第26話 『帰還』
「なっ…………」
私はそれしか呟けなかった。今、父親はなんて言ったのだろう……? 放心状態の私を他所に、父親は淡々と話を続けた。
「ここも長くはもたない。リア、お前と莉愛で世界の『希望』となれ。お前には……」
それはどういう……私が父親に手を伸ばした瞬間――
――ザザザザザ……!
不意に雑音が流れ、私の視界が歪む。まだ肝心なことを聞けてないのに……邪魔をするな!
――ザァアアアア…!
私の思いも虚しく、目の前の景色は砂嵐にまみれる。せめて後10秒……私は悪あがきで、一歩踏み出そうとするも――
「――リアっっ」
突如、切羽詰まった声が響き、私は後方に強く引っ張られた。勢いが余って、その場に倒れ込むほどだった。
「……エミリー?」
「エミリー……? じゃないでしょ! アンタ、正気なのっ⁉」
エミリーに怒鳴られ私は一瞬、なんのことか判らなかった。けど、すぐに理解した。なぜなら、私たちの目の前に大きな穴が空いていたからだ。
「なっ……」
私は絶句するしかなかった。もし彼女が止めてくれなかったら、私は……
「ったく、ホントに大丈夫なの? なんか急にブツブツ独り言が始まって、アタシが声を掛けても心ここに在らずだったし。おまけにフラフラ歩きだして、慌てて追い掛けたんだよ?」
「……そう。ありがとう、助かったわ」
素直に礼を述べる私にエミリーは、一瞬きょとんとなる。
「ま、まぁこれで貸し借りなしね。アンタがいなかったら、アタシも天使にやられてたワケだし。で、どーすんのよ? アンタも色々とワケありみたいだし」
「そうね。一旦、拠点に戻りましょう。これ以上、ここでやる事はないわ」
元々、ここには先行調査で来たのだ。『天使』も倒し、だいぶ敵の勢力は削ぐことが出来た。それにエマリーとも出会えたしね。
私はミアに連絡を入れ、バイクの後ろにエミリーを乗せて帰路に着いた。
◇ ◇ ◇
「お爺ちゃあぁああああんっっ」
「エミリーぃいいいいいぃっっ」
地域に戻るや否や、両手を広げて駆け寄るエミリーとオズ。二人って身内だったの?
「会いたかったよぉ……⁉」
「今までどこほっつき歩いてた、このバカ孫がぁああああっっ」
感動の再会(?)が一変。オズは丸太のように野太い腕で、エミリーにラリアットをかました。
「ぶこふぅ……⁉」
「勝手に地域を出ていって、連絡も寄越さんでッ! ワシが捕まりさえしなければ、直接締め上げたものをッッ」
成程……そういう事か。
「オズ……まさかとは思うけど、エミリーを連れ戻す為に私をポイントKに向かわせたの?」
「え"……⁉ いやぁ~ポイントKが、奴らの重要拠点なのは確かだし。こりゃエミリー、まだ話は終わっとらんぞっっ」
逃げ回るエミリー、追いかけ回すオズ。上手く逸らかされたな。それより私は、あの『記憶』が頭から離れなかった。
本人の莉愛が存在のなら、私はどこの『誰』なのか……?
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