表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

第8話 もう1人の顕現


──翌日、流環の間

ジンは魔力コントロールの復習をしている。


「ふぅ・・・。」


ジンの手のひらには3つの魔晶石が淡い紫色に輝いている。

今日は昨日に比べて、疲れることは無かった。


「うむ。魔力コントロールも、魔力を押さえることもずいぶんよくなった。さて、次は・・・。」


カサリスは立ち上がった。


「見ておれ・・・。」


そう言うと、カサリスは手をかざした。

カサリスの体から大量の魔力を発し、空気を震わせえる。

と・・・カサリスの手からものすごい勢いで空気を押し出す。


「風・・・。」


その空気は刃のように形取り、部屋に生えている木を3本切り倒して見せた。


「これが、魔力行使(エクセリウム)じゃ。込める魔力量によって、規模も威力もあがる。コントロールができんと暴発してしまう・・・。」


カサリスはゆっくりと続ける。


「基本的には体を介して魔法を発動するが、魔力量とコントロール技術を磨くことで・・・。」


両手をかざし、数m先につむじ風が生まれた。

それは徐々に大きくなり、竜巻程の大きさに変わった。


「・・・くっ!」


立っているのがやっとだ・・・。

ジンは竜巻の方に軽く引っ張られ始めた。

カサリスは両手を下した。

すると、竜巻は少しずつ消えていった。


「・・・こんなこともできるんじゃ。」


すげー!と言わんばかりに目を輝かせているジンに、カサリスは笑いかけた。


「しかし、ここに至るまでには困難じゃぞ?」


ジンは立ち上がった。


「まず、第一段階は体から魔力を放出するイメージを持つことじゃ。最初は手からが無難じゃな。」


「魔力を、放出するイメージ・・・。」


そう言い、左手を前にだし目を閉じる。

ジンの左腕は、学校の治療によって完治している。


「ん・・・。」


魔晶石に魔力を注ぐのとは訳が違う・・・。


・・・パリパリッ


「ぐっ、はぁ・・・。」


手のひらに多少電気を帯びる・・・。

それぐらいしか魔法を行使できない。


「ほっほ。魔晶石は魔力によく反応するから、注ぐときは簡単じゃが。まだ出しておるだけじゃ。」


ジンは深く頷くともう一度集中した。

体の魔力・・・感じる。

これを手のひらから一気に・・・!


その瞬間──

雷鳴が轟き、大気が揺れる。

ジンはあまりにもの勢いに後ろへと飛ばされる。


「ぐ・・・あ。」


左腕が・・・痺れる。

雷が直撃した木々は折れ、ゴウゴウと燃えている。


「お主・・・。反動がきておるのう。」


カサリスはジンを覗き込んだ。


「威力が強すぎじゃ。もっと精密にコントロールせい。」


もう一度だ。

強すぎる・・・。

魔力のコントロール・・・。

しかし、何も起きない。


「今度は押さえすぎじゃ。・・・極端じゃのぅ。」


カサリスは笑った。


「ジンよ、魔力は流しだすものじゃ。」


「流しだす・・・。」


ジンはもう一度集中した。

流しだす・・・。


パリパリパリッ

ジンの手のひらに電気が走る。

流しだす・・・!


