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第12話 朝から全力ジェシカ、そして実習生登場!

昨日のジェシカとクロエの立ち回りが、まだ頭のどこかに残っていた。


タケシたちと教室に入った瞬間——


「おはよう!」

ジェシカの大きな声が飛んできた。


その明るさに、頭のもやもやが吹き飛んだ……

いや、ぶっ飛んだ。


「なによ、その驚きは!」


「べ、別に」


「何よ、その“別に”は!」


そのやり取りに、周りのクラスメイトが大笑いした。


教室の中に、爽やかな風がふわっと流れた。


教室の扉が「ガラガラ」

「おはようございまーす!」


ゆかり先生が、両手いっぱいにプリントを抱えて入ってきた。


その瞬間——


ガサッ。

教卓の前で、全部落とした。


「あらまぁ……またやっちゃったわ」


クラスがどっと笑う。

でも、誰もバカにしない。


「大丈夫ですか、ゆかり先生。持ちますよ」


清瀬(きよせ)先生がすっとしゃがみ、

落ちたプリントを丁寧に拾い始めた。


「あら、ごめんなさいねぇ……ほんと、助かるわ」


「いえいえ。僕のほうこそ、勉強になります」


(勉強?)

「何の勉強ですか、それ!」


またクラスが大笑い。


ゆかり先生が、笑いを断ち切るように言った。


「清瀬先生、これ配ってもらっていいかしら?」


清瀬先生がプリントを受け取ろうとした瞬間——


ゆかり先生の袖が引っかかり、数枚がひらりと落ちた。

「あっ……あらら……」


清瀬先生は笑顔で言った。

「大丈夫ですよ。僕、慣れてきましたから」


(慣れてる?)

「何よ、慣れてるって!!」


またクラスが大笑い。


「やだ〜もお〜」

「ほんとにごめんなさいねぇ」


「先生、拾います!」

「これ、順番に配りますね!」

子どもたちが自然と動く。


ゆかり先生は、少し照れたように笑った。


「みんな、ありがとうねぇ……ほんと助かるわ。

いつも助けてもらってばかりで」


「ゆかり先生」

タケシが言った。


「先生って……僕たちが困ってるときとか、

落ち込んでるときとか、


何も言わなくても

気づいてくれるじゃないですか。


だから……僕たちの方がありがとうです」


一人ひとりが笑顔で頷く。


「いいクラスですね。ゆかり先生の雰囲気が伝わってるんだと思います」


「そんなこと言わないでよぉ……」


(……なんか、いいな)

昨日の胸のもやもやは、まだ残っている。

でも、このやり取りを見ていると、

ハルは少しだけ心が、軽くなる気がした。


ゆかり先生が、ふと思い出したように手を叩いた。


「みんな、紹介が遅れました。

 今日から皆さんと一緒に勉強をする、

  新しい教育実習生の清瀬先生です」


視線が一斉に清瀬先生へ向く。


清瀬先生は、柔らかい笑顔で前に出て頭を下げた。


「みなさん、おはようございます。

清瀬(きよせ) (とおる)といいます。

今日からしばらく、このクラスで勉強させてもらいます」


声は落ち着いていて、どこか安心を含んでいた。


「実は……さっきのプリントの件もそうですが、

僕はまだまだ未熟で、

ゆかり先生に、助けてもらってばかりです」


「えっ、私が落としたのよ?」

ゆかり先生が目を丸くする。


清瀬先生は少し照れたように笑った。


「はい。

ゆかり先生は、子どもたちのことを一番に考えていて……

その姿勢を、僕も見習いたいと思っています」


クラスがざわっと温かくなる。


「だから、みなさん。

僕にも、いろいろ教えてくださいね。


このクラスの“良さ”を、

僕も一緒に感じたいと思っています」


タケシが 「おー!」 と声を上げ、

周りの子たちも自然と笑顔になった。


ゆかり先生は耳まで赤くなりながら言った。


「もう……そんなこと言わないでよぉ……」


またクラスが笑う。


(……なんか、本当にいい先生だな)

ハルは胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じた。


この教室の空気は——

確かに優しかった。


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