制裁ですわ
「うっ……。そ、それはともかく、いったいギルド長に何しやがったんだ!」
多少たじろいたものの、勇気を振り絞ったように問いかけてきました。ウザったいです。
「何を、と言われましても……。試験を行っただけですわ。そもそも貴方方はどなたですの?本題がどうあれ、名乗りもせず何をしたと問答されましても理解に苦しみますわ」
しかしまあ、彼らの言いたいことは理解できなくもないです。理解不能な手法で一方的に敗北してるのですから、突っかかりたくなるのでしょうね。
ある程度目立っておいたほうがクラッコにも見つけてもらいやすいかな、とは思いますが、悪評ばかりが目立っては私が動きづらくなりそうです。やってしまったことは取り返しがつきませんので、これからは気を付けるとしましょう。
「それに、何故自分の手の内を明かす必要がありまして?私には明かすことにデメリットしか見いだせませんわ。貴方達の行動はギルド公認なんですの?もしそうであるならばギルドは私の敵、という認識をしますが。私、敵には情け容赦をかける趣味を生憎持っておりませんの」
「独断行動だが悪いか!どうせイカサマでもしたんだろうな。じゃないとあのギルド長に勝てるわけがない」
「そうだ、ドグレイさんは近衛にも招待されるくらい強いんだ!お前みたいな小娘に勝てる相手じゃないんだよ」
うっわめんどくさい。完全に虎の威を狩る狐じゃないですか。この場で氷像にしてやりたい気分ですが、さすがに堂々と犯罪者になるのはゴメンですね。
しかし無傷で帰してあげるのは癪に障ります。ここは穏便に脅しでもかけておきますか。
「くどいですわ。貴方達がどのように騒ごうが事実は事実。ギルドに泥を塗るだけですわ。あまりしつこいようですとこの世から消し去りますわよ。それが嫌ならすぐに立ち去りなさい」
「なんだとてめぇ!やるっつうならかかってこいや!」
「いや、さすがにこんな小娘に手を出すのはまずいんじゃ……」
片方はまだ救いようのあるバカのようですが、もう片方はダメですね、これは。やはり痛い目にあってもらわなければ理解できないのでしょうね。
「最後通牒ですわ。消え去りなさい。まだ続けるというのであれば五体満足で帰れると思わないことですわ!」
「てめぇみたいな小娘に俺が負けるわけないだろうが!ぶん殴ってやる!」
「"ウゴクナ"」
毎度おなじみ強制固定です。さすがに絶対零度だとまた凍ってしまうので、ほどほどの温度で留めておきましょう。殺しはしませんが、もしかすると腕か足がなくなってしまうかも