空を裂き、乾いた雷鳴が鳴り響く。

今度は・・・。

後ろに吹き飛ばされることは無かった。

しかし、左腕は痺れる。


「うむ。その調子じゃ。」


その後──

ジンの魔力が尽きるまで繰り返し反復した。


体は痺れ、思うようように動かせない。

魔力は尽き、倒れかけたその時だった。

ジンの纏う雰囲気が一気に静かになった。


「ジン・・・?」


変わった雰囲気と、魔力切れで倒れかけたのに、今は平然と立っている姿に困惑しているカサリス。


「カサリス・・・。」


そう言うと、カサリスの方を見た。

よく見ると淡い紫色をしていた瞳が、深い青色へと変わっていた。


「お主、ジンじゃないの・・・。」


異様な雰囲気に驚き、カサリスは警戒した。


「落ち着け、敵じゃない。」


その言葉を聞いて、ジンが話していたもう一人のジンのことを思い出した。


「お主もしや、ゼン・・・かの?」


カサリスはまだ警戒を解かないまま。

じっと見据えた。


「ああ・・・。」


短い返答だった。


「ゼン、じゃな。」


「そう呼んでいい。」


ゼンは視線をそらさないまま、淡々と続けた。


「安心しろ、こいつを乗っ取る気は無い。」


「ほう、ずいぶんと簡単にいうのぅ」


カサリスの目が細くなる。


「簡単じゃないさ。ただ・・・面倒なだけだ。」


その言葉にカサリスは黙る。

しかし、身に纏う魔力、このワシですら感じさせぬ。

何という魔力コントロールじゃ。

その光景を目に、カサリスは動揺を隠せない。


ゼンはゆっくりと、カサリスの方へ歩み寄る。


「お主・・・。どこで魔力コントロールを?」


ゼンは少しにやけながら答えた。


「全部聞いてたさ・・・内でな。」


ジンが聞いたことなど共有できる・・・ということじゃの。

ならば、魔力行使(エクセリウム)もできると判断した方がええじゃろ・・・。


「なぜ、今出てきた?」


「こいつが限界を超えそうになったから強制的にでたまでだ。こいつが死ねば俺にも影響が及ぶ。」


ゼンは辺りを見回して続けた。


「だが、ここは安全そうだ。」


カサリスはその言葉を静かに受け取る。


「安全・・・か。ずいぶんと冷静じゃの。」


視線は常に、周囲ではなく空気そのものを測るように動いている。


「魔力の流れも安定してる。結界もある・・・。問題ない。」


その動向に、カサリスは目を細めた。


「・・・見ているのは流れか。」


ゼンはそれには答えない。


「そろそろ戻る。」


そう言い、軽く息を吐いた。


「待て!」


カサリスの声が鋭くなる。


「お主、ジンと同じ器におる存在じゃろ・・・。」


その言葉の途中で、ゼンの瞳がわずかに揺らいだ。

カサリスは言葉を止める。


「必要な情報はもう取った。」


そう言った次の瞬間・・・。ふと、気配が薄くなる。

まるで水に沈むように、意識が奥へ落ちていく感覚。


「待て・・・!」


カサリスが一歩踏み出す。

だが、その声は届かない。


ジンの体は、その場で倒れた。


──数時間後


「う・・・ん。」


ジンは目覚めた。

カサリスがジンを覗き込んでいる。


「カサリス・・・。」


「おお、目が覚めたか・・・。ジン・・・かの?」


ジンは起き上がり、


「うん。」


と答えた。


「そうか、ジンか。」


カサリスはほっと胸を撫で下ろした。


「ほれ、これを飲んでおけ。」


カサリスが差し出したのは魔力ポーションだった。

ジンは受け取り、飲み干した。


「なんだ・・・これ。力が戻ってくる・・・。」


「魔力が回復するポーションじゃ。」


カサリスはジンをじっくり観察する。


「さて、魔力も多少戻ったようじゃし、お主は魔力の流し方を掴みかけておる。」


「うん・・・。」


ジンは小さく頷いた。


「ならば、第2段階じゃ。そうじゃのう・・・。」


カサリスは立ち上がり、右手をそのまま右に伸ばす。


「魔力を扱う技術が魔力行使(エクセリウム)。そしてその応用が・・・。」


バチバチ・・・。

バリバリバリ!

と、雷の剣のようなものを作りだした。


「2属性・・・?」


ジンの言葉にカサリスは少しだけ口角を上げた。


「これが、魔力武器化(アルマニティ)じゃ。さてのぅ、お主はどこまで辿り着けるかの・・・。」

最後まで読んで頂きありがとうございます!

ついに本格的に魔法を使うための修行が始まりましたね。

続きが気になって頂けた方、ブックマークや評価を頂けると

励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