迫り来る脅威
「やれやれ、やっとハモンド侯爵領の領都だな?」
「まぁこんなもんだろ?しかし┅魔物が多すぎるな?こんな街道近くに現れるか?」
「ウフ♪アンタ達と一緒なら私は何もしなくて済むわね、さぁ!行きましょ!」
数日前王都冒険者ギルドにて┅
王都冒険者ギルド本部解体長リチャードとジャルドはグランドマスターに呼ばれた
通称マスターと言われ王宮に影響力を持つ、薬師院、魔術院と同じ力を持っている
ヨハンネスは元冒険者、Sクラス以上の能力者と言われ、伯爵の爵位を授かっている、歳は45歳で妻は1人、娘が2人の家族思いの男、娘に甘く過保護でもある
「リチャード?この買い取り明細と支払い額はなんだ?」
差し出された紙にはウィルドボアとワイバーンの明細、それと支払い額┅
「ああ、これですかい?これがどうしたんです?」
「マッタク┅なんでこの金額で買い取った!こんな額にはならんだろ?」
「ガァハハ!マスターもそう思うでしょ?しかしそれでも安く済んだんですぜ、久々のAランク魔物だし数もあった、それと綺麗な死骸だったからなぁ」
「なぁマスター?アンタはウィルドボアにキズ1つ付けず倒せますか?ワイバーンにもキズ1つ付けずに?」
「何を馬鹿な事を言ってる、ウィルドボアなんて15mはする巨体だぞ?それとワイバーンは空から来るんだ、そんなのは無理だし不可能だ!」
顔を見合せニヤリと笑うリチャードとジャルド
「ガァハハ!そうだろうなぁ!だがその買い取った奴にはキズ1つ無かった、勿論ワイバーンにもですぜ?ククク」
「俺とコイツでどう仕留めたか考えたが、未だに分から無い、まぁお陰でワイバーンの血は沢山取れましたがね」
「なんだと!そんな芸当が出来る冒険者なんて聞いた事がないぞ!じゃあ毒でも含ませたか?しかしワイバーンは落ちて来る、キズが無いのはおかしい┅」
「毒は無理だ、ウィルドボアの肉は高級品で毒を使えば売れねぇ、ワイバーンもだ、マスター?ウィルドボアの頭に豆粒くらいの穴はあった、そして貫通したのか反対側に2つの穴、おそらく2発で仕留めた、4頭全部に見つかったんだ、その1つ穴は少し焦げてたからなぁ┅ワイバーンの4匹は首を一撃で切り落とされ後はウィルドボアと同じです、16匹のワイバーンが豆粒の穴くらいで倒されてんだ、訳わかんねぇ?」
「それにワイバーンはその16匹中5匹が魔石狙いで1発でした、魔石より肉と皮を選んだんでしょうな」
「ウィルドボアが余りにも綺麗だったし、まだ温かかったから商業ギルドと出入りの店に知らせやした、そしたら聞き付けた他の店も寄越せって言いやがって!」
「あれは結局競りになってその価格になったと言う訳です、マスターに仕留め方を見て貰おうと思ったんですがね?不在じゃあしょうがなかった」
「それ程か?┅この魔物を持ち込んだ冒険者とは何者だ?Aランクなのか?」
「それがぁ┅Dランクなんだ、ガラルドの冒険者でナオトと言ってたなぁ」
「良い奴でしたよ、腰も低く俺達が徹夜しない様に魔物を引っ込めたくらいですからね」
「引っ込めただと!それもDランクが!そんなの無理だろ!Dランクがワイバーンなんて┅」
「それにアイツは腹いせに飛んでも無いモノを出しやがった」
「あれな?アハハ!しっかりやられちまったよな?」
「どういう事だ?」
「いやね?リチャードが良くからかう手段で【銀蘭楼】を宿に紹介したんです、そしたら逆に良い宿でしたって、アハハ!オマケにカルラがソイツを気にいってしまって会うたびにナオトさんは?って聞かれる始末で、コイツの顔が潰れちまった、アハハ!」
