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『戦争の天才』はリノ・バステルを激励する!

 クライスト皇国首都を死守してから一年が経過した。

 死守してからすぐ、我々は捕虜交換を行った。

 こちらの方が捕虜の数が多かったので、取り返せそうな捕虜は全て交換した。


 取り返した捕虜、訓練を終えた志願兵を新たな戦力とし、崩壊した南方戦線を再構築。

 開戦初期と変わらない戦力を維持することができている。

 その戦力のまま部隊は前進。

 もはや電撃戦と言えるだけの速度ではないが、確実に前進している。


 そしてついに、敵の首都『ワリハル』目前まで来た。

 しかし、すでに要塞化されているうえに敵も使える戦力をすべて使っているため、そう簡単に攻略できそうにはない。

 そこで、北方戦線、南方戦線からも部隊を引き抜き再編成することにした。


 その間、少し時間があったので、私はクライスト皇国に向かった。

 首都に入ると、辺り一帯は瓦礫が散乱していた。

 所々では家を建て直している様子も伺える。


「陛下、お久しぶりです」


 私の前にリノ・バステルが現れた。


「復興は進んでいるか?」


 私の質問にリノ・バステルは真面目に答えた。


「はい、住民は現在仮の住居に住んでおります。食料も炊き出しを行っていますので、餓死する人はいないかと。立ち話は何ですので、どうぞこちらへ」


 そう言って私は馬車に乗せられ、そのまま城まで案内された。

 通されたのは豪華な内装が目立つ部屋。

 応接室とかだろうか。


「まず、今回の防衛線、ご苦労だった。あの勝敗はこの戦争の結果に直結する。よく勝ってくれた。ありがとう」


 私がそう言うと彼はうつむいた。


「私は今回、飛行場を爆撃され、工業地帯を爆撃され、敵に首都を踏み荒らされました。言うなれば辛勝です」


「それでも勝っただろう」


「しかし…. 」


 リノ・バステルは私が思っているより、真面目なのかもしれない....

 勿論不真面目だと思っていたわけではない。


「私が君に求めたのは政治的勝利だ」


 それを聞いたリノバステルは不思議そうな顔をした。

 

「確かに、被害は君の言った通りだ

 しかし、君が生産効率を上げたかいあってレートル工業地帯の損害は他の工場で補えている。

 総力戦、国家総動員の体勢を整えてくれたのは君だ。

 敵が我が本土に侵攻した時、政治的判断を間違えば、国民に反戦ムードが立ち込めるだろう。

 しかし、君の見事なプロパガンダによって、国民は戦意を高揚させ、工場は生産力を上げた。

 そして、首都を死守した時もまた、国民や官僚、果ては大陸同盟全土を勇気づけるようなプロパガンダを見事に行ってくれた。

 確かに被害は出したが、この戦争を左右するほどのものではない。

 それより、この長い戦争で国民の士気が未だに高い方が素晴らしい。

 

 それに、決号作戦の主軸は遅滞戦術だろう?

 あれは君が時間を引き延ばしてる間に、他の部隊が後方を叩くことで、敵を撃滅する算段だったんだ。

 随分ギリギリになってしまったがね」


 私がそう言うと、リノ・バステルは顔を上げた。


「さぁ、うかうかはしてられないぞ。次は敵の首都攻略。ここを落せばこの戦争は勝ったも同然。なんとしても落とさなければいけない。引き続き、本土の政治は任せたぞ、リノ・バステル」


「了解しました。国民の士気は一切落とさない事を約束します」


 心強いことだ。

 さぁ、今度はこっちが首都を落す番だ。

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