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パロディアスの牙001・ザファイブ地方編  作者: デウスXマキナ
ザファイブ地方編
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第19話 リベンジ勝負?:前編

 こうしてクリボールに神様の力を備える事に成功して、後は彼がリンへと再戦を挑むだけとなってのであった。

 こうして準備万端は二人は、再度向き合って言葉を交わし合う。

「クリボール君、それじゃあ始めようか? 今の君がどんな戦い方をするのか僕も楽しみだよ♪」

「ボクの方も、今の自分でどこまでリンさんに食い付けるか挑戦したい所だよ♪」

 このようにして、両者の意欲は互いに満杯という状態であるのだった。

 その後は二人は視線にて言外のメッセージを交わし合うと、一斉に言うのであった。

「いざ!」

「勝負!」

 こうして二人の勝負は開始させるに至ったのである。

 まず、最初に動き出したのはリンであったのだ。これは、クリボールが彼女に先攻を譲った事にあるのであった。

 それというのも、クリボールは神の力を得たが、それに溺れてはいなかったからであるのだ。

 いくら神の力という大それた力を携える事が出来ても、それにあぐらを掻いて依存しきって戦えば不利になるのは自分であるからだ。そうなってしまう程の存在でなのだ、リンという魔物の少女は。

 だから、リンは自分が先に出て不利になるという条件であってもそれを飲む事にしたのであった。それは、普段から常にクリボールに対して優位に立っている者としての礼儀といえるものなのだった。

 そして、既にクリボールに向かって駆け出していたリンは、その勢いに乗った状態から足を蹴り出してその反動で一気に突っ込んでいったのであった。

 後は、その勢いのまま彼女は蹴りを繰り出したのである。

 その外観は全身トゲの生物へと裸足で蹴りを放つという無謀というレベルではない危ない代物であったのだが、実際はその逆である事は先程の勝負で分かっているだろう。

 このままいけば、クリボールはリンの『鋼鉄の素足』の餌食となってしまう所であろう。だが、今の彼はそう易々とそのような焼き増しにならないという意気込みがその瞳に宿していたのであった。

 そして、神の力を借りた彼はリンの蹴りが迫っているのを見据えながら高らかに宣言する。

「『陸雲丹転駆ランドアーチン・ローリングドライブ』!!」

 そう言い切ったクリボールは、その手足をトゲの身体へと引っ込めると、そのままその球体の身体を回転させ始めたのであった。

 その後の展開は早かったのである。回転による速度を得たクリボールはその勢いに乗って高速でリンの飛び蹴りを回避するに至ったのだった。

「っ!?」

 その状況を咄嗟に把握したリンは、空中で進行方向を変更して、自身の身体に衝撃を与えないようにして地面へと足を付けたのであった。──要は、二段ジャンプという我々の知る物理法則では不可能な芸当をこなしてみせたという事であったのだ。

 その光景を見ていた、ギャラリーであるアイとミナトは口々に言葉を交わし合うのであった。

「父さん、今のリンさんは凄かったですね!」

「うむ、わしとて二段ジャンプなど早々見れるものではないからのう……」

 そうアイにすら言わせしめる程の業を、リンはやってのけたという事なのである。

 そして、勿論クリボールの健闘にも話題を向けていたのだ。

「そして、クリボール君の今の身のこなしも見事でしたね。さすがはこれは神様の力という事なのですよね?」

「そういう事じゃ。そして、その神の力を持て余さずに使いこなしている彼自身もやりおるという事を忘れてはいけないぞ♪」

「ええ、心得ていますよ」

 その事実は常にアイの元にいるミナトが一番良く知っている所なのだった。それは、彼がアイの神の力を使いこなすという事がどういう事なのかを熟知しているからに他ならないのである。

 それは重々承知な事であるのであったが、それとは別にミナトは一つ気になる事があるのであった。

「でもクリボール君って栗ですよね。それなのに『雲丹(うに)』っていうのはおかしくないですか?」

 それはミナトのもっともな疑問であっただろう。だが、事実は小説よりも奇なりというように、現実というものはどこかおかしいものであるのであった。

「いんや、彼の言った事には全くおかしい所はないというものじゃよ♪」

「と、言いますと?」

 そんな勿体ぶったアイの物言いに何かじれったくなりつつもミナトは彼女に返すのであったが。

「彼はそもそも『ランドアーチン』という陸に住むウニの魔物という事なのじゃよ♪」

「えええっ!?」

 その言葉にミナトは自身の耳を疑うしかない所であるのであった。

 そんな純粋な反応をするミナトに対して、アイはこう締め括るに至った。

「お主もまだ修行が足りていないのう♪」

「いえ、これは修行は関係ないと思います!」

 これ以上理不尽な話に持っていかれて堪るかと、ミナトは至極正論で持って反論しておいたのであった。だが、それでも彼にはそこはかとなく敗北感がつきまとうに至っていたのだった。

