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異世界オカン  作者: 三毛猫乃観魂


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第四十四章 オカン、攻め時を知る

 今回もオカンは会議に参加します。

 いつも通り、会議のために帝都に呼ばれたオカンと真輔。今回、真輔は帽子を目深に被り、顔を隠している。

「これはオカンさん」

 一人の男が立ち上がって近づいてきた。上質の服を着てはいるが着慣れていない。日に焼けた肌に手には剣だこが出来ている。

「あっし――私はアチナゴーン共和国代表のイーサンです」

 慣れない丁重な挨拶。

 アチナゴーン共和国で初めて行われた選挙で代表に選ばれたのがイーサン。平民出身の兵士で(くらい)は無いものの、兵士たちを束ねていた兄貴肌の男。みんなからの信頼は厚い。

 今回、会議に参加することになったので帝都にやって来た。

 会議には皇帝のジョセフと皇女のシンシア、騎士団長のバーナードに貴族の代表者たちにいつも通りのメンバーに加え、見知らぬ顔が二つ。

 一人は黒髪に鋭い目付きの口髭が似合う男性。無駄な肉が一切ついていない、長身痩躯の体つき。

 もう一人は赤茶けた髪の美人、元々プロポーションの良い体を思いっきり鍛え上げている。

「初めましてオカンさん真輔さん、私はライナス・サーブレンダー。サーブレンダー国で王を任されている」

「あたしはクレア・ゾマアスネだ、ゾマアスネ女王国の女王をやっている。よろしくな」

 一目見ただけで解る、二人とも間違いなく手練れの武人だと。

「ウチはオカンや」

「僕は真輔・西原です」

 王と女王を前にしてもいつも通り動じることなくマイペースなオカンに、礼儀正しくお辞儀をする真輔。

「あんたら、ええ奴らやな」

 オカンの人を見る目は確か。ライナスとクレアが信頼できる人物だと一目で見抜く。そのことは真輔にも解った。

 ライナスとクレアとイーサンが来ているので真輔は帽子で顔を隠している。

 ライナスとクレアはシンシア似の真輔の顔を見ても驚かないだろうが、イーサンは驚き混乱する可能性が高い。

 カーティスとサイモンとは違い、三人は信頼出来る相手であることと、重要な会議なので隠れずに顔を隠して参加することにした。

「サーブレンダー国は武門の国でゾマアスネ女王国は女戦士の国なのですよ」

 シンシアが教えてくれた。

「では会議を始めよう」

 ジョセフの開始の言葉に全員の姿勢が自然に正される、オカン一人を除いて。

 会議の内容そのものはカーティスとサイモンたちと行ったものと同じ、魔王軍と戦うために協力関係を築くこと。

 違うのはオカンの活躍を聞いたライナスとクレアから同盟を申し出てきたこと。二人にはカーティスとサイモンの放っていた嫌な雰囲気がまるでない。

「あたしの国の諜報員が調べた限りじゃ、魔王軍はかなり弱体化しているぞ。どうやら、魔王の側近である爵位持ちが全滅したのが原因らしい」

 クレアがオカンを見た。

 爵位持ちが全滅に追い込んだのはオカンのなせる業なのだが、

「そうなん」

 正し、当人にその自覚は無い。

「今が攻め時だ」

 ジョセフの発言に、ここにいる誰もが思った、ついにこの時が来たかと。

「これまで私たちは攻められる側だったが、今度は私たちが攻める側になるのですね」

「はい」

 バーナードにシンシアは頷く。

「あたしたちも共闘させてもらう」

 そのためにラティストアン帝国にやって来た。

「魔族は人間共通の敵、黙って見ているなど、無責任なことは出来ぬ」

「あっ――じゃなかった――私も共闘には賛成でありやす」

 ライナスとイーサンも協力を承諾。魔族の脅威は対岸の火事ではない。

「オカンさん、よろしいでしようか」

「ええで」

 ジョセフの頼みに二つ返事で了承。オカンは考えるよりも行動で示す。

「僕も良いと思う」

 真輔自身、攻め時に攻め込むことには賛成。

 戦いには攻め時と引き時がある。今、訪れたチャンスは攻め時、逃がしてはならない。

「一つ、言っておきたいことがある」

 ライナスが話始める。

「我が国の影成(かげなり)が掴んだ情報でな、どうやら、人間に化けた魔族がラティストアン帝国に潜入しているらしい」

 サーブレンダー国には影成と呼ばれる、日本の忍者に近い隠密がいる。いるとは言われていても、誰が影成でどこにいるのか何をしているのかは知られていない。全てをは把握しているのはライナスのみ。

 何せ、影成は家族にも影成であることを隠しているのだから。

 正し、影成の情報収集能力は本物。

「おそらく、狙いはオカンであろう」

 ライナスの視線がオカンに向けられる。

「ウチ、そんなに有名人なん? いいやわ~」

 ちよっとした、照れ隠し。

「それはそうだよ、オカンの考えている有名人とは違うけど」

 天然ボケにツッコミを入れる真輔。

 攻め込まれていた人類が、攻め込んできていた魔族に攻め込む。この状況を生み出したのはオカン。

 魔族側が警戒するのも当然。実際、命を狙われたことがある、返り討ちにしたけど。

「こちらも警戒を高めます。オカンさんを失うわけにはいきません。オカンさんも油断しないでください」

 バーナードは影成の能力は知っている。

「うん、解っとる」

 本当に解っているのか解っているのか解らない返事をバーナードにした。







 新しい三人の協力者。

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