第92話 vs.討伐軍 ㉛ -セラド戦-
突然現れたグレムリンとユニコーンに、ミロが目を白黒させる。
「本当に魔物を召喚できるんだな……」
「俺はダンジョンマスターだって言ったろ?」
そうミロに応えると、俺は再び気合を入れなおした。
「だが、本番はここからだぞ……」
二人から受け取った、『解呪の秘石』を強く握りしめる。
ゆっくりと端末を操作し、合成の画面を開く。
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『魔物合成』
選択:ユニコーン/グレムリン
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ここまでは通常の合成だ。
「この解呪の秘石を『触媒』として組み込む。……頼む、成功してくれ!」
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【魔物合成コスト確認】
・素材ランク【C+】:1,500 DP
・触媒追加:100 DP
合計消費DP:1,600 DP
『合成を実行しますか? YES/NO』
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俺は祈るような気持ちで【YES】を押した。
その瞬間だった。
端末の画面が、突如として真っ赤な警告色に染め上げられた。
『警告:想定以上のエネルギー反応』
『個体変異の兆候を検知』
『合成結果が大幅に変動します』
「なっ……またか!?」
この警告は、アビスの時と同じ。
強大な魔物が誕生する兆候であった。
「お、おい、なんかヤバそうだぞ! 失敗したんじゃないのか!?」
端末から発せられる警告音を聞いて、ミロが慌てた声を上げる。
「これは……」
ユニコーンとグレムリンから、視界を奪うほどの強烈な光と、底知れぬ漆黒の闇が螺旋を描きながら迸る。
聖と魔という相反する魂が衝突する。
その衝突は一回で終わらず、何度も何度も激突している。
明らかに異常な光景であった。
右回りの白。
左回りの黒。
それらが、渦を巻いて上昇していく。
やがて光は収束し、一つの繭へと変わっていった。
だが、それは普通の繭ではなかった。
その繭の右半分は、教会の壁画のように白く輝いていおり、左半分は、夜の底を固めたように黒い。
白と黒。
相反するものが、一つの胎動として脈打っている。
ドクン。
ドクン。
その時間がとても長く感じられた。
ボンドとミロは、その様子を固唾を飲んで見守ることしかできなかった。
やがて胎動は収まり、繭が割れる。
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【合成完了】
ユニコーン×グレムリン
触媒:解呪の秘石
→『双極の羊魔』
ランク:A-(ユニーク個体)
スキル:【聖魔法】【闇魔法】【浄化】【解析】【反転魔法】
特性:【聖魔合一】
聖なる血と悪魔の魂が融合して生まれた、聖と魔の力を宿す羊魔。
右半身は、回復や浄化などの聖の力を操り。
左半身は、呪いや闇などの魔の力を司っている。
ただし精神面は極端に不安定であり、強い刺激によって人格が反転することがある。
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「……双極の羊魔だって……?」
二色の繭の中から現れたのは、人間に近い姿の魔物だった。
小さな体に、中性的な顔立ち。
男とも女ともつかない、儚げな美しさ。
頭部には、山羊や羊を思わせる立派な二本の湾曲した角。
右の角は白く、淡い光を帯びており。
左の角は深淵のように真っ黒であった。
髪もまた、右半分は雪のような白。
左半分は夜のように黒い。
衣服は長い袖のローブに似ており。
右半身は、白を基調とした清らかな意匠。
左半身は、黒を基調とした魔術師のマントのような意匠に仕上がっている。
聖と魔、白と黒。
相反する二つの性質を一つの肉体に統合したような、神秘的でありながらどこか冒涜的な美しさを持つ存在。
双極の羊魔。
「……A-ランクだって!?」
Aがつくランクの魔物。
このダンジョンの最高戦力である、鬼一をもってしてもB+ランクである。
それを凌駕する魔物――。
どうやら俺たちは賭けに勝ったようだ。
これで、エルフの子もきっと助けられる。
そう思った時、生まれたばかりのその魔物は、ゆっくりと目を開いた。
その瞳が、俺とミロを捉えた瞬間。
「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!?」
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