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オルビス・ファンタシア~魂の交差~  作者: 蒼香 海斗
第4章 風に乗る歌声
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第76話 村の英雄達

ジン達三人は足早にギルドへ向かった。


「結構歩くね。」


「ここを行ったらもうすぐだよ。」


檻に囚われた少女の通りから、随分と歩いた所にギルドはあった。

その途中、ジンはその少女が気になり、足を止めて後ろを振り向く。

しかし、既にその場所は見えない所まで来ていた。


あの歌が頭から離れない・・・。

あの子が妙に気になる。


「ジン?」


フリーシアがジンを呼んだ。


「うん。」


ジンはフリーシアの呼びかけに、再び、ギルドに向かって歩きを進める。

ギルドに到着すると、思い切ってドアを開く。

ドアが開く音と同時に、中に居た冒険者達の視線が一気に集まる。


「色んな人が居るね・・・。」


ロイスはフリーシアに小さい声で耳打ちした。


「ええ・・・。」


三人は冒険者の間を縫って受付のカウンターに向かい、受付の女性に声をかけた。


「すみません、すぐ近くにある村の魔獣の件で報告に来ました。」


受付の女性はその話を聞いて目を少し見開く。


「貴方達、ここに来るのは初めてですか?」


「あ、はい。そうです。」


受付の女性はジンの返事を聞くと、丁寧に頭を下げて自己紹介した。


「初めまして。私はこのギルドで受付をしております、マイネと申します。」


「初めまして、僕はジン・ウィアトルです。」


「近くの村・・・。と言うことは、ザンガシ村の魔獣討伐の件でしょうか?」


マイネは丁寧に対応してくれた。

しかし、「ザンガシ村」、「魔獣」、の単語を聞いた冒険者達の視線が再びジン達に向く。


「え、ええ。そうです。」


ジンは後ろを見て、冒険者達の視線が痛く、少し縮こまってしまい、マイネだけに集中した。


「ではまず、ギルドに所属されていますか?」


「いいえ、所属はしてません・・・。」


ジンはそう伝えながらポケットを探り、グルナーレ学校の卒業証明書を提示した。

マイネはそれを受け取ると、表と裏をしっかり確認した後、ジンに返す。


「確かに、グルナーレ魔法学院の卒業証明書ですね。」


「ギルドに所属はされないのですか?」


ジンはその質問に、少しの戸惑いを見せ、頬をかきながら答えた。


「はい、今は仲間と色々な所を旅しているので、所属は・・・。」


ジンはやんわりと所属の誘いを断った。


「かしこまりました。事情もおありだと思いますので、そのままでも大丈夫ですよ。」


マイネは丁寧な言葉に、さらにニコッと笑顔をジンに向けた。


「では、いくつか質問をさせていただきます。」


マイネはカウンターの下を覗き、一枚の紙を取り出した。


「まず、魔晶石はお持ちですか?」


「はい、あります。」


フリーシアがポケットから、虎の魔獣を倒した時に落とした魔晶石、三つをカウンターの上に置いた。


「では、村を襲った魔獣の特徴を教えて下さい。」


ロイスが唇の下に人差し指を当てて、思い出そうとしながらマイネに答える。


「んーと、白と黒の縞模様の毛で覆われていて・・・。四足歩行なのに私達より背が高かったよ。後、魔獣は基本群れないのに、三体のその魔獣は連携を取ってた。それに凄い速くて力もあった。ジン、バーン!って飛んで行ったもんね・・・。」


「ロイス、そこは言わなくてもいいよ・・・。」


ジンは苦笑いをしながらロイスの話を止めた。

フリーシアはロイスの表現に、笑いを堪えていた。


「ええ、派手に飛んで行ったわ。」


「フリーシア!?」


「─ふんっ、ほんとのことじゃねえか。」


ゼンまで・・・。

しかも、鼻で笑ったな!?


その問いには答えが返って来なかった。

ジンは大きく息を吐き、肩をすぼめる。


「なるほど・・・。ジン君がバーン!って派手に飛んで行ったのはさておき・・・。」


「マイネさんまで・・・。」


ジンは更に小さくなった。


「もう、自信ない・・・。」


ジンは小さく呟いた。


「冗談よ、冗談!ジン君、かわいいわね。」


マイネはふふっと優しく笑うと、小さく咳払いし、話を進める。


「今聞いた内容と、報告書の内容が一致してます。それに魔晶石まで・・・。それでは・・・。」


マイネは、一度ギルド内を見渡した。

そして、拳を口の前に当て、もう一度、次は大きく咳ばらいをし、ギルド内に大きな声でこう告げた。


「ギルドの皆さん!ザンガシ村の脅威は取り払われました!続けます!あの村の脅威は、この三人の手により、救われたのです!!」


ギルド内に居た冒険者達は、それを聞いて一瞬静まり返った。

次の瞬間、「うおー!!」という歓喜の叫び声と、皆が両手を天にあげて喜んだ。


「それと!ギルド酒場からはここに居る全員に一杯無料配布よ!!」


マイネは嬉しそうにそう告げると、またしても歓声が沸き上がった。


「おいおい、まじかよ・・・。」


ギルド酒場の店主は肩を落とした。

ジン達、三人はそれに驚きはしたものの、その歓声に自分達も嬉しくなり、三人は笑顔を送りあった。

しかし、ジンはふと、村人や憲兵達の村に転がる遺体のことを思い出す。

ジンは笑顔から、少し複雑そうな表情に変わる。

その中で、ジンの肩が叩かれた。

振り返ると受付の女性だった。

受付の女性は、ジンの耳元で小さく呟く。


「良いパーティね。大事にしないとね。」


そう言って離れると、受付の女性はジンにウィンクした。

ジンはどう返事していいのか分からず、その場で固まってしまう。

その様子を、ロイスとフリーシアは見逃さなかった。


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