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魔物合成で世界に抗う反逆譚~HP10の凡人おじさん、ダンジョンマスターになる~  作者: 藍之介
vs.『ダンジョン討伐軍』編

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92/108

第92話 vs.討伐軍 ㉛ -セラド戦-

 突然現れたグレムリンとユニコーンに、ミロが目を白黒させる。


「本当に魔物を召喚できるんだな……」


「俺はダンジョンマスターだって言ったろ?」


 そうミロに応えると、俺は再び気合を入れなおした。


「だが、本番はここからだぞ……」


 二人から受け取った、『解呪の秘石』を強く握りしめる。

 ゆっくりと端末を操作し、合成の画面を開く。


-----------------------------------------------------

 『魔物合成』

 選択:ユニコーン/グレムリン

-----------------------------------------------------


 ここまでは通常の合成だ。


「この解呪の秘石を『触媒』として組み込む。……頼む、成功してくれ!」


-----------------------------------------------------

【魔物合成コスト確認】

・素材ランク【C+】:1,500 DP

触媒アイテム追加:100 DP

 合計消費DP:1,600 DP


『合成を実行しますか? YES/NO』

-----------------------------------------------------


 俺は祈るような気持ちで【YES】を押した。

 その瞬間だった。

 端末の画面が、突如として真っ赤な警告色に染め上げられた。


『警告:想定以上のエネルギー反応』

個体変異ミューテーションの兆候を検知』

『合成結果が大幅に変動します』


「なっ……またか!?」


 この警告は、アビスの時と同じ。

 強大な魔物が誕生する兆候であった。


「お、おい、なんかヤバそうだぞ! 失敗したんじゃないのか!?」


 端末から発せられる警告音を聞いて、ミロが慌てた声を上げる。


「これは……」


 ユニコーンとグレムリンから、視界を奪うほどの強烈な光と、底知れぬ漆黒の闇が螺旋を描きながらほとばしる。

 聖と魔という相反する魂が衝突する。

 その衝突は一回で終わらず、何度も何度も激突している。

 明らかに異常な光景であった。


 右回りの白。

 左回りの黒。

 それらが、渦を巻いて上昇していく。

 やがて光は収束し、一つの繭へと変わっていった。


 だが、それは普通の繭ではなかった。


 その繭の右半分は、教会の壁画のように白く輝いていおり、左半分は、夜の底を固めたように黒い。

 白と黒。

 相反するものが、一つの胎動として脈打っている。


 ドクン。


 ドクン。


 その時間がとても長く感じられた。

 ボンドとミロは、その様子を固唾を飲んで見守ることしかできなかった。

 やがて胎動は収まり、繭が割れる。


-----------------------------------------------------

【合成完了】

ユニコーン×グレムリン

触媒:解呪の秘石

→『双極の羊魔(バフォメット)


ランク:A-(ユニーク個体)

スキル:【聖魔法】【闇魔法】【浄化】【解析】【反転魔法】

特性:【聖魔合一】


聖なる血と悪魔の魂が融合して生まれた、聖と魔の力を宿す羊魔。

右半身は、回復や浄化などの聖の力を操り。

左半身は、呪いや闇などの魔の力を司っている。

ただし精神面は極端に不安定であり、強い刺激によって人格が反転することがある。

-----------------------------------------------------


「……双極の羊魔(バフォメット)だって……?」


 二色の繭の中から現れたのは、人間に近い姿の魔物だった。


 小さな体に、中性的な顔立ち。

 男とも女ともつかない、儚げな美しさ。


 頭部には、山羊や羊を思わせる立派な二本の湾曲した角。

 右の角は白く、淡い光を帯びており。

 左の角は深淵のように真っ黒であった。


 髪もまた、右半分は雪のような白。

 左半分は夜のように黒い。


 衣服は長い袖のローブに似ており。

 右半身は、白を基調とした清らかな意匠。

 左半身は、黒を基調とした魔術師のマントのような意匠に仕上がっている。


 聖と魔、白と黒。

 相反する二つの性質を一つの肉体に統合したような、神秘的でありながらどこか冒涜的な美しさを持つ存在。


 双極の羊魔(バフォメット)


「……A-ランクだって!?」


 Aがつくランクの魔物。

 このダンジョンの最高戦力である、鬼一をもってしてもB+ランクである。

 それを凌駕する魔物――。


 どうやら俺たちは賭けに勝ったようだ。

 これで、エルフの子もきっと助けられる。


 そう思った時、生まれたばかりのその魔物は、ゆっくりと目を開いた。

 その瞳が、俺とミロを捉えた瞬間。


「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!?」


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