第四十三章 バーナード、クロゴネンドに来る
クロゴネンドに尋ねてきたバーナード。
クロゴネンドの前で馬を止め、バーナードは降りた。背中には革の背負い袋を背負っている。
「ようこそ、バーナード様」
住民が出迎え、馬を厩舎に運んでくれた。
町の中を見回しながら歩く。
この町が魔族に占領されたなんて、ジョークだったのではないかと思えるほどに賑わっている。
多くの人が往来し、オカンのプロデュースした店には長蛇の列が出来ている。
吉本新喜劇・異世界劇場は今日も大人気、興行は大成功。
クロゴネンドと取り戻したのもオカン。クロゴネンドを発展させたアイデアを出したのもオカン。
オカンは凄まじいとか言いようがない。それも得た能力ではなく、元から持っているパワー。
帝国はオカンに感謝の気持ちしかない。
吉本新喜劇・異世界劇場に前にやった来たバーナード。クロゴネンドに来たのは吉本新喜劇を見るためではない、バーナードは裏口に回る。
警備員もいたが顔の知れているバーナードはあっさりと吉本新喜劇・異世界劇場の裏口を通してもらえた。
練習場ではオカンがフレッドに身振り手振りを交えながら鍛え上げ、一人前の芸人に育てようとしていた。真輔はオカンが脱線しないように見張り中。
「バーナードさん」
真輔が立ち上がって挨拶。
「元気にしとったか」
「ハイ」
バーナードと会うのはアチナゴーン共和国の一件以来。
「何かあったんですか?」
態々クロゴネンドまで来たからには理由があるはず。
「実はアチナゴーン共和国の一件で皇帝陛下と皇女殿下がお礼をしたいとのことで、贈り物を届けに来ました」
オカンと真輔の視線が自然にバーナードの背負っている革の背負い袋に向く。
「ほんなら、うちの方行こうか、お茶淹れるさかい」
練習場は皇帝陛下と皇女殿下からの贈り物を渡すには不向き。
「今日の練習はここまでや」
「解りました」
ぺこりとフレッドはオカンにお辞儀した後、バーナードにも一礼して練習場から出て行く。
オカンと真輔はバーナードを連れて帰宅。
「お帰りなさいませ」
デイモンが挨拶。
「ウチがお茶を淹れるさかい、先に応接間に行っといて」
案内は真輔に任せ、エミーとハンナと一緒にキッチンへ。
しぱらくしてオカンがトレーに乗せたお茶を応接間に持ってきた。クッキーはエミーとハンナが焼いたもの。
「ありがとうございます」
オカンも真輔の隣に座り、お茶にする。
「あんたらは飲まへんのか」
エミーとハンナは遠慮した。オカンが気にしなくても、使用人が主人の横で一緒にお茶を飲むわけにはいかない。
平穏な話。




