第29話 『使者』
休暇を終えた私たちは、次なる戦いに備えていた。オズによると、廃ビル群のどこかに女神一派の拠点である『大聖堂』がある。
ここを落とせば、攻めを継続できなるなる。次の目的地が決まった。
◇ ◇ ◇
「舞いなさいっ、忠実なフェアリー!」
「……っ!」
エミリーの謎の掛け声で、無数に展開されるマスケット銃。手数は多いが、相変わらず攻撃が単調だ。これでは以前となんら変わらない。
チュイン!
何……? 銃弾が私の頬を掠めた。軌道は完全に読んでたハズ……弾がイレギュラーバウンドした?
「もらったわ!」
エミリーがここぞとばかり、集中砲火を仕掛ける! 私は爆炎に包まれるも、左手のグローブからシールドを展開、事なきを得た。
「ちょっとぉ⁉ シールドを使うなんて聞いてないわ!」
「使わない、とも言ってないわ」
私が端的に返すと、エミリーはゴネ始めた。とはいえ、ブレイドだけでは危なかった。些か、彼女を見くびり過ぎたか。
「フフン、どーよ? アタシだって成長してるんだから」
「まさか、跳弾まで習得しているなんてね。で? 私が以前、指摘した防御のイロハはどうなったの?」
エミリーは一瞬だけきょとんとして、やれやれといったポーズを取った。私はすかさず、無言で彼女に詰め寄った。
「ふーんだ! 防御なんて、アタシのスタイルに合わないわ! 攻め切ればいいのよ!」
「またそんな事を言って。実戦は余程の実力差がない限り、一方的な展開にはならないわ」
尚も押し問答をしていると……
「そろそろいいか?」
唐突に聞き覚えのない声がした。私とエミリーが同時に振り向くと、見覚えのない女が壁に背を預けていた。
青髪のポニーテール、背は私より高くグラマー体型、腰には太刀を帯刀していた。
「いつの間に……? 私たちに気配を感じさせないなんて」
いくら模擬戦の最中とはいえ、不意討ち対策はしている。この女は『気配そのもの』を完全に遮断していた。
「成る程。勢力を増した地域があると聞いていたが、噂通りだな」
「……貴女、誰?」
私の中で警戒度が跳ね上がった。まさか女神一派のスパイ……? そんな私の様子を察してか、女はゆっくりと頭を振った。
「案ずるな。拙者はサラ、北方に地域を持つ『大聖堂』から来た」
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