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第5話 光の兆し — 新しいクラスと小さな変化

新4年生の始業式の日は、春の光がやわらかく差し込んでいた。


校庭の桜はまだ少しだけ残っていて、風が吹くたびに花びらが舞った。


校門の前で立ち止まり、ハルは名札をそっと押さえた。


人の多さに少しだけ緊張していたところへ、


「おい、ハル!こっちこっち!」

タケシが手を振って走ってくる。


その後ろには、同じクラスになった数人の男子がいた。


「ハルってさ、背伸びたよな!」


「新しいクラス、なんか楽しそうじゃね?」


「席近いし、また一緒に遊べるな!」


そんな何気ない言葉が、

ハルの胸の奥にじんわりと染み込んでいく。


(……なんだよ、みんな普通に話しかけてくれるじゃん)


そこへ、金色の髪の少女が、そっと近づいてきた。

「ハル、制服似合ってるわよ」


ジェシカが微笑む。


その笑顔は、どこか安心させる力があった。


「べ、別に……普通」


ハルがそっぽを向くと、タケシが肘でつつく。


「お前、照れてんじゃねーよ!」


「照れてなんかないよ!」


そんなやり取りに、周りの男子たちが笑った。


その時——

「みんな〜、並んで〜……あっ、書類落としちゃった!」


ゆかり先生が、白衣のポケットからプリントをばさばさと落とし、

慌てて拾い集めていた。


袖口には、なぜか絆創膏が三枚。


「先生、またやってる……」

「今日くらいしっかりしてよ〜!」


生徒たちの軽いツッコミに、

ゆかり先生は「えへへ……」と照れ笑いを浮かべた。


その光景に、ハルの肩の力がふっと抜けた。


(……なんだよ。みんな、いつも通りじゃん)


式が終わる頃には、

ハルの表情は少しだけ柔らかくなっていた。


帰り道、タケシが言った。


「春休みみたいに、また遊ぼうぜ。

お前、最近ちょっと元気なかったみたいだし」


「……別に。元気だよ」


そう言いながらも、

ハルの胸のざわつきは、ほんの少しだけ静まっていた。


ジェシカが横からそっと言う。


「ハル、無理しないでね。

あなたは、あなたのままでいいのよ」


その言葉が、春の風みたいに胸に触れた。


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