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魔物合成で世界に抗う反逆譚~HP10の凡人おじさん、ダンジョンマスターになる~  作者: 藍之介
第四章

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102/110

第102話 勝利の条件

お久しぶりです!

ようやくプロットに目途がついたので、ゆっくりですが更新を再開します!

 血と鉄の匂いが立ち込める第三階層の最奥。

 王都のBランク冒険者パーティ『銀葉の魔術団(シルバーリーフ)』が率いる、討伐軍レイドとの死闘は、俺たちの勝利で幕を閉じたはずだった。

 だが、俺の右手に握られた端末デバイスは、いまだにストーリー未達成の文字と、物々しい警告音を鳴らし続けているのだった。


 冒険者たちは倒した。

 セラドも、リュネも死んだ。

 あの精霊女王ティターニアですら、バフォメットが消し飛ばした。


 それなのに――


 まだ、終わっていないなんて……。


-----------------------------------------------------

【警告:制限時間残り、50分30秒】

 条件未達成:速やかに侵入者を戦闘不能にしてください

-----------------------------------------------------


「……嘘だろ。なんで消えないんだよ」


「マスター?」


 ただ事ではない俺の表情、そして空間を満たすデバイスの無機質な警告音に、皆が自然と集まってきた。

 つい先ほど、俺たちが救い出したばかりの、ガルム、ミロ、ネムの三人も、戸惑ったように視線をこちらに向けている。


「どうしたの? 顔、真っ青だよ?」


 レイが俺の顔を覗き込みながら、心配した声を出す。


『主よ、どうかなさいましたか?』


 アビスの念話も、静かに頭の中へ響いてくる。

 鬼一やカーミラも、俺の方へ視線を向けていた。


「……全員、集まってくれ」


 俺は喉の奥から、どうにか声を絞り出す。

 その異様な雰囲気を察したのか、勝利の余韻にわずかに緩んでいた仲間たちの表情が、一瞬で戦場のものへ戻る。

 バフォメットだけが「ひぃぃ、また何か起きたんですかぁ……」と小さく震えていた。


 そして。

 自由になったばかりの三人も、こちらを心配そうに見つめている。


「ボンドさん……?」


 ダークエルフの少女、ネムが怯えたようにアメジスト色の瞳を揺らす。

 ネムは、まだ顔色が優れないでいる。


 俺は画面を凝視したまま、乾いた喉を鳴らした。

 画面に浮かぶ文字が、これ以上ないほど残酷な現実を告げていたからだ。


 ミロは、俺と端末を交互に見ながら、嫌な予感に耳を伏せていた。

 ガルムは何も言わない。

 ただ、その鋭い目で、俺の表情を読もうとしている。


「……悪い。これを見てくれ」


 俺は端末の画面を、皆に見えるように差し出した。

 沈黙が落ちる。

 冷たい洞窟の空気が、さらに一段温度を下げた気がした。


「侵入者……残り、三名……?」


 ミロが、ぽつりと呟く。

 最初は理解が追い付いていないようだった。

 だが、次の瞬間、彼の瞳が大きく揺れる。


「ストーリー……俺に課せられた使命の、クリア条件だ……。『討伐軍レイドの全滅』。それが……まだ達成されていないことになってる」


「……おい。まさか」


 ミロの顔から血の気が引いた。

 獣の耳がぺたりと倒れ、尻尾が小刻みに震える。


「まさか、それ……その三人って俺たちのことか?」


 誰も答えられなかった。

 答えられるわけがない。

 だが、端末は冷徹にも警告を発し続けている。

 それが答えの代わりであった。


「俺たちは奴隷として無理やり連れてこられただけだ! セラド(あいつ)は死んだ! なのに、俺たちをまだ『敵』として認識してやがるのか!?」


「そんな……」


 ネムが、か細い声を漏らした。


「落ち着け」


 俺は二人をなだめる。


「少なくとも、俺はお前らのことを敵だとは思っていないさ」


 その言葉を聞いて、ネムはすがるような目を俺に向けた。


「ボンドさん……。信じていいんですよね?」


「あぁ! まぁ……何とかなるさ!」 


「ボンド殿。何か方法はあるのか」


 腕を組んで、状況を注視していたガルムが口を開く。


「そうだな……」


 俺は顎に手を添えて考える。

 その時、ネムが一つ提案する。


「ボンドさん、もし私たちがこのダンジョンの『外』に出れば……! 討伐軍ではなく、ただの迷い人として扱われるかもしれません。試させてください!」


「そうか、三人がダンジョンの外に出れば、侵入者判定が消えるかもしれない。よし! 物は試しだ」


 俺の相槌に、ミロとガルムも小さく頷く。

 それがどれほど薄い希望なのか、俺も三人も分かっている。

 それでも、試さずにはいられなかった。


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― 新着の感想 ―
スコップしていたらたまたま見つけて面白かったので一気に見終えました。 続きまってます。
待ってました。ストーリー楽しみにしてます。
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