 このようにミナトが割とどうでもいい心理的な戦いを繰り広げている最中にも、クリボールとリンの本当の意味での戦いは続いていたのであった。

 そして、今しがた攻撃をかわされたリンは、驚きつつもクリボールへと言葉を掛けるのであった。

「驚いたよクリボール君。まさか僕との戦いで君があんな動きを見せたなんてね♪」

「リンさんの方こそ二段ジャンプって何それ!? って感じなんだけどね……あなたにそう言われるってのは素直に嬉しいよ」

 そう、クリボールはこの瞬間に達成感を感じていたのであった。普段はリンと戦ってもいつもやり込められてしまうというのに、今こうして彼女を少しばかり出し抜き、あまつさえお褒めの言葉すら掛けてもらえたのだから。

 だが、これは真剣勝負なのだ。だから、彼は浮つきそうになる心を必死で地に足を付けさせ、そして落ち着いた口調でこう言うのであった。

「それじゃあ、次はボクの番だね。今一度ボクに備わった神の力を見させてあげるね」

 そう言うとクリボールは静かに目を閉じて瞑想を始めたのだ。

「何? HP500回復するの?」

「いや、この瞑想にそんな効果はないよ? 元ネタ的にスライムワンさんならあるかも知れないけど」

「あの、お二人さん。別次元は話はそれ位にしましょうね?」

「いや、ミナト。それは今更だと思うぞ。そもそもこの小説のタイトルは……」

「父さんもメタ的な発言は止めて下さい!」

 ミナトは心の中でどいつもこいつもと、やや彼に似つかわしくない乱暴な表現でツッコミを入れた……これだけが彼に出来るせめてもの抵抗であったのである。

 そんな風にミナトがなけなしの抗いをしている間にも、瞑想を続けていったクリボールに変化が見られるのであった。

 そして、瞑想を終えた彼には、目に見えて変化が見られたのである。それは……。

「クリボール君。それ、まるで天使みたいで素敵だよ♪」

 そうリンが称する事が示すように、クリボールの背中には立派な天使のような翼が生えるに至っていたのであった。

 そうリンが反応するのに気分を良くしながら、クリボールはこう言葉を返したのである。

「名付けて、『羽根クリボール』って所かな? ボクとしても良い感じの演出だと思うよ♪」

 そう、この変化はクリボール自身を以てしても満更でもない出来だと感じる事が出来たのであった。その事は、彼に備わった神の力から沸々と伝わってくるのである。

 だが、そんな彼に対してリンは釘を刺す意味合いでこう言う。

「でも、見た目だけ奇抜でも、それだけで僕に太刀打ち出来るとは思わない事だよ♪」

 そう言ってリンは拳を突き出して戦闘の構えをして見せたのであった。その姿に全くの隙はないのであった。

「勿論だよ。あなたにそのような小細工が通用するとはハナっから思ってはいないからね♪」

 言うとクリボールはその新たに生えた羽根で以て一羽ばたきをしてみせたのであった。それは、ただの挑発ではなく彼の確かな意気込みである事は確かに感じ取れる所だった。

「それじゃあ、行くよ♪」

 その言葉の後に、とうとうクリボールは行動を起こしたのであった。

 彼は、その背中の羽根で以て宙へと飛び上がったのであった。

 それを見ながら、リンは「おや?」と思ったのである。

「これは……?」

 そう彼女が感じたのも無理からぬ事であろう。何せ、その彼の飛び立ちは自分のそれとは全くの異質なものであったからだ。

 リンの場合はやはり自身の脚力から来るバネを利用しての跳躍となっているのである。つまり、その力は瞬発力でまかなわれているのだ。

 そして、時にこうもりの翼で羽ばたく事があれど、それはあくまで空中でバランスを保つ為の補助の役目であるのだった。

 だが、今のクリボールがしでかした事はそれとは全く別のやり方であるのだった。

 そう、彼は確かにその羽根そのものの力で空へと飛んで行ったという事なのである。

 それは、リンのような反動を利用しての一方通行の躍進ではなく、正に『空を自由に飛ぶ』という芸当なのだった。

 それを見ながら、思わずアイは……。

「まるで、青ダヌキことドラe……」

「はい、その先はアウトですからね!」

 呟こうとはしたが、見事にミナトに阻止されてしまったのである。それに、今の時代の青ダヌキしか知らない人はその意味が分からないだろうし。

 そんな外野の事は放っておくとしよう。

 明らかに自分の宙を駆る方法とは異なる方法で空を舞ったクリボールに対して、リンは次に出る手をはばかられていたのであった。

「これは……厄介だよね……」

 リンはそう思うしかなかったのであった。自分の脚力を利用しての跳躍は、あくまで一時的なものであるのだ、それに対して今のクリボールは正に常に自在に空を舞っている状態なのだ。

