第5話 『スキル』
私はリア。『味方』を称する女から、使命を依頼される。見返りは私の『記憶』に関すること、私に秘められた『能力』の解放だ。
「居た」
最初の使命が、パイプ兵の排除。女いわく、AIが暴走して『処刑人』とか呼ばれている。巨大なパイプを引きずりながら、私を探している。
私は気づかれないよう死角に回り込み、致命的一撃を仕掛けようとしたが……AI独特の超反応で、パイプ兵は即座に私に振り向いた。
勘なのか、偶然か。いずれにしろ、正面突破しかない。私はパイプの大振りを見逃さない。直前まで引き付け弾いた!
――⁉
パイプ兵の動きが停まる。新たに獲得したスキル、パリィだ。特に『ジャスト』のタイミングで弾けば、敵は膨大な隙を晒す。
ザクッ! 私は容赦なくファタールを叩き込む。沈黙するパイプ兵。やった? まさかね。
ゴゥン! 予想通り、猛烈な勢いで突進してきたパイプ兵。私があっさり躱すと、そのまま壁に激突。パイプを抜こうと必死だ。
私が背後からファタールを決めると、パイプを諦め動きが不規則になる警備兵。上級警備兵は体力が減ると、不規則度が増す。
――プシュウゥウウウウッッ‼
警備兵は全身から蒸気を滾らせ、私に猛攻を仕掛けてきた。明らかに動きが鋭くなっている……! リミッターが解除された⁉
生半可な攻撃じゃ迎撃できない! そう直感した私は、新たな『スキル』を試すことにした。
「――交差刃!」
高速で刃を交差させ、通常より多くのダメージを与えられる。注意点はスキルは『スタミナ』を消費するので、連発はできない。
私は一撃離脱戦法と組み合わせ、警備兵の体力を削っていく。スキルは効果覿面で、徐々に警備兵の動きが鈍くなる。
「トドメっ、交差刃!」
交差する刃が、警備兵をバラバラにするハズだった。ところが、警備兵は『予想外』の動きをした。私の刃を受けながらも尚、突進してきた!
「なっ……⁉」
驚く間もなく、私は壁に押しつけられた。振り解こうにも警備兵は、瀕死とは思えない怪力で華奢な私を圧し潰そうとする!
まさか最後の突進に『アーマー』が、付与されていたなんて。私は半ば諦め掛けたとき……
――プシュウゥゥゥゥ……
警備兵は全身から絶え間なく蒸気とオイルを噴出して、ピタリと動きが停止った。どうやら稼働に限界がきたようだ。助かった……
「運がよかったみたいね」
私の代わりに、あの女が呟いた。いつの間に?
「……ずっと監視たの?」
「言い忘れてたけど、私は貴女の『導く役』でもある。その程度の相手、苦戦してもらっては困る。もっと強くなってほしい」
労いもなく、女は淡々と言葉を紡ぐ。
「簡単に言うのね?」
「貴女の『成長』に期待している。それと貴女が次に目指す場所は、ここから北に10キロのスラム街。わずかな『生存者』が、身を潜めている。何かしら、有益な情報が得られるかも」
スラム街、それに生きている『人間』がいる……。
「スラムへは、地下鉄からのルートを推奨する。地上ルートは、今の貴女のレベルでは厳しい」
随分、ハッキリと言う。まぁ死んでしまっては元も子もない。私は地下鉄へと直行した。
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