第30話 『サラ』
「なんですって……?」
私は思わず訊き返した。私たち以外にも、対女神一派の地域は多数にある。その中でも複数の地域が台頭しており、大聖堂はウチより規模が大きい。
「で? わざわざ出張ってきて、なんの用?」
「単刀直入に申そう。お二方に我が地域まで、出向してもらいたい」
……いくら何でも直球すぎない?
「そんな義理ない。私たちになんのメリットが?」
女神一派という『共通の敵』がいても、地域同士で仲がいいわけじゃない。利害の一致の上で、引き抜きなども平然と行われている。
「フム? その様子だと知らなんだ。地域同士は『同盟』を結んで、連携を強化している。いつ女神一派の襲撃があるか判らんからな」
「だからって、ウチらには関係ないっしょ?」
エミリーが反発すると、サラはアゴに手を当てしばし逡巡した。
「どうしても無理と申すか? ならば、こちらとしても『話し合い』以外の手立てを取捨せざるを得まい」
「……見掛けによらず強引なのね?」
私はエミリーを手で制して、サラと対峙した。サラは無防備、決して私を見くびっているわけではない。無言の圧が私にのし掛かった。
「来ないなら、こちらから参るぞ?」
サラの姿が揺らめいた……『ように』見えた。刹那――私は『本能』で飛び退いていた。
――ザンッ
私の顔を掠める一閃。完全には避け切れず、髪の毛が枚散る。今のは……⁉ 以前戦った処刑人の『武士』とは、まるで型が異なる……!
サラは折り込み済みと言わんばかり、太刀を疾らせた。瞬時に私に烈風が襲い掛かる! 遠当まで完備いるなんて……!
――ギンッ!
私は遠当てをシールドで防ぐしかなかった。聖刃で弾けば、隙が生じる。その『一瞬』が、サラには十分に事足りた。
即座に距離を詰めて、私の喉元に太刀の切っ先を突きつけた。冷や汗が噴き出る……これが実戦なら『終わって』いた。
「……何故、トドメを刺さないの?」
「フム? 貴女はまだ『力』を隠し持っているも見た」
……いきなり何を?
「……今のが限界よ。それほど貴女の太刀は鋭かった」
「自覚がないのか。どうしたものか」
サラは納刀しながら、私と距離を置いた。
「ならば、貴女の『潜在』する能力……」
サラは世間話をするような仕草だ。故に私は、完全に『次の一手』の対応が遅れた。
「力ずくで抉じ開けようか?」
サラは柄に手を『掛けてなかった』……だが、私の正面から猛烈な32意が襲い掛かる!
しまった! 遅か……
「――秘剣・風林華閃」
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