 その状態に、その身を鍛錬の中で磨きあげたリンは難儀なものを感じていたのであった。それは、鍛えられた人が分かる境地とでも言うべきものであるのだった。

 そして、手の詰まったリンに追い打ちを掛けるべく、空を舞いながらクリボールは次の手を繰り出してきたのだ。

「この状態から──『マメクリボール』!」

 そう言って彼は両手を眼前に掲げると、そこから何かが打ち出されたのであった。

 それは、豆と銘打ってあるだけあって、クリボール自身を小型にしたかのようなトゲの球体の射出であるのであった。

 しかも、それを宙を自在に舞いながらの行為であるのであった。なので当然リンは意表を突かれてしまう事となった。

「ただでさえ空を飛んで厄介なのに、そこから更に飛び道具なんてね……」

 そう苦虫を噛み潰したように呟くリンであったが、それでも彼女のやる事は変わらなかったのであった。

「はい、はい、はいっ!」

 彼女はテンポよく掛け声をあげつつ、それに準ずるように自らの手も軽快に動かしていき、次々と自分に飛んできたトゲの球体を弾き返していったのであった。その度にパキンパキンと妙な音が鳴るに至ったのである。

 勿論、その球体にもトゲが生えているのであった。だが、これも

鍛えらえたリンの肉体という名の武器の前では軟式ボール同然に扱われてしまっていったのだった。

 それを見ながら、クリボールは思う所であった。

(やっぱり、リンさん相手だとこうなるよね……)

 幾ら飛び道具を用いても、更にはそれを空を飛びながら繰り出しても、トゲに自らの肉体で打ち勝ってしまうクリボールにはやはり通用しない所であるのだった。

(そうなると……)

 そこで彼は思案するのであった。トゲ『そのもの』が通用しないとなれば、当然それ以外の手で挑むしかないだろう、と。

 そう思いながらクリボールは宙にその身を預けたまま、暫しの間思案する所であったのだ。

 その状態ならば、少しばかり余裕があるのであった。勿論、ずっと宙で停まってばかりいてはいずれはリンにその場に到達されてしまうが、こう少しだけの間ならば今の自分のように正式に空を飛ぶ事が出来ない彼女ならばこうして考える時間を稼げるというものであったのだ。

 そして、その僅かな時間を利用して、クリボールの心は決まったようであった。

(よし、これで行こう!)

 そう心の中で言い切った彼は、まずはこの茨の森を利用してその身を隠したのであった。

 それが意味する事は、リンの肉体、格闘センスがずば抜けている事に他ならなかったのである。

 そのまま背に生えた翼でリンの元へと飛び交っていったのなら、その時点で彼女の土俵へと踏み入る事となるのだ。

 なので彼は真っ向からリンへと挑む事はなく、今の戦場の地形を利用して堅実に彼女へと立ち向かう事にしたのであった。

 クリボールにそのような対処をされたリンは、思わず苦虫を噛み潰したかのような心持ちとなっていたのである。

(くぅ~、そう来たか……)

 しかし、それも彼女は立派な戦術であろうとも思うに至ったのであった。純粋な戦闘能力ならば今まで自分が散々優位に立ってきた事を思えば、彼がそのように慎重な戦法に出るのも頷けるというものなのだから。

 なので、彼女はその肉体同様に研ぎ澄まされた感覚を用いて、敵の検挙に出ようと試みたのであった。

 彼女は全神経を集中し、その露出度の高い鋼の柔肌へと向けていったのであった。それにより、彼女には場の空気の流れが良く伝わって来たのである。

 これにより、時間を掛ければ敵の居場所の発見も出来る事であろうと思われた。

 だが、これはゴブリンバット特有の魔物の能力という訳ではなく、あくまで鍛錬によりそれなりに磨き上げられたリンの『ただの優れた感覚』という事に他ならないのだ。

 つまり、この行為は勘に毛が生えた程度の代物であるのであった。

 勿論、これは戦闘には優位に立つ事が出来るものであろう。だが、魔物本来の力に神の力が加わったクリボール相手では少々部が悪かったというものなのであった。

 その二つの力の前では、感覚の延長線上であるリンのそれは少しばかり及ばなかったようである。

 そして、満を持してクリボールはその身で躍り出るに至ったのであった。

「そこっ!」

 その掛け声と共に、突如として姿を現したクリボールから、何やら一撃が繰り出されたのであった。

 その瞬間、それが自分にとって油断ならないものだとリンは咄嗟に判断したのである。

 なので、リンはその何かの一撃を両手で白刃取りの要領で受け止めに掛かったのであった。

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