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居眠り卿とナルファスト継承戦争  作者: 中里勇史
帝国監察使

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リッテンホム城攻略 その1

 デズロントの領地はナルファスト公国南部の山岳地帯の中にある渓谷を中心に広がっている。渓谷といっても、人間が出現する以前に氷河で削られたために谷底は平坦で、氷河が消滅した現在は大河と言うほどではない渓流が流れているのみだ。領民はその渓流の両岸にできた平地に住み、林業や放牧などを行っている。渓流は万年雪に由来する雪解け水によって年間を通して一定の水量があり、切り出した木材をこの川を利用して下流に輸送している。

 この渓谷の出入り口を押さえているのがリッテンホム城だ。デズロントの居城であり、領地の防衛の要であり、通行税を取るための関所でもある。


 ウィン、フォロブロン、ベルウェンの3人は、少し離れた場所から城を偵察している。

 城の背後は断崖絶壁。正面には川が流れており、陣を展開するのは不可能。攻撃できるのは下流側の側面のみという天然の要害である。見たところ守備兵はそのまま残されている。守備兵は50人程度だというが、力攻めはかなり難しい。

 「また皇帝を持ち出して開城させることができればいいけど、問題は拒否された場合だね。専門家としてどうみる? 落とせそうかい」

 「落とせと言われりゃ、まあやりますがね。時間と損害に目をつぶればできないことはない。だが……」と言って、ベルウェンはフォロブロンを見る。続きは任せると目が言っている。

 「攻撃するとなると、監察使として、皇帝陛下の意志として、サインフェック副伯(スハロート)を討伐することになる。そう見なされる。それでもよいのか?」

 フォロブロンは政治面からウィンの意志を確認した。

 「政治的な配慮は、まあ仕方がない。交渉の席で謝罪する。責任は私が取るよ。ただ、人的な被害は出したくない。城の一部を破壊しただけなら金銭で片が付く。しかし殺しちゃった者についてはごめんなさいでは済まないからね」

 人死を出すなと言われて、フォロブロンとベルウェンは顔を見合わせた。それは難易度が高過ぎる。


 「私も2つ策を考えた。聞きたいかい?」と、ウィンが得意げな顔で言うのでフォロブロンは少しイラッとした。無視してもよかったが、そうするとウィンが余計にうるさくなるので「聞きたい」と答えた。ここは自分が大人になるしかない。

 「守備兵は50人程度なんだろ? ならこちらは3000を300の隊に再編して昼夜を問わず交代で攻める。これ、やられたら嫌だと思うんだよね」

 敵を疲弊させることが目的なら、それに見合う強度で攻める必要がある。両軍とも損害なしというわけにはいかない。

 「となると2つ目の策だね」と、ウィンは作戦を語り始めた。

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