「その腹いせってのが、朝一に買い取りカウンターで【ミラクルマシュー】なんてもんを出しやがって!買えると思いますか?クソッ!」
「ミラクルマシューだと!本物か!」
「ええ、本物でキズ1つ無く綺麗な容器に納めてやがった、処理を知ってる方法ですぜ、それとアイツは金に関心が無いのか、無頓着なのか、買い取り金と明細を見ないでバッグに入れやがった、マシューもサッサと納めて出て行った┅」
「ガラルドの冒険者┅おい!今度ハモンド侯爵の領都でオークションが開かれる、その目玉商品がレッドドラゴンとキマイラ、それにエリクサーが3本、その内の1本が幻の白いエリクサーだとさ、そのドラゴンとキマイラはキズ1つ無いそうだ」
「「えっ!えぇぇええ!」」
「多分そのナオトとか言う奴が倒したんだろう、ガラルドの冒険者ギルドが出品するそうだ、ドラゴンにエリクサーだ、国中から集まるだろうな、この時期にエリクサーは王族が喉から手が出る程欲しいだろうしな、それも完璧なエリクサーだぞ?」
「ガァハハ?なんでミラクルマシューも出さねぇんですかね?」
「アイツの事だ、何処かの病人でもやったとか?アハハ、それくらいはしそうだ」
「はぁ~どんな奴なんだ?物の価値を知らんのか?」
「否!アイツは知ってると思いやすぜ、だからキズ1つ付けずに倒す、あのマシューも外気に触れない様にしまってた、良く素材を知ってるから出来る芸当なんじゃねぇですか?それと時間停止機能付きのバッグでしたから」
「そうだよ、ありゃ相当金を持ってやがる、宿の値段も適正だとか言ってたしなぁ、只者では無いですな」
ヨハンネスは少し考えて1枚の書類を見せた、それはガラルドダンジョン仕様書が書かれたカルラからの報告書だ
「これはガラルドの冒険者ギルドから送られて来た、新しく発見されたダンジョンの報告書だ、それによるとこのS級ダンジョンは500年前の冒険者レベルの階層で、魔物も500年前のレベルになってるそうだ、階層が冒険者ランク毎になっていて、そのランクじゃ無いと進めない、変わったダンジョンらしい」
「500年前の?じゃあ魔物は強かった時代の奴が出ると?」
「そうだ、そして面白いのはダンジョン内で犯罪を犯したモノは、出る事が出来なくなり魔物に殺されると言う、身分制度も認めないだとさ」
「へぇ~そりゃ良い、安心して探索できるし貴族連中も入らねぇ」
「ダンジョンと言えば犯罪が付きまとう、証拠が残らない、誰が殺ったなんて分からない、それをダンジョンが監視するのか」
「冒険者ギルドとしてはそんなダンジョンは大歓迎だが、このレベル差が問題なのだ、500年前のレベルだと冒険者ランクを変えなきゃならん、お前達AランクはこれだとDランクだ、納得するか?」
「俺達がDランク┅」
「ガァハハ!要は魔物を倒しゃあ良いだけだ、ランクとかレベルは後から付いてくるもんじゃねえのか?」
「そう言うがその魔物のレベルが高いんだぞ!そんな考えの冒険者が多く死んでるらしい、ギルドの話を聞かない他所から来た冒険者達ばかりだ、王都の冒険者もかなり死んでる」
「えっ!そんなに?しかし王都のBランク冒険者がEクラスやDクラスの魔物に負けるとは思わないでしょう?他の連中もそうだ」
「だがな?現実にはゴブリンに王都のCクラスパーティーが殺されてる、少しは話を聞けと言いたいぞ」
