第9話 『試練』
私の目の前、一つの『影』が佇んでいた。まるで私を待っていたかのように。アレが『試練』って事でいいのかな?
――我は『ロキ』 汝の力、試そうぞ。
頭の中に直接、届いた声。『終わらせる者』の名を冠した機神。私も自然に、聖刃を持つ手に力が入った。
ドンッ! ロキが一歩……いや、たった『一投足』で私との距離を詰めた! 鋭いランスが、私の顔を掠める。反射的に身を捻ったけど、今ので終わっていても不思議じゃない。
私はその場でクルリと回り、新たに獲得したスキル『回転斬り』を放った。首筋を狙ったのに、あっさり弾かれる! 予想以上に硬い……!
ロキは巨大なランスを軽々と振り回す。大振りなので見切りやすいが、一瞬一撃が即4級だ。大胆に見えて、まるで漬け込む隙がない。
私が距離を取ると、ロキはランスを私に向けて……まさか! そう思った瞬間、私は回避行動を取っていた。
ヴンッ! 光線が私の体をギリギリ掠めた。遠距離にも対応しているなんて……反則! って、ボヤいても仕方ないか。
尚もロキは、レーザーを連射してきた。直線なので避けやすい。懐に飛び込むも、待ってましたとばかりに高速の突きを繰り出してきた!
私は掠めながらも、再度ロキの懐に飛び込んだ。何処かしら『弱点』があるハズ!
「――交差刃っ!」
高速の刃が、ロキの背面を斬り裂いた! 堪らず悲鳴を上げるロキ。尾が弱点みたいね。膝をついているロキに容赦なく追撃した。なるべくダメージを稼いでおかないと……!
――agraaaaaaaaaッッ‼
ロキがランスを放り投げ、天に咆哮た! 全身から紅いオーラが噴出する! 暴走モードに入った⁉ 私を捉えるなり、獣のように両腕の爪を振るってきた!
「くっ……⁉」
動きが不規則になった分、一気にやりづらくなった。失敗だった……暴走モードになるのが分かってたのに。完全に倒し切りを誤った。
なんとか反撃したいけど、ロキの猛攻がそれを許さない。体力を削られ、今にもガードブレイクしそうだ。
ロキは埒が明かないと思ったのか、低姿勢になって尾を伸ばしてきた。ここだ! 私は全神経を集中して、渾身のパリィを放った!
ロキが大きく体勢を崩す。もう倒しきるには、ここしかない! 私は無我夢中で、攻撃の手を緩めなかった。そして、ついに……
――aaaaAAAAA……
ロキは黒い塵へと還っていく。私も思わずその場に倒れ込んだ。ギリギリだったな……けど、これで次へのステップが開かれたわけだ。
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