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今、どんな気持ち?

白百合の君選考で、学年代表に選ばれてしまった私――エレノア。

本当は、人目を集めるのは性に合わない。静かに過ごせるならそれに越したことはないのだが、決まってしまった以上は腹を括るしかなかった。


「エレノア様、学年代表おめでとうございます」

「エレノア様なら当然だと思っておりましたわ」


取り巻きの――いえ、親しいお友達が、にこやかな笑顔と共に祝辞をくれる。

「ありがとうございます。まあ、当然といえば……あら、いけない。負けたリリスさんに聞こえてしまいますわ。また、頭の悪い方が考えそうな妙な噂を流されてしまうかもしれませんね」


「……ああ」

わざとらしく振り返れば、案の定、リリスが悔しげにこちらを睨みつけていた。


あの投票方式は彼女自身が承諾したものだ。それにもかかわらず、結果が気に入らないと学年主任に詰め寄り、「自分が一番でないのは間違いだ」と声を荒らげ、やり直しを迫った――もちろん即座に却下された。

その挙句、私と主任が男女の仲だの、複数の男子生徒と関係を持っているだの、くだらない噂まで撒き散らした。皇子の婚約者である私を、そんな戯言で信じる者はいなかったけれど。


だからこそ――今日は少しだけ、意趣返しをしてあげることにした。


「まあ、惨めったらありませんこと。選考委員会でもいいからと縋りつくなんて――よほど白百合の君に未練がおありなのね」

イザベル・フォン・モンフォールは、くすくすと笑いながら、わざとリリスに聞こえるような声量で言葉を投げる。


今は何と笑われようとも、リリスにとっては取るに足らないことだった。最後に笑うのは自分――その確信だけが、彼女の背を支えていた。

エレノアを白百合の君になどさせはしない。あのきらびやかな舞台から、恥をかかせて引きずり下ろす。そして真の白百合の君になるのは、この私。

そのためになりたくもない委員会に入り込んだのだ。委員ならば出場者の近くにいても怪しまれない――その立場を利用するために。


「あら、イザベルさん。そんなに本当のことを言ったら、かわいそうですわ。それこそ学年主任とそういう関係でもあるのではなくて? だって、委員会はわがままで入れる場所ではありませんもの。一体どんな手を使ったのやら……私には想像もつきませんけれど」

アナスタシア・フォン・クロフォードも、口元を歪めて挑発を重ねる。


――さすがに聞き捨てならない。

私は静かに席を立ち、笑顔を崩さぬまま、リリスのもとへ歩み寄った。


「イザベルさん、アナスタシアさん。そのあたりでおやめになって」

「エレノア様……」

二人の肩がわずかに強張る。


「なっ、何よ……」

リリスが半歩後ずさる。


「かわいそうなリリスさん。現状、どんなに足掻こうとも、あなたは所詮そこまでの人間――今回、その現実が証明されましたわ。まずはこの惨めな事実を受け入れて、外面だけでなく内面も磨くことをお勧めします。そうすれば、白百合の君とまでは申しませんが、素敵な女性へと一歩近づけるかもしれません」


「くっ……!」

リリスの瞳がうるみ、唇が小刻みに震える。どうやら、効果は抜群だったようだ。


「さ、さすがエレノア様……おっしゃることが違いますわ」

「そんなことございませんわ」


――言い過ぎ?いいえ、これはただ、かつて私が言われた言葉をそのまま返しただけ。


あの時――結婚を考えていた相手を奪った女、智美の口から吐き捨てられた言葉。


『かわいそうな由里子。どんなに足掻いたって、アンタは所詮そこまでの女よ。これで分かったでしょう? まずはその無駄な内面を磨くんじゃなくて、私みたいに外見を磨くことね。まあ、アンタが私に近づくなんて無理な話だけど。ハハハハッ! ねぇ、今、どんな気持ち?』


――さあ、智美さん。

いいえ、リリス。

今、どんな気持ち?


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