「それは是非行ってみたい、マスター?俺達はナオトの事が気になって、ガラルドへ見に行こうかと決めてた、どうだろう?」
「あのナオトってのが町ではどうしてるのかとても興味があるし、町のギルドも知りたい、他にも同じようなのがいないかとか?」
「なぁ!マスター!休みの許可をくれよ、俺達ずっと休みを貰ってねぇ、良いだろ?」
「よし!許可する、それもダンジョン視察と町の調査も兼ねる、休みじゃないぞ、これはギルドの仕事だ、旅費はだす、ガラルドの宿は【清華亭】にしろ、ブレンダが経営してる」
「ブレンダさん?あの【夢幻】のですか?」
「そうだ、ガラルドの町にはその夢幻メンバーが揃って住んでる、ギルドマスターのカルマ、チャバル商会のドルード、それとギルドの解体長はドイドだ、どうだ?面白いだろう?」
「師匠がガラルドに┅それに夢幻のメンバーが揃ってるのは?」
「まぁ良いじゃねぇか!ジャルドは師匠に会えるし俺はカルマさんやブレンダさんに会える、ドルードの兄貴は遠慮して貰うか?ガァハハ!益々楽しみだ!」
ヨハンネスは不思議だった、このような時期にダンジョンが出来て、その町にはかつての英雄達が揃って住んでる
そして時を同じに魔物達が強くなってる、ナオトと言う冒険者も現れた、これは偶然なのか?
魔物の事はまだ良く分かっていない、何故強くなったのか?王都の近くにある肉ダンジョンと大迷宮の魔物は変わりないのもおかしい┅
在野の魔物だけが強くなって溢れてる
今も魔物討伐で大騒ぎの毎日、郊外の貴族屋敷も魔物に襲われ占領されて巣になってる
毎日毎日、冒険者の死者報告と貴族への被害、騎士団もかなり痛手を被ってる
王宮は何をしてるのだ!それにSランク冒険者は相変わらずどこぞの姫君と惚けている
全く危機感がない、その内にこの王都へも魔物が押し寄せて来るだろうに┅
「ヘッヘ!良かったな、これでガラルドへ行ける、それも仕事としてだ」
「だがな?片道馬車で10日は掛かる、その旅の間に魔物対策も必要だぞ?」
「最近は厄介だと言ってたな┅もう1人誰かいないか?」
「なぁ!アイツはどうだ?どうせ暇だろ?」
「アイツか!ガァハハ!そりゃ良い、これから行くぜ、明日には出発だ」
アイツ?誰?アイツとはかつての冒険者仲間で、この王都で道具屋をしている
魔術師のアーチャ、32歳独身、リチャードとジャルドとは一緒にパーティーを組んでいた仲である、魔法が得意で4属性持ち、弓術にも長けている
「お~い!アーチャ!居るか?」
「は~い!って┅なあんだ、アンタ達か、冷やかしなら帰んな」
「まぁそう言うな、どうせ暇なんだろう?薬草なんて入っちゃこねぇ、ポーションはバカ高くなりやがってよぉ、仕事ねぇだろ?」
「ホント嫌になるよ、唯一ガラルドには薬草が溢れてるけど魔物のせいで入荷出来ない、あっても高くて買えないよ」
「フッフフ!だからそのガラルドへ一緒に行かねぇかって事で来たんだ」
「俺達ギルドの仕事でガラルドへ行く、旅費はギルド持ちだ、宿もだぞ、アハハ、だがな?旅に不安がある、だからお前を入れて3人なら大丈夫なんじゃねぇか?って訳だ」
「そうなの、それは良いわね、私も行く!そしてガラルドのダンジョンで薬草をたんまりゲット!よ、次いでに稼ごうかしら」
「そのダンジョンの視察だ、そしてガラルドにはあの夢幻のメンバーが揃って住んでるんだ、楽しみだぞ?明日の朝出発だからな」
「分かったわ、それにしても夢幻メンバーがねぇ┅姉さん達がいるのか、フフ、楽しみ、私は支度するから明日は門の所で良いんでしょ?」
