時間10分は過ぎとるで!」
入って早々説教スタート
おい、兄貴分に説教ってどんな妹分だっつーの
ここはさっさと用件を済ませて逃げるようにして出てきた
次はアフィナのとこなんだけど、その前に昼食としよう
お金ならケルベロスのときにかなり手に入ったため余裕はあった
適当な店に入って食事を済ませると店の前でなにか揉めていた
「おい、ねぇちゃん!ぶつかっといてすいませんの一言じゃあすまねぇだろ?」
あからさまな嫌がらせだな
いい年下おっさんが2人して・・・・
「兄貴の肩外れちまってるよ~。お前ケジメつけ・・・・」
のど元に剣を突きつける
「いい年下おっさんが2人でなにやってんの?せめてやるなら男相手にやれよ。見てておっさんたちがかわいそうになってくるって」
2人はキョトンとした顔で俺の方を見ると急に笑い出した
「にぃちゃん喧嘩売る相手見て言わんと怪我するで!ぎゃはははは」
これにはさすがに頭にきた
「じゃあちょっと痛い目見てもらおうか」
2人をつれて路地裏へ
~3分後~
何事もなかったかのような顔で戻ってくるとまだ女の子が立っていた
女っていってたけどローブ来てて俺からするとわからないんだけどな・・・・
そんなことを考えつつ言葉をかける
「大丈夫?次からは気を付けなよ?」
声はかけたものの返事がない
しょうがないか、返事か来るのを諦めて去ろうとした時だった
「ぁ、ぁり・・と・・・・・」
消えそうな声で多分ありがとうって言われた気がしたので手を振って俺はアフィナの鍛冶屋へ向かった




