第91話 vs.討伐軍 ㉚ -セラド戦-
俺は、端末の画面を開いた。
まず確認すべきは、今の俺自身の状態だ。
第一階層で討伐軍を倒した分。
そして、第二階層でレイがリュネを仕留めたことで得たポイント。
それらが一気に流れ込んだ結果、大きくレベルが上がっていた。
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名前:ボンド
職業:ダンジョンマスター LV:10(+2)
HP:58/58(+14)
MP:45/45(+12)
筋力:20(+8)
魔力:27(+11)
耐久:21(+9)
俊敏:18(+6)
運 :28(+8)
【スキル】
・魔物合成(LV:2)
・鼓舞(LV:1)
【実績】
深海の塔:第2階層突破
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「ついに、レベル10か……」
思わず乾いた声が漏れた。
普通ならば、感慨に耽りたい場面だが、今はそんな場合ではない。
レベルが10の節目に達したことで、【魔物召喚】リストには新たな魔物が追加されていた。
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【NEW(LV9開放)】
・コカトリス:C+(1,200DP)
鶏の頭部と蛇の尾を持つ、猛毒を持つ怪鳥。
鋭い嘴と鉤爪による素早い攻撃を得意とする。
古くは「死を告げる鶏蛇」と呼ばれ、冒険者たちから忌み嫌われている。
・ケンタウロス:C+(1,400DP)
人の上半身と馬の下半身を持つ、誇り高き半人半馬の戦士。
高速機動と弓術、槍術に優れ、広い空間での集団戦に真価を発揮する。
一度忠誠を誓った主には、草原を駆ける風の如く馳せ参じる。
【NEW(LV10開放)】
・アルラウネ:C+(1,600DP)
巨大な魔花から生まれる高位の魔物。
甘い香気で敵を惑わせ、蔓と毒花で敵を拘束する。
咲き誇る花弁は美しくも危険であり、近づく者の心と血を静かに絡め取る。
・ユニコーン:C+(1,700DP)
純白の身体と螺旋の角を持つ聖なる魔獣。
浄化、解毒、治癒、呪いへの抵抗に優れ、邪悪な魔力を祓う力を宿す。
その角は古来より、あらゆる穢れを貫く「白き奇跡」と称された。
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俺の目は、新しく解放された魔物に釘付けになった。
浄化の力を持つ『ユニコーン』。
こいつなら、呪いを浄化できるかもしれない……。
いや、それだけでは駄目だ。
この子の首輪は、ただの呪いではない。
精霊から流れ込む、膨大な魔力の受け皿として機能している、特殊な魔道具だ。
ならば、この首輪の構造そのものを理解できる魔物が必要になる。
「……そうか、グレムリン!」
召喚できる魔物の中に、魔道具の解析や破壊に長けたグレムリンがいる。
この組み合わせなら、首輪の効果を消す特性を伸ばせるかもしれない。
これ以上、今の俺に組める手札はない。
「決めた。……ユニコーンとグレムリンを召喚する」
「お、おい……本当に大丈夫なんだろうな?」
ミロが不安そうに俺を見る。
「正直、大丈夫とは言い切れない」
「言い切れよそこは!」
「……それでも、助ける可能性があるなら、やるしかない」
俺は決意を固め、デバイスの召喚ボタンをタップした。
『ユニコーンを召喚しますか?』
『消費:1,700DP』
「召喚」
選択した瞬間、端末から白銀の光が溢れ出した。
ひんやりとした小部屋の空気が、ふわりと澄んでいく。
血と土と焦げた魔力の匂いが、雪解けの朝のような清浄な気配に塗り替えられた。
光の中から現れたのは、純白の馬。
月光を編み込んだような鬣。
額には、淡い金色に輝く螺旋の角。
その瞳は深い湖のように静かで、見るだけで心が落ち着くようだ。
ユニコーンは俺の前に歩み出ると、静かに膝を折った。
『我が角、我が血、我が命。主の望む浄化のために』
「……分かってくれるのか」
『その娘に絡みつく呪いは深い。だが、主が救いを望むならば、私はその願いのために在りましょう』
穏やかで、凛とした声だった。
「すまない……。どうか頼むぞ」
俺は小さく頷き、次にグレムリンを召喚する。
『グレムリンを召喚しますか?』
『消費:500DP』
「召喚」
今度は、ユニコーンとはまるで違う光だった。
バチバチと電気が走り、鉄と油の工場のような匂いが部屋に満ちる。
光の粒子がガラクタのように寄り集まり、小さな影を作った。
『ギギッ! 何ヲ壊ス? 分解スル?』
現れたのは、灰色の肌を持つ小柄な魔物だった。
尖った耳。
悪戯好きそうな黄色い目。
「グレムリン。この首輪を解析できるか?」
俺がネムの首輪を指差すと、グレムリンは目を細めた。
瞳の奥で、小さな魔法陣のような光が回る。
『ギ……複合呪具。生命連動装置。魔力導管……。設計者、性格悪イ。カナリ悪イナ』
「外せるか?」
『壊スダケナラ可能。デモ、コイツ死ヌ』
「それじゃ駄目だな……」
『ナラ、解呪ノ力ガ必要。ギギッ。ソコノ白馬、チョウドイイナ』
ユニコーンが静かに目を伏せる。
『我が浄化の力と、この者の道具を操る力を重ねるのですね』
「ああ、頼めるか?」
『主の願いならば』
『ギギッ。ショウガナイ』
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