『戦争の天才』は本土に上陸する!
ついに目標地点、敵本土近海に到着した。
敵は陣地を構え、砲はこちらを向いている。
しかし、大口径の長距離まで届く砲は持っていないようだった。
聯合艦隊は重巡と軽巡を横に並べて、一斉射撃を開始した。
「航空機も発艦可能な機体は全機発艦させろ」
高野は海兵にそう指示を出す。
「艦砲は敵の砲台を優先的に狙え。航空隊は敵歩兵の数を減らせ」
それから1時間、砲撃は続いた。
「敵航空機編隊がこちらに接近してきます!」
艦の電探はかなりの数の航空機を捕らえていた。
「敵は陸上基地から発進している。数で勝ち目はない。全機撤退しろ」
高野はそう言って今出ている航空機をすべて撤退させた。
空母から発艦する数と、陸上基地から発進する数では差がありすぎるからだ。
しかし、気が付けば敵陸上部隊の大半は艦砲射撃でやられていた。
「これより作戦は二段階目に移行する!上陸を開始せよ!」
高野はそう言った。
「あとは石原、君に任せた」
そう言って高野は肩をポンと叩いた。
さぁ、今度は私の番だ。
「これより、上陸を開始する。魔法部隊は輸送船の進路に『対航空機大屋根』を展開。上陸は速やかに行え」
私は無線でそう指示を出す。
すると、聯合艦隊艦隊の後ろから上陸用舟艇が出てきた。
続々と出てくる船。
その数1万隻。
とんでもない数だ。
前世ならあり得ないほどの数だろう。
船は続々と岸に乗り上げ、そこから兵士が突撃する。
新型の三式戦車も続々と上陸する。
そして、魔法部隊が魔法を展開する。
それは土魔法で作られた屋根。
それは辺り一帯、海から陸まで大規模に展開される。
大陸中の魔法使いを一斉に集めたからできる、いわば力業だ。
これなら、敵の機銃も爆弾も無効化できる。
そんな中、無線がこちらに来た。
「敵、優秀な機関銃を持ってるようです!かなりの発射速度を誇り、こちらの損害が目立ってきています」
この戦いは長期戦になる可能性がある。
兵は最優先で温存しておきたい。
「歩兵は一時撤退し、戦車を前に出せ、歩兵の壁にするんだ。それと、機関銃陣地と思わしき場所は徹底的に榴弾を撃ち込め」
それと、そろそろ、アレを展開するか。
「狩猟船団を出撃させろ」
狩猟船団。
大陸中の戦術歩兵、戦略歩兵を集めた『狩猟部隊』
精鋭のみで構成された部隊。
それを運ぶ船団の名だ。
それと、私も岸に上陸した。
砂浜は血でぬれ、死体が当たり前かのように転がっている。
さて、上陸だが、正直順調とは言えない。
思ったよりも被害が大きい。
敵の銃火器が優秀だからだ。
命中精度も発射速度も大陸同盟の使うものを上回っている。
しかし、敵は艦砲射撃で数がだいぶ減っている。
多少強引になるが戦車と狩猟師団で無理やり前線を押し上げるのが得策だろう。
気が付けば、前線はかなり押し上げられ、敵は撤退し始めている。
敵の航空支援さえ封じれば、陸上戦力ではこちらに分があるからだろう。
「敵は撤退を開始した。我々は所定の位置まで前進を開始する」
私がそう言うと、部隊は隊列を組みなおし、前進を開始した。
前進途中、敵が置いていった武器を見て、私は驚愕した。
そこに置かれていた重機関銃は、前世の『M2ブローニング』に酷似していた。
恐らくたまたまではないだろう。
ヴァントリアス帝国はどうしてか、フェアンベルゼン王国で作られた魔法陣、異世界から人を召喚する魔法陣の技術を盗んだ。
そして、その技術をジェストカン神聖国にも渡した。
ジェストカン神聖国は勇者4人を召喚した。
それがあの勇者一行、亮たちだ。
ヴァントリアス帝国は一体だれを召喚したのか疑問だったが、これで少しわかった。
一人目は辻。
そして二人目はジョン・ブローニングだろう。
残すは二人。
恐らく、この戦争に大きく影響するだろう。
そんなことを考えながら、前進を再開した。
大陸同盟はついに敵本土に上陸、そして成功した。
かなりの犠牲を払ったが、それですらこの戦争の一つの通過点に過ぎない。
この戦争は一体どうなってしまうのか。
新兵器、秘密兵器の準備は着々と進んでいる。
『三位一体作戦』
これだけは使わない事を祈る。




