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魔物合成で世界に抗う反逆譚~HP10の凡人おじさん、ダンジョンマスターになる~  作者: 藍之介
vs.『ダンジョン討伐軍』編

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91/107

第91話 vs.討伐軍 ㉚ -セラド戦-

 俺は、端末デバイスの画面を開いた。

 まず確認すべきは、今の俺自身の状態だ。


 第一階層で討伐軍を倒した分。

 そして、第二階層でレイがリュネを仕留めたことで得たポイント。

 それらが一気に流れ込んだ結果、大きくレベルが上がっていた。


-----------------------------------------------------

名前:ボンド

職業:ダンジョンマスター LV:10(+2)


HP:58/58(+14)

MP:45/45(+12)


筋力:20(+8)

魔力:27(+11)

耐久:21(+9)

俊敏:18(+6)

運 :28(+8)


【スキル】

・魔物合成(LV:2)

・鼓舞(LV:1)


【実績】

深海の塔:第2階層突破

-----------------------------------------------------


「ついに、レベル10か……」


 思わず乾いた声が漏れた。

 普通ならば、感慨に耽りたい場面だが、今はそんな場合ではない。

 レベルが10の節目に達したことで、【魔物召喚】リストには新たな魔物が追加されていた。


-----------------------------------------------------

【NEW(LV9開放)】


・コカトリス:C+(1,200DP)

鶏の頭部と蛇の尾を持つ、猛毒を持つ怪鳥。

鋭いくちばし鉤爪かぎづめによる素早い攻撃を得意とする。

古くは「死を告げる鶏蛇けいじゃ」と呼ばれ、冒険者たちから忌み嫌われている。


・ケンタウロス:C+(1,400DP)

人の上半身と馬の下半身を持つ、誇り高き半人半馬の戦士。

高速機動と弓術、槍術に優れ、広い空間での集団戦に真価を発揮する。

一度忠誠を誓った主には、草原を駆ける風の如く馳せ参じる。


【NEW(LV10開放)】


・アルラウネ:C+(1,600DP)

巨大な魔花から生まれる高位の魔物。

甘い香気で敵を惑わせ、蔓と毒花で敵を拘束する。

咲き誇る花弁は美しくも危険であり、近づく者の心と血を静かに絡め取る。


・ユニコーン:C+(1,700DP)

純白の身体と螺旋の角を持つ聖なる魔獣。

浄化、解毒、治癒、呪いへの抵抗に優れ、邪悪な魔力を祓う力を宿す。

その角は古来より、あらゆる穢れを貫く「白き奇跡」と称された。

-----------------------------------------------------


 俺の目は、新しく解放された魔物に釘付けになった。

 浄化の力を持つ『ユニコーン』。

 こいつなら、呪いを浄化できるかもしれない……。


 いや、それだけでは駄目だ。


 この子の首輪は、ただの呪いではない。

 精霊から流れ込む、膨大な魔力の受け皿として機能している、特殊な魔道具だ。

 ならば、この首輪の構造そのものを理解できる魔物が必要になる。


「……そうか、グレムリン!」


 召喚できる魔物の中に、魔道具の解析や破壊に長けたグレムリンがいる。

 この組み合わせなら、首輪の効果を消す特性を伸ばせるかもしれない。

 これ以上、今の俺に組める手札はない。


「決めた。……ユニコーンとグレムリンを召喚する」


「お、おい……本当に大丈夫なんだろうな?」


 ミロが不安そうに俺を見る。


「正直、大丈夫とは言い切れない」


「言い切れよそこは!」


「……それでも、助ける可能性があるなら、やるしかない」


 俺は決意を固め、デバイスの召喚ボタンをタップした。


『ユニコーンを召喚しますか?』

『消費:1,700DP』


「召喚」


 選択した瞬間、端末から白銀の光が溢れ出した。

 ひんやりとした小部屋の空気が、ふわりと澄んでいく。

 血と土と焦げた魔力の匂いが、雪解けの朝のような清浄な気配に塗り替えられた。


 光の中から現れたのは、純白の馬。


 月光を編み込んだようなたてがみ

 額には、淡い金色に輝く螺旋の角。

 その瞳は深い湖のように静かで、見るだけで心が落ち着くようだ。


 ユニコーンは俺の前に歩み出ると、静かに膝を折った。


『我が角、我が血、我が命。主の望む浄化のために』


「……分かってくれるのか」


『その娘に絡みつく呪いは深い。だが、主が救いを望むならば、私はその願いのために在りましょう』


 穏やかで、凛とした声だった。


「すまない……。どうか頼むぞ」


 俺は小さく頷き、次にグレムリンを召喚する。


『グレムリンを召喚しますか?』

『消費:500DP』


「召喚」


 今度は、ユニコーンとはまるで違う光だった。


 バチバチと電気が走り、鉄と油の工場のような匂いが部屋に満ちる。

 光の粒子がガラクタのように寄り集まり、小さな影を作った。


『ギギッ! 何ヲ壊ス? 分解スル?』


 現れたのは、灰色の肌を持つ小柄な魔物だった。

 尖った耳。

 悪戯好きそうな黄色い目。


「グレムリン。この首輪を解析できるか?」


 俺がネムの首輪を指差すと、グレムリンは目を細めた。

 瞳の奥で、小さな魔法陣のような光が回る。


『ギ……複合呪具。生命連動装置。魔力導管……。設計者、性格悪イ。カナリ悪イナ』


「外せるか?」


『壊スダケナラ可能。デモ、コイツ死ヌ』


「それじゃ駄目だな……」


『ナラ、解呪ノ力ガ必要。ギギッ。ソコノ白馬、チョウドイイナ』


 ユニコーンが静かに目を伏せる。


『我が浄化の力と、この者の道具を操る力を重ねるのですね』


「ああ、頼めるか?」


『主の願いならば』


『ギギッ。ショウガナイ』


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