表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物合成で世界に抗う反逆譚~HP10の凡人おじさん、ダンジョンマスターになる~  作者: 藍之介
vs.『ダンジョン討伐軍』編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/109

第97話 vs.討伐軍 ㊱ -セラド戦-

「……不遜な」


 精霊女王ティターニアの白銀の瞳が、わずかに細まる。

 その瞬間、広間の空気が変わった。

 挑発的な笑みを浮かべるバフォメットに対し、ティターニアは表情一つ変えることなく、背後の空間に無数の魔法陣を展開した。


 火が唸り。

 水が荒ぶる。

 土が震え、風が刃を研ぐ。


「……万象、灰燼に帰せ」


 ティターニアの冷徹な声が響くと同時、広間全体が四つの色に染め上げられた。

 火、水、土、風。


 自然界を司る四元素の極大魔法が、一切の詠唱すらなく、矢継ぎ早にバフォメットへと放たれた。

 先ほど鬼一を瀕死にまで追い込んだ、いや、それ以上の攻撃がバフォメットに襲い掛かる。


 まともに受ければ、いかなる魔物であろうと塵一つ残らない。

 俺は、あまりの規模に息を呑んだ。


 ティターニアが指を振るう。


 天井を埋め尽くすほどの『原初火プライマル・フレア』が降り注ぐ。


 一本一本が、通常の火球とは比較にならない。

 広間の酸素そのものを喰らい、燃え広がる灼熱。

 それが、雨のようにバフォメットへ殺到する。


 しかし、バフォメットは避けなかった。

 むしろ、あくびでもするように口元を歪める。


「量だけは立派だな。……けどよ」


 バフォメットが、右手を軽く掲げた。

 白い掌に、淡い光が灯る。


「術式が雑すぎるぜ!」


 降り注いだ業火の塊たちが、バフォメットの周囲一メートルほどの地点で、音もなく消滅した。


 爆発すら起きていなかった。

 まるで最初から存在しなかったかのように、火の概念そのものが消えたのだ。


「は……?」


 俺は思わず間抜けな声を漏らした。

 だが、精霊女王は、表情を変えない。

 次の魔法はさらに速かった。


「大地よ、噛み砕け」


 地面が爆ぜた。

 巨大な岩のあごが、左右からバフォメットを挟み潰そうと迫る。

 鬼一が先ほど剣で粉砕した『大地槍グランド・ランス』とは違う魔法だった。


 地面そのものが、巨大な魔獣の口となっている。

 その口に噛まれれば、骨も肉も鎧も関係なく粉々になるであろう。


「遅ぇよ! 水と土の複合か? 結びつきが甘すぎて欠伸が出るぜ!」


 バフォメットがパチンと指を鳴らすと、黒い波紋が地面に走る。

 その波紋が岩の顎に触れた瞬間、岩は灰のように崩れた。

 崩れた土砂は、黒い霧となって霧散する。

 バフォメットは、心底つまらなそうに肩をすくめた。


「この通り、結合を崩されりゃ、ただの砂だ」


「……ならば」


 そこから精霊女王は、次々に魔法を繰り出す。

 しかし、どんな魔法もバフォメットには通じなかった

 パチン、という軽快な音に呼応するように、襲い掛かってきた水の刃も、不可視の暴風も、すべてがバフォメットに触れる数メートル手前で、システムエラーを起こしたかのように次々と消滅していく。


「嘘だろ……あのデタラメな精霊魔法を、全部無効化してるのか……?」


 俺は信じられないというように呟く。

 魔力による力押しではないように見える。

 バフォメットが、そこまで魔力を使っているようには見えなかったのだ。


「ほらほら、どうした女王サマ! そんなもんか!?」


 バフォメットは笑いながら、ティターニアに向かって悠然と歩みを進める。

 どんな魔法を放っても、届く前にすべて無に還される。

 ティターニアの瞳に、初めて「理解不能」という名の動揺の色が走った。


「……ならば」


 ティターニアは魔法による遠距離攻撃を放棄し、その白く美しい手刀に四元素の魔力を極限まで圧縮させ、自らバフォメットの首を刎ねようと踏み込んだ。

 それは空間を切り裂くような、神速の手刀。

 だが、バフォメットはそれを避けることすらしなかった。


「甘ぇよ。ここからは、俺様のターンだ」


 バフォメットの左半身――漆黒の装束が、不気味に波打つ。

 その左手から、黒い靄が溢れ出す。

 粘つくような、重い黒。

 それは床を這い、壁を伝い、空気の隙間へ染み込むように広がっていった。

 ドロリとした濃密な『闇』が、段々と周囲を侵食し、一瞬にして広間を底なしの沼のような黒に染め上げる。


「――【黒羊のブラック・サバト】」


面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、ブックマークと評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
魔物って戦ってればいずれ進化したりスキルは増えるんですか? 例えば普通に召喚した魔物は進化するけど、合成魔物は進化しなかったり、スキルは固定で増えないとかいろいろありますけど、かなり気になります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