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第25話 『莉愛』

「いやぁ~流石はリア様、お見それしました!」

「……調子のいいコね」


 天使を撃破し、おだてまくるエミリーに私は呆れ気味だ。なかなか強敵だったけど、なんとか凌ぐことが出来た。


「てかさぁ~あんだけ強いなら、最初に言ってよねぇ。で、これからどーすんの?」

「とりあえず一旦、拠点に戻って……ん?」


 私は天使を倒した位置から、光の柱が伸びてるのに気づいた。アレは……間違いない! 地下鉄でロキを倒した時以来、私の記憶に関する柱だ。


 私は柱に吸い寄せられるように歩いた。エミリーが何か言ってるが、私には聞こえてなかった。柱に触れると……



 ◆ ◆ ◆



「パパぁ~今日はなんの研究するのぉ?」


「ハハハ、莉愛。少しは落ち着きなさい」


――父娘(おやこ)だろうか? 幼い少女とまだ若い父親が、他愛もないやり取りをしていた。


 しかし、私は少女の顔を見て驚きを禁じ得なかった。何故なら、私と瓜二つ(・・・)だったからだ……!


 これはどういう事だろうか?  なぜ私『そっくり』な少女が研究所に……? 混乱する私を他所に少女と父親は、大きなカプセルの前にいた。


「パパぁ~これはなに?」


「……これはね、莉愛。人類の存亡を左右するものなんだ」


 和やかな雰囲気が一変した。ミアの話通り、パンデミックにより、世界は壊滅的な状態だ。あんな幼いコに過酷な現実を突きつけるなんて。


「人類の存亡……??」


 幼い少女にとって、あまりにもスケールが大きい話だ。


「ああ……莉愛に話すのは早すぎるが、いつ何時に何が起こるか分からない。このカプセルの中は人類の『希望』なんだ。私が心血を注いだ最新式のAIを搭載した人造人間(ホムンクルス)……『緊急時』に目覚めるようになっている」


「「…………」」


 私と幼い莉愛は、父親の話を呆然と聞いた。そんな中、父親は幼い莉愛の両肩に手を置いた。


「莉愛……私はどうなるか分からない。だが、お前だけは是が非でも生き延びてほしい。それが人類が再び繁栄することにもなる。『お前たち』で、この世界を……」


 父親が言いかけた時、研究所が大きく揺れた。あまりの衝撃に天井から、細かい土埃が落ちるくらいだ。


「ヒッ⁉ パパ……!」


「くっ……⁉ 奴ら(・・)、もうここを嗅ぎ付けたか! 莉愛っ、心愛(みあ)と一緒にパパが言った所へ避難なさい! あのコも家族ぐるみで、避難しているハズだっ」


「そんなっ⁉ イヤだよっ、パパと一緒に逃げるもん!」


 泣きじゃくる幼い莉愛に父親はおでこをくっつけ、優しく諭した。


「大丈夫だよ、パパも用を済ませたらすぐに避難するさ。大事な莉愛を放っておくものか。だから莉愛、パパを信じておくれ」


 しばらく莉愛の嗚咽(おえつ)が響いたが、やがて父親の意志を汲み取り、避難用のダクトを滑った。

それを見届けた父親は腹を括った顔をして、懐からリモコンらしい物を取り出した。


 そして、私にとって決して『聞き捨てならない』事を言い放った。



「……出来れば、目覚めさせたくなかったがやむを得ん。今こそお前の出番だ、リア(・・)」 

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