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第32話 『親衛隊』

「これは……」


 私は目を見開いた。そこは明らかに他の地域とは、一線を(かく)す場所だった。


 外は荒廃しているが、ここは街のあちこちに無機質なビルが立ち並んでいた。映像で見た前時代そのままだった。


 だけど、私たちの地域(ホーム)と決定的な『違い』があった。住人らは生気のない表情でウロウロしたり、道路上に膝をつき熱心に拝んでいる。


 そういえば以前もスラム街に入った直後、心ここに在らずの人物に遭遇した。なにか関連があるのだろうか?


「リア、早速『お客さん』よ」


 エミリーが私に『注意』を促した。振り向くと巨大な盾を持った自律(AI)メカが、私たちを冷たく見据えていた。大聖堂にたどり着くまで、実質敵地(アウェイ)と変わらない。


……アレは確か『親衛隊(ロイヤルナイト)


 データベースによると警備兵(ガーディアン)の上位互換で、より重要度が高い施設に配置される。


「てか、私たちお客様(ゲスト)じゃないの?」

「試されているのかも」


 恐らく『大聖堂』も監視しているだろう。私たちが、共闘するのに相応しい相手かどうか。


 ウィイインッ! 親衛隊が盾を構えながら、突進してきた! 巨体の割には疾駆(はや)い……!


「舞いなさいっ、忠実なフェアリー!」


 エミリーがいつもの倍のマスケット銃を展開、一斉掃射するも親衛隊はまるで意に介さない! エミリーも全方向(オールレンジ)で仕掛けるが、本体が予想以上に硬い……!


 エミリーが『隙』を作ってくれたお陰で、こちらも準備できている。


「――雷針突プラズマブラストっっ」


 最大溜めから、渾身の一撃を繰り出した! 避けられるタイミングじゃない! だが……!


 ドゴォオオ~~ッッ‼ 親衛隊は巨大な盾で、雷針突を弾いた! パリィ……⁉ そりゃ私もいつもやってるけど!


「ちょっとリアっ、何してんのよっ⁉」

「……次は仕留める!」


 弾いたぶん隙も大きい。私は一気に親衛隊の懐に潜り込んだ!


「――交差クロス……っ⁉」


 本能的に私は飛び退いた! それでも完全に避け切れず、衣服が破れる。あと僅かに踏み込んでいたら、上下半身が真っ二つになっていただろう。


「ああもうっ、せっかくチャンス……って、なによアレっ⁉」


 エミリーも状況を理解した。親衛隊の腹から伸びた異様な腕……いわゆる『隠し腕』というヤツか。万に一つ密着された時の為か、見掛けによらず用意周到だ。


 とはいえ、このままでは(らち)が明かない。どうしたものかと私が途方に暮れていると、エミリーが得意顔となった。


「フフン、ここは私の出番みたいね」

「その様子だと、なにか妙案でもあるの?」


 私が訊くと、彼女はえっへんと小さな胸を張った。


「よくぞ聞いてくれたわ! 押しても引いてもダメなら、強硬突破すればいいのよ!」

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