第四十二章 オカン、執事が全員、セバスチャンじゃないと知る
久しぶりの我が家。
家に帰ってきたオカン。
「お帰りなさいませ、オカン様、真輔様」
初老の男が丁寧にお辞儀してきた。
「誰やねん、あんた」
「執事だよ」
着ている服を見れば一目瞭然。
「なんや、セバスチャンかいな」
「私は執事のデイモンでございます」
正しい名前を名乗る。
「執事やのにセバスチャンとちゃうん」
「執事が全員、セバスチャンじゃないんだよ」
「そうなん」
「そうだよ」
二人のやり取りを見ていたセバスチャンではなくデイモンは、
「長旅、お疲れでしょう、お茶を用意しております」
淡々と食堂に案内。
「随分、留守にしていた気がすんな」
食堂で思いっきり、背伸びする。
「いろいろ、あったからね」
椅子に座る真輔。今回、魔族と直接な戦闘は無かったが、それでも平穏無事であったとは言い難い状況であった。
「どうぞ」
オカンが座ると、二人のメイドが紅茶を淹れてくれた。
「ありがとさん」
お礼を言って紅茶を一口。
「メイドさんですか?」
初見の二人に真輔は尋ねる。
「ハイ、私はメイドのエミーです」
「ハンナと申します」
二人のメイド、エミーとハンナが挨拶。二人は同じ顔をしていた身長も体格もほぼ同じ。違いはエミーのキャップが白でハンナのキャップが黒。
「双子かいな」
「「ハイ」」
エミーとハンナは同時に返事。
「私がデイモンさんとエミーさんとハンナさんを選びました」
公募してきた人たちの中からチェルシーが書類審査の後、面接して選んだのが執事のデイモンとメイドのエミーとハンナである。
チェルシーが選んだ人選、まず問題は無いだろう。
執事のデイモンとメイドのエミーとハンナの三人は今日がオカンと真輔との初対面。
真輔がシンシアに似ているのは前以て聞かされていたのが、表に出さない程度の驚きで済む。
「よろしくお願いするね」
真輔は笑顔で挨拶。
「ウチもよろしく頼むで。ただ、飯はウチがメインでやるさかい」
オカンは家事全般が得意、特に料理は大得意。
「はい、解っております。面接のときに聞きました」
「出来れば私たちにもオカン様の料理を教えてください」
エミーとハンナもオカンが広めたお好み焼きやたこ焼きなどの大阪名物料理を食べ、とても気にいた。
「よし、おばちゃんに任しとき」
胸を張るオカン。オカンの人を見る目は確か、そのお目に適ったデイモンとエミーとハンナの三人。
こうして、オカンはニックに続き、エミーとハンナにも料理を教えることとなった。
「オカンさん、真輔さん。様子を見て、必要になれば使用人を増やすか判断しますね」
「うん、任せるわ」
人を見る目は合っても、面接のやり方は解らないのでチェルシーに丸投げ。
真輔もプロに任せることにした。
執事と二人のメイド。




