第二十四話 新しい鉱脈?
ロラン達は隣国へと向かうことにした。グランバルドとは反対方向の森を抜ける。そこの街までは、だいぶ遠く、馬車でも5日かかるような場所にあった。リーフェルの畑で食料を収穫し、旅で困らない量の食材を準備して、そして、種も収穫した。それらを、三人で分配して運搬するようにした。人間であるガレスには替えの服など軽いものを持たせた。ロランは子供とはいえ、大人以上の力持ちでドワーフとしての剛力さを兼ね備えていた。
森はどんどんと深くなり、雰囲気もどんよりとしてきた。ただならぬ気配に三人は武器を構えた。ガレスは包丁を構え、警戒をしていた。
「ガレスさん、戦えるの?」
「多少だけな!基本は逃げる専門だが、二人が戦うなら!俺も!」
ガレスは戦いには慣れてはいない。警戒をしながら、前へ進むとそこにはドラゴンベアがいた。魔獣の中でも比較的大きい部類に入る。ロランはステータスを確認して、魔獣の情報を手に入れた。硬い毛に覆われており、物理攻撃があまり効かないようだ。
「ゲイル、こいつDランク魔獣だ。気を付けて!皮が固くて攻撃も通らないって!」
「そんなのやってみないとわからねぇよ!」
ゲイルは棍棒を握り直し、土埃をたてながらジャンプをして、ドラゴンベアの頭を目掛けて、殴りかかった。しかし、ドラゴンベアの攻撃は止むことはなかった。何度もゲイルは頭に目掛けて、叩いていくと体勢を崩し、ドラゴンベアは膝をついた。すかさず、ロランが攻撃を仕掛ける。
―グサッ
ロランはドラゴンベアの目に短剣を刺した。緑の血が噴き出し、痛がるドラゴンベア。すかさず、ロランの腰に付けていたナイフをゲイルが持ち、反対の目も刺した。怖くて震えが止まらない中、二人はドラゴンベアを倒した。ガレスは包丁を構えたまま、固まっていた。
「ふぅ…ふぅ…なんとか…やったか…。」
「あぁ、なんとかな。武器も考え物だな。ハハハ」
ゲイルは棍棒だけでは戦いにくい事を知った。お金をためて別の武器も視野に入れなければ、負ける時が来ることを知ったのだった。
「ガレス、大丈夫かぁ?」
「あぁ、俺は大丈夫だ…。でもよ、足の震えが止まらねぇよ。」
ロランも手の震えが止まらなくなっていた。ナイフと短剣を回収するときでさえ、力が入らず、上手く握る事が出来ないでいた。ロラン自身も恐怖で震えていたのである。
しばらく、呆然として休憩を挟むことにした。ドラゴンベアと戦った余韻がまだある。周りの木のこすれる音でさえ、少し怖さを感じていた。
「勝ててよかった…。本当に…。」
「あぁ、ロランもいい動きしていたぜ!ガレスさんもよく逃げなかったな…。」
「二人が戦っているのに、逃げるわけにはいかないよ!」
一人一人が労い、三人で笑い飛ばしていた。
今の戦いでステータスが変わっていないか、ロランとゲイルは確認をした。ゲイルは変わらずだったが、ロランのレベルが上がっており、スキルも手に入れていた。
「今の戦いでレベルが上がったみたい…。スキルも手に入れたって…。」
「おっ、今度のスキルは何だ?」
「建築Lv1だってさ。あ、今気付いたんだけど、いつの間にか再生もLv3になっていたよ。」
「ハハハ、あれだけ再生スキル使っていたら、レベルも上がるさ!」
「建築も使えば上がるのかな?何が起きるんだろう…。ワクワク…。」
ロランは建築のスキルを使ってみることにした。とりあえず、使い方がわからないので、手をかざして叫んでみることにした。
「建築!!!」
「…………。」
何も起きなかった。建築のスキルはそもそもこういう使い方ではないらしい。
「なぁんだ。スキル使ったら、家が建つとかじゃないんだ。」
「ハハハ、流石にそこまでじゃなかったようだな。」
三人は笑いながら、先に進んでいった。
魔獣とも何度も交戦し、いつもギリギリの戦いで勝利する。そんなへとへとになりながら、森を抜けた。傷も交戦の度に増えていった。疲弊し、森を抜ける頃にはゲイルもロランもさらにレベルが上がっていた。ロランのスキルは地脈感知Lv1を手に入れていた。ロランはこの頃に気付き始めていた。レベルが上がるとスキルも手に入れていることに…。
隣国とリーフェルの中間地点に着いた。かれこれ5日は歩いてきただろうか…。森を抜け広い海と高い岩山のふもとで野営する。すると、ここでガンテが何かを察知し、意識をロランと繋いだ。
山の中に無数の輝きがあった。ただ、そこには廃坑らしき入口もない。ロランが頭を抱えているとゲイルがロランの様子に気づいた。
「ロラン、どうした?何かあったか?」
「いや、あの、ガンテの鉱石感知が反応しているんだけど、廃坑の入り口が無くて…。」
「なに!?…それって…、新しい鉱脈があるんじゃねぇか?」
「え!?どうしたらいいの?でも、まだこの辺ってリーフェルの領地だよね?」
「確かにまだ、リーフェル領だから……どうするんだ?」
「ねぇ、ここで掘ってみてもいいかな?」
「街には行かないってこと?」
「俺、ここで掘ってみたいよ。」
「ガレスはどうする?」
「俺は二人に任せるよ。料理が出来ればどこだっていいさ!」
ロランは不思議な感覚に襲われていた。何故かはわからない。ここで居座った方がいいと感覚でそうさせた。




