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第28話 見知らぬ景色

教室の窓から見える校庭。


遥斗はぼんやりとその景色を眺めていた。


何かを忘れている気がする。


けれど、それが何なのか分からない。


ふと浮かんだ記憶に、

遥斗は静かに目を閉じた。


クロエがいて。


健志がいて。


そして――


ジェシカがいた。


みんなが同じ方向を向いて笑っていた頃。


まだ何も変わっていないと思っていた頃。


記憶はゆっくりと、

中学二年の秋へと戻っていった。


放課後。


体育館から出ると、

夕陽が校舎を赤く染めていた。


練習を終えた遥斗は、

首に掛けたタオルで汗を拭く。


バスケ部は今年も好調だった。


期待の新人が入り、

チーム全体のレベルも上がっている。


顧問からの期待も大きく、

練習量は以前の倍近くになっていた。


「ハル、お前今日も調子良かったな!」


「そうか?」


「そうかじゃねぇよ。あのシュート何本決めたと思ってんだ」


「分かってないな、ハル?」


「いや、分かってるよ!」


その時だった。


ふと視線の先に、

見慣れた金色の髪が見えた。


ジェシカだった。


陸上部のジャージ姿のまま、

グラウンド脇のベンチに座っている。


その隣には男子生徒がいた。


同じ陸上部の先輩だろうか。


二人は何か話している。


男子生徒が笑う。


ジェシカも笑った。


(ジェシカ、楽しそうだ)


遥斗は無意識に足を止めた。


別に珍しいことじゃない。


ジェシカにも友達はいる。


それなのに――


「ハル!水飲んだのか?」


「あ……」


健志が気づいた。


「どうした?」


「いや……」


遥斗は、すぐに水筒を口にした。


「練習に戻るぞ、ハル」


遥斗も後を追う。


(ジェシカにだって友達くらいいる)


でも……


「パシッ」


遥斗は自分の頬を軽く叩いた。


「タケシ、練習いくぞ!」


遥斗は健志の肩をぽんと叩くと、

先に走り出した。


それでも、

さっき見た光景だけは頭から離れなかった。



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