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第21話 タケシの心の声。

クロエがお泊まりした翌日。

夏の空は雲ひとつなく、海へ行くには最高の日だった。


「クロエ、今日は海だよ!」

ジェシカが言うと、クロエは尻尾をぶんぶん振り、

“任せろ”と言わんばかりに先頭を歩き出した。


海に着くと、

健志がタオルを放り投げて叫んだ。


「よっしゃー! 夏だー!!」


しばらくして、ジェシカが水着姿で現れた瞬間——

健志は固まった。


「じ、ジェシカ……それ……反則……!」


ジェシカは首をかしげる。

「え? 普通だよ?」


「普通じゃないよ」


健志は思わず見入った。


健康的で、

明るくて、

夏の光が似合いすぎる。


「いや〜、これは……すごい……」


その瞬間——


ガブッ。


「ぎゃああああああああ!!」


クロエが健志の足に噛みついた。

もちろん本気ではなく、

“おいコラ”程度の軽い警告だ。


「なんでだよクロエぇぇぇ!!」


クロエは“当然でしょ”という顔で尻尾を振った。


ジェシカは吹き出し、

遥斗も思わず笑った。


(……クロエ、容赦ないな)

しかし健志は反省しない男だった。


ジェシカが日焼け止めを塗っている間、

健志の視線が、

近くを通ったお姉さんへ向いた。


その瞬間——


ガブッ!!


「ぎゃあああああああああああ!!

 お尻はやめろぉぉぉ!!」


クロエは完全に“教育モード”に入っていた。

健志は砂浜を転げ回り、

そのまま逃走。


「待てぇぇぇ!!」

クロエが追いかける。


砂浜を走る中学生男子と黒い犬。

その後ろで、

ジェシカと遥斗は腹を抱えて笑った。


「タケシ、ほんと懲りないね」

ジェシカが涙を拭いながら言う。


「……まあ、あいつだからな」

遥斗も笑いながら答えた。


しばらくして、

砂まみれの健志と、勝ち誇ったクロエが戻ってきた。


「はぁ……はぁ……クロエ……お前……鬼か……」

健志は膝に手をつきながらゼェゼェしている。


クロエは“当然でしょ”と胸を張った。


ジェシカはその様子を見て、

また笑い出した。


クロエは誇らしげに胸を張る。


まるで、


(今日も平和を守りました)


と言いたげだった。


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