第2話 『声』
私はリア。今は『名前』以外、思い出せない。気づくと、半壊した研究所にいた。何故かは解らない。だが、私には『何か』を為さねば成らない事がある。
それを思い出すべく、私は聖刃を手にした。
「……っ」
私は徐に足を止めた。筋肉と内臓が剥き出しになっている『異形』が、私に背を向けていた。屍肉を貪っており、こちらには気づいてない。
……アレは『黄泉人』
魂を失った者の成れの果てで、常に飢餓に支配され彷徨い続ける亡者だ。以前、データベースに載っていた。
……やはり、戦闘に関する記憶は残っている。
私は足音を消して、慎重に接近する。黄泉人は、背後を取っているのに全く気づいてない。
――ザシュ‼
鈍い手応え。私のブレードに貫かれ、黄泉人はあっさり崩れ落ちた。腐敗が進んでいたので、驚くほど脆い。
致命的一撃、主に暗32時に使う不意討ちだ。一撃でホフれるので、無駄な戦闘を避けれる。
――ドパンッ!
私の体に衝撃が走り、気づけば吹っ飛ばされていた。何が……? 『原因』はアレか! どうやら、ビルの屋上から狙撃れたらしい。
幸い致命傷は避けれたが、それでも『普通の人間』なら行動不能になっている。
やはり私は……いや、今は目先に集中しよう。
私は気配を探り、狙撃ポイントを特定した。ビルの屋上から、隠す気のない無機質な32意。しかも、バレているのに撃ってくる。
――ダンッ!
たった『一歩』で、ビルの屋上まで跳躍。
標的を見失う警備兵。影で気づくも遅い。私の一太刀が、意思なき存在を両断していた。なんの感慨もなく、太刀を納める私。直後……
……ア
「誰……⁉」
振り向くも、誰も居ない。空耳……? そういえば、久々に声を出したな。まぁ話し相手がいないから仕方ないか。
…リ…ア……
まただ。どうやら、私の気のせいじゃないらしい。私は『声』をたどる事にした。宛てもなく、さ迷うよりマシだ。
◇ ◇ ◇
ビルも研究所同様、朽ち果てていた。人の気配は皆無。この『世界』は、どうなってしまったのか……?
「……っ!」
私は臨戦態勢に入った。ここも『異形』の巣窟。僅かな判断ミスが、命取りとなる。なんの変哲もない出入口。だけど、確実に……居る。
私はローリングで、部屋に突入した。直後、振り下ろされる鈍器。黄泉人が、体勢を立て直す前に私のブレイドが一閃した。
……ここは倉庫だろうか?
木箱が乱雑に放置されていた。私は慎重に木箱をブレイドで破壊。案の定、潜んでいた複数の黄泉人を各個撃破。
「バレバレね。ん? これは……」
私は床のキラキラ光るものに触れた。直後、光は私に『吸収』された。
「……確か『烙印』ね」
回復剤やアイテムの『素材』になるものだ。拾えるものは拾っておこう。回収して、私は先を急いだ。
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