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異世界オカン  作者: 三毛猫乃観魂


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第四十五章 オカン、魔族の領地へ

 連合軍が魔族の領地に攻め込みます。

 草原にラティストアン帝国、サーブレンダー国、ゾマアスネ女王国、アチナゴーン共和国の連合軍が集結。

 ラティストアン帝国、サーブレンダー国、ゾマアスネ女王国の精鋭が集まった。三国に比べてアチナゴーン共和国は戦力不足ではあるが、全員がプロの兵士で今回の戦いに志願した。やる気十分。

 連合軍が目指すのは境界の町ロアゴン。ここは魔族の領地への入り口、攻め込むためにはまずはロアゴンを落とす必要がある。

 これまで人間の世界は何度も魔族に攻め込まれてきた。これが人類初めての魔族側への攻勢。

 指揮を任されたのはバーナード。王であり、武人でもあるライナスとクレアは自ら進んで前線に配置。

 二人とも身分や立場ではなく、実力と人望を買ってバーナードに指揮を任せた。

 勿論、最高戦力はオカン、真輔はサポート。親子は中央に配置。

「さぁ、行くぞ」

 ロアゴンに向け、連合軍が進み出る。バーナード、ライナス、クレアを先頭に騎馬隊が走り出しアチナゴーン共和国は後方を進む。


 戦いに備えてロアゴンに向かった連合軍だったが、何か様子が変。

 人間の世界とのとの境界にある町にも関わらず、全く戦いに備えていない。

 町の入り口には護衛の兵士もいない上、門も開かれた状態で簡単に通れる。

 人間の連合軍が向かってきている情報は掴んでいるはずなのに……。

 罠かもしれない、警戒しながら連合軍はロアゴンに入った。何の抵抗はない、待ち伏せも罠も無し。

「何なんだ、これは?」

 クレアが周囲の様子を窺っていると、魔族の男が近づいてきた。

 非武装で護衛も着けず、たった一人で近づいてくる。バーナード、ライナス、クレアはすぐにでも戦える状態で待ち構える。

「私はロアゴンの領主、セニ。抵抗は致しません。全面降伏します」

 戦う意思が無いことを示すために両手を上げる。

 誰が見ても攻撃する意思が感じられない。

「どうゆう、心算だ」

 一歩進み出るバーナード。何かあればすぐに剣を抜けるようにしておく。

「ロアゴンにはあなたたちと戦うだけの戦力はありません、援軍も望めない。我々だって無駄死にはしたくないんです」

 バーナードはセニを見る。彼の顔には中間管理職の苦労が滲み出ていた。人を騙そうとしているようには見えない。

 ライナスとクレアの方を向く。二人ともお前に任せるとの意思表示。丸投げではなく、信頼しているから。

 すぐに決断を出した、時間は有限。

「解りました。その降伏、受け入れます」

 セニの決断をバーナードは受け入れた。


 たちまちロアゴン降伏は連合軍に伝えられた。最初の戦いと身構えていた兵士たちは拍子抜け。拍子抜けしても気までは抜かない。

 連合軍はロアゴンに入る。何にも抵抗されることなく、町の中を進み行く。

「何や、戦わんのか」

「そうらしいね。まぁ、戦わなくて良かったと僕は思うよ」

 双方に犠牲者が出ないならそれでいい。

 時折、窓や物陰から連合軍を見ている魔族の視線。それは敵意ではなく、好奇心に恐怖感や不安。

 好奇心を除けば連合軍に蹂躙されるではないかと、魔族たちは恐怖感や不安を抱いているのだ。

「こんなところは人間と変わらないんだ」

 何となく、真輔はそんなことを思った。


 魔王の居城に向かう連合軍を邪魔するものはいなかった。爵位持ちを全員失い、魔王軍は弱体化。残った戦力を集結させ、魔王の居城防衛に徹している。

 そのため、連合軍はスムーズに進軍できた。


「何やでかくて薄気味悪い城やな。こんなところに住んどったら根暗になってまうで」

 抵抗らしい抵抗もなく連合軍は魔王の居城に辿り着いた。外見はオカンの感想通り。

「来ますよ」

 手綱を握るバーナードの手に力が籠る。

 魔王の居城の前に武装した魔族たちが待ち構えていた。道中の防衛を捨てて、城の防衛に一点集中しただけあり、かなりの数の魔族がいる。

「蹴散らしてやるぜ」

 豪槍片手にクレア率いるゾマアスネ女王国の一団が馬を駆り、魔王の居城へ突撃。

 受かってきた魔族を貫く。

「一番槍やな」

 ここが戦場と忘れているような発言。

 クレアとゾマアスネ女王国の騎士たちの突撃は魔王軍の数に戦々恐々になりそうになっていたアチナゴーン共和国の兵士に勇気を与えた。

 クレアたちの突撃に奮い立つ連合軍。

 騎馬隊は馬を駆り、歩兵は走る。

 連合軍、魔王軍、両軍が激突。

 兵の数は魔王軍の方が多いが、勢いは連合軍が上。

 ゾマアスネ女王国の騎士の中でも一際大きな豪槍を軽々しく扱い、次々と魔族を倒して行く。

 ゾマアスネ女王国の騎士も槍を振るい、魔族を蹴散らす。

「私も負けていられないな」

 馬から飛び降りたライナスは腰に下げた二本の片刃の曲刀、シミターを抜き放ち、疾風迅雷ごとく魔王軍に飛び込み、魔族を斬り捨てる。

 目にも見えない速さで魔族の攻撃をことごとく回避、シミターを振るい次々と斬って行く。

 ライナスに続けとばかり、サーブレンダー国の騎士たちも馬から降りてシミター抜き、魔族を斬る。

 パワーに長けるゾマアスネ女王国の騎士に、スピードに長けるサーブレンダー国の騎士。

「我々も行くぞ」

 バーナード率いる騎士団が馬を駆り、魔王軍に向かう。

 バーナード率いる騎士団は魔族を馬上から攻撃。

 魔法の詠唱を始める魔族。

 魔族の使う魔法の威力は人間よりも格上。しかし、打たれる前に撃てばいい。その場に留まっていたラティストアン帝国の騎士たちはコンパウンドボウを一斉掃射。

 魔法の届かない距離からの矢が魔族を射貫く。

 アチナゴーン共和国の兵士もコンパウンドボウを使用。教えられて間もないので命中制度はラティストアン帝国の騎士よりは落ちるものの、遠距離から魔族を攻撃に参加。

 先に戦うことでラティストアン帝国の騎士たちは初めて魔族と戦うアチナゴーン共和国の兵士たちのお手本になる。







 魔族も怖いものは怖い。

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