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夫婦でほのぼの開拓VRMMO  作者: 島 恵奈華
2年目、春と夏の間

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ユ:買い物を堪能し、誘惑に散る


 フリマ会場はヒトが多い。

 ユーザーイベントでも、ほとんど公式イベントみたいに盛況だから尚更だ。

 だからのんびり見てまわっていると、人の波で隠れていた商品が急に目に入って変な声が出そうになる時がある。


「……ぶはっ」

「どしたの……あはははは!」


 その店に並んでいたのは大量の埴輪だった。

 それもただの埴輪じゃない。何故かモデルのようなポーズをとっている埴輪だ。


「いらっしゃい、活きの良い埴輪ですよ」


 埴輪に活きも何もあるか。


「今なら埴輪3個お買い上げで、この埴輪が量産できる魔道具『無限埴輪』をプレゼント」


 それ知ってる、前にも見たぞ。まだ売ってるのか。


「そして5個お買い上げで、自らも埴輪になれる『埴輪フルメイル』がゲットできます!」


 どこをターゲットにした装備なんだそれ。


「「いらないです」」

「そうですか……お客様はこけし派でしたか……」

「「違います」」

「こけし派ならしかたない……こけしSHOPはあちらです」


 違うが?

 店主が指した方へ振り向くと……そこにはズラリと大量のこけしが並ぶこけしSHOPが。


「あちらは7個買わないと『こけしフルメイル』が手に入らないらしいですよ? 埴輪の方がお得だと思いますけどね」


 いやお得とかじゃなくどっちもいらねーんだよ。



 * * *



「うーわ、相棒すごいよこの店。ブーメランみたいな弓売ってる」

「こちらはブーメランボウと言いまして、なんと! 弓をブーメランとして投擲武器にする事も出来るんです!」

「わーお」

「……最後の手段すぎる」


「あー! 宝石みたいな多肉植物の種売ってる! これは買いで!」

「どれ……必要な環境は大丈夫?」

「こちらは特に環境に制限はございませんよ」

「くださーい!」


「見て相棒! フランゴ君おきあがりこぼしだ!」

「……通りすがりの客にめっちゃボコボコにされてる」

「ちゃんとヒト型タイプとドラゴンタイプがご用意されてるよ、手厚いね!」

「……そして目の前で両方買われていったな……」


 そうしてフリマのウィンドウショッピングを楽しんでいると、キーナのシステムに何か通知が入ったらしい。

 俺の袖を引っ張って通路の脇に入り、システムウィンドウを操作している。


「何? 個人メッセージ?」

「そう」


 キーナが耳元をトントンと叩いて、会話を念話に切り替えた。


(アルネブさんがね、『魔女集会のお店、今日は占いの本を確認に使うようにしてるみたいだから、持ってきた方がいい』って教えてくれた)

(あー……看板真似する奴が出たか)


 昨日の掲示板で少し話題になってたからな……それっぽい看板を書いて置いてみるプレイヤーがいたんだろう。


(本はあるの?)

(拠点の本棚に置いてきちゃった。シロップも飲まないとだし、1回戻ろう)

(OK)


 一度拠点へ帰還して、さっさと目当ての本をインベントリに入れて、声変わりシロップを飲み、再びフリマ会場へ。


 ……最初に見つけた魔女集会関係の店は、明らかに店主が大柄な男性のアバターだった。


(……魔女って、男性アバターいた?)

(いなーい)


 つまりこれは偽物だな。


 スルーして進むと、もう一件。今度は女性が二人で店をやっているアクセサリーや雑貨の店があった。


(あー……ここは本物の魔女仲間のお店かも)

(そうなの?)

(商品の雰囲気が……僕が普段買ってる服とか、あと占い用品買った雑貨屋さんっぽい気がする)


 確かに、商品は魔女が使っていそうな雰囲気の物が多い。


 近付いて、キーナは女性二人に声をかけた。


「どうもー、看板仲間ですー」

「あ、はーい。今日は()()()で確認する事にしてまーす。持ってますか?」

「はい、これね」


 チラッと見せたのは、魔導書にしか見えない本だ。いつだかの魔女集会でキーナが貰ってきたらしいそれは、アルネブさんが書いた物を魔女集会の面々が面白がってガチの装丁をしてこうなったらしい。

 女性二人は本を見ると頷いて……何故か俺とキーナを見比べた。


「……まぁ、声変わりシロップに旦那さん付きだから、そうかなーとは思ってました」

「ね」

「わーい」


 シ◯ッカー姿でさらに声変わりシロップまで飲んでるプレイヤーはあんまりいないからな。


 二人の店主は、インベントリからそれぞれ紙袋の包みをひとつずつ取り出した。


「これ、私達どっちも前に貰った素材を使って作ってみたんですよー」

「ちょっと覗いてみて、気に入ったら買ってくださーい」


 キーナがゴソゴソと袋の中を覗き込み……嬉しそうな声で「買いまぁす!」と宣言した。


(なんだった?)

(最大MPの増えるリボンと、【鏡魔法】のMP消費が軽減される鏡のアクセサリー。どっちも『月の光』を使ってる)

(なるほど)


 それは確かに、周りのショッ◯ーがチラチラ気にしてる中で出すのは躊躇う代物だ。


 購入して、『また今度ー』と言って店を去った。


(ふふふ、秘密の魔法アイテムのやり取りは心が躍るね)

(周りが気にしてるから余計にそれっぽいな)



 * * *



 こうしてフリマを購入する側も大体堪能した俺達だが……最後の最後に、俺はとんでもない不意打ちを受ける事となった。


「……っ!」


 視線の先には……一匹の犬。

 それも、しょぼくれた顔で悲しそうな声を上げる大型犬。


「クゥ〜ン……オヤツ食べたいよぉ〜」

「……くっ!」


「ううーん、これは特効」

「『センチメンタルレトリバー』って従魔なんですねぇ。攻撃力はあんまり無いんですけど、敵に魅了と精神ダウンのデバフを入れますねぇ」

「わぁ、魅了系の犬かぁ〜……ワンコは本当に悲しんでるわけじゃないですよね?」

「違いますね、デフォルトでこの顔です。そして犬もそれを分かってます」


 なんて恐ろしい犬なんだ……しかもこの店、従魔として売ってるだけじゃなく、買って与えられるオヤツも売っている!


「クゥン……オヤツ買ってほしいなぁ〜」

「…………」


「あ、陥落した! 無言で懐からリリー出しておやつを指してる!」

「まいどありー」


 参った……これは勝てない。

 辛うじて、犬本体の購入だけは踏みとどまれた……


※ラストの犬関係を修整。

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― 新着の感想 ―
ご当地民芸品メイルシリーズ楽しそう。
なぜ、弓ブーメランの制作者は弓の先端に刃物を付けて槍とかにするとゆう発想がでなかったのか・・・
主人が出掛けてくるとドアを閉めた瞬間カリカリカリと爪で引っ掻いて「みー」と悲しそうな声で泣く猫とか見るのも辛い…
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