「そうだ、待ってるぞ」
リチャード達のパーティーには後2人いたが今はこの王都にはいない
Aランクパーティーとして名を馳せた時期には貴族からの誘いも多くありその2人は貴族お抱えとしてシアント王国へと渡って行った
シアント王国、ダンジョンの国として有名で王都事態がダンジョンの上にある大迷宮で、誰も攻略していない
そして多くのSクラス冒険者が日々挑んでいる
冒頭の続き┅
「ねぇ?あの領都にはよらないの?」
「このまま進む、あれを見ろ?騎士団と冒険者の混合チームだ、だが魔物に蹴散らかされてる、あんな所に行って見ろ、俺達も否応なしに参加させられるぞ」
「ガァハハ!弱ぇなぁ!オークに飛ばされてるぞ!だらしねぇ!こりゃ大変だな?遠くにも魔物の固まりだ、オークションを開くとか言ってたが大丈夫か?」
「その為に必死なのかもな?ハハハ、王族も来るんだそりゃ必死だろ?アハハ!」
「クワバラ、クワバラ早く行きましょ!ここから近いんでしょ?」
「領都からは馬車で3日とかだからな、明後日には着くだろう」
「それは魔物の邪魔が無ければの話よね?」
「そうだが盗賊がいないんだ、夜営が楽で助かる、魔物避けの結界も有るから問題ないだろ?」
「そうだけど、早く宿でお風呂に入りたいのよ、髪もベトベト、生活魔法だけじゃねぇ┅」
「石鹸でゴシゴシ洗やぁ良いだろ?」
「フン!あんな石鹸で洗っても落ちないわよ、硬くて全然駄目ね」
「俺はもう3ヶ月は洗ってねぇ、クリーンで十分だ、まぁ痒いけどな?ガハハ!」
っとまぁ時代後れの話をして笑う3人┅?
ガラルドの町はこの国でも最先端なのでは無かろうか?
その石鹸やシャンプーにリンス、冷蔵庫に鮮やかなファッション
下着も柔らかでブラジャーなんてのも普通に流通してる
料理や食材も王都では無い物ばかり、そして今流行ってるのはゲーム!
【リバーシ】が大流行してるのだよ~ん!
ダンジョンも大盛況で町はヒトやモノで溢れ賑やか
しかし!冒険者ギルドではカルマが頭を抱えていた、散々考えたダンジョンの管理方法が危ういのだ
他所からの冒険者達はまだレベルの違いを理解しない
馬鹿にするなと勇んで入るがボロボロになって出て来る、初めて入るモノ達には30分の講習をしてると言うのにだ!
ガラルドではは冒険者講習を受けなければ登録出来ない様にした
新人冒険者や低ランク冒険者にも週に1度は講習を義務付けしてる
だからレベルの事も良く分かってる、自分が挑める階層だけで金を稼いで生活してるのだ
その生活はとても駆け出し冒険者とは思えない程の暮らし、豊かな生活を送ってる
一方の他所からの冒険者達はやれポーションが足りないだ!剣が悪いやら文句ばかりで言うことを聞かないから┅┅
死者は大抵他所からの冒険者、犯罪に堕ちたモノも死んでる
小冊子を渡してるのにだ!
冒険者は個人責任でとやかく言うモノはいない、死んでも自己責任
しかしギルドは後処理がある、死因と回収
聞き取りや確認に追われる、ダンジョンのお陰でギルド職員も増えた、新たに副ギルドマスターも派遣されカルマの書類整理は減った
まぁ執務室に寝泊まりが出来なくなったが?
カルマはギルド宿舎へ部屋を設け今はそこに住んでる
隣と言う事もあって家を買うとか借りる事はしなかった
お陰で毎日清華亭へメリアと通う日々
宿舎には風呂も付いてる、生活は楽になったが問題は構わずやって来る
そしてあの面倒くさい連中も┅┅




