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異世界オカン  作者: 三毛猫乃観魂


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第三十九章 密室

 地下牢獄にて。

 兵士が鍵を外し、重い鉄の扉を開けた。建物の中は頑丈な石造り、鉄格子の付いた窓一つと下に降りる階段がある簡素な小屋。

 地下牢獄へ行くために行くためだけに建てられた。

 カーティスとサイモンとアドンとアチナゴーン王国騎士団の騎士たちと貴族たちの尋問するためにバーナードと騎士たちは兵士に案内され、階段を降りる。

「!」

 地下牢獄に入るなり、皆は異変を察知。

 牢屋の中でカーティスとサイモンたち全員が倒れているではないか。

 全員がピクリとも動かず、顔が赤黒い。とてもではないが死んだふりをしているようには見えない。もし演技だったら、名役者である。

「これは一体……」

 兵士の顔が青ざめる。

「警戒しつつ、捜索をしろ」

 言われると同時に騎士たちは行動開始。

「すぐに鍵を」

 青ざめる兵士にバーナードは鍵を開けるように促す。

「あっ、ハイ」

 慌てて兵士はカーティスの牢屋の鍵を開けた。

 万が一に死んだふりしている可能性を考慮して警戒しながらバーナードは牢屋に入り、倒れているカーティスを調べる。

 他の牢屋は騎士たちが任された。

 カーティスは動く気配すら見せない、息はしておらず。顔は鬱血、首には策条痕。

「絞め殺されのか……」

 カーティスの状態が絞殺されたことを示していた。

 牢屋の中をくまなく見まわす。

「サイモンたちも同じ状態です」

 他の牢屋を調べていた騎士の一人が報告してきた。

 サイモンやアドンや騎士たちや貴族たちもカーティスと同じく絞殺されていた。

「地下牢獄のどこにも侵入者はおらず、階段以外に入るところがありません」

 地下牢獄を捜索していた騎士も報告。

「魔族の仕業でしょうか」

「そうだろうな」

 牢屋にはしっかりと鍵がかかっていて壊されてもいない。後は天井近くの小さな明り取りの窓が一つあるのみ。

 地球で言うところの密室である。

 この状況で犯行を行える奴がいるとすれば魔族しかいない。もしかしたら、オカンなら何らかの方法で侵入できたかもしれないが。まぁ、出来たとしてもオカンはこんなことはしないのは言う区でもなし。

「口封じか……」

 バーナードたちはカーティスたちに魔族たちの関係について尋問するはずだった。

 その矢先に殺害されたのだ。口封の可能性が高く、魔族にとって人間は簡単に切り捨てられる相手でしかない。

 先手を打たれた。

「チャドといい、裏切り者の末路は哀れだ」

 可哀そうとは思わないが、ざまあみろとも思わない。カーティスとサイモンがシンシアを苦しめた相手でも。

 もう一度、牢屋を見回す。

 この状況でどうやって犯行を実行したのか考察すれば、魔族の能力を推察することができる。

 相手の能力を知れば、戦略が立てられ有利に戦うことが出来るようになる。

 バーナードは視線の先にあるのは鉄格子。


 逃げて逃げて逃げて逃げて逃げてまくる。コーディ自身、こんなにも逃げれるのかと思う程逃げた。

 小柄な体を生かして、狭い場所に潜り込み、食うために盗みも働く。

 金がかかっているだけの服は薄汚れ、財布にいくら金貨が入っていても逃亡中の身、大臣だったので面が割れているために買い物はできない。

 今やコーディは犯罪者で逃亡者なのだ。

「ハァハァです、いつまで逃げなくてはならないのです、でも逃げないと捕まってしまうのです」

 肩で息をしながら壁に凭れて一休み。

 王都中に逃げ場所が無い。これまでの言動が原因で助けてくれそうな人脈もないし、他国へ亡命するにもつてが無い。

「王様も王子様も魔族の口車に乗ったりするからこんなことになったのです」

 そう言うコーディも止めなかったけど。

「まだ、一匹残っていた」

 唐突に頭の上から声がした。

「ひゃあっ」

 慌てふためくコーディの目の前に一人の男が飛び降りてきた。身長も体型も平均だが、その肌の色は青。つまり魔族である。

「お、お前はナダンコア」

 魔族が王都にいる。民衆を護ることよりも自身の贅沢を優先したアチナゴーン王国王都にはラティストアン帝国帝都のように結界を張っていない。また国の位置からして、ラティストアン帝国ほどの魔族の脅威に晒されていないのも結界を作らなかった要因の一つ。

 でも、一番の理由は……。

「何で何で何で何で何で、ここにいるのです」

「抹殺」

 魔族、ナダンコアの体が伸びた。その分、体が細くなる。

 ナダンコアの体がどんどん細くなり、どんどんと長くなっていく。

 やがてロープ程の細さ長さになる。よく見ればさきっちょに顔が付いているところが気味が悪い。

「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 悲鳴を上げて逃げ出すコーディを追う、ロープのような姿になったナダンコア。

 逃げ足の速いコーディ、細く伸びてナダンコアはどこまでも追いかけてくる。

 躓いてこけるコーディ、その首にナダンコアが巻きつこうとした時、

「いたぞ、コーディだ」

 騎士たちが路地に入ってきた。手にしている武器はメイスと短槍。

 コーディの探索中、先ほどの悲鳴を聞きつけ駆けつけてきた。

「団長の言った通りだ、体を伸ばすことの出来る魔族」

「流石は団長」

 バーナードは密室の牢屋で絞殺されたカーティスたちの状況から、敵は体をロープのように細くして鉄格子の間から潜入、首に巻きついて絞め殺したと推理した。

 路地裏に逃げ込んだとの目撃証言から、今もコーディは路地裏を逃げ回っていると想定し、狭い場所でも戦いやすいメイスと短槍に長けた者で編成させ捜索隊に加えた。

 不利な状況にナダンコアは、

「チッ」

 舌打ちして、コーディでも入り込めない建物と建物の隙間に入り込んでしまった。これでは追跡は不可能。

 こけたコーディを起こす騎士。

「一緒に来てもらいますよ」

 一緒に行けば捕まるのは目に見えている。しかし逃げれば再びナダンコアに命を狙われる。命あっての物種。

「……ハイ」

 大人しく騎士たちに着いて行く。







 こちらでも裏切り者の末路の報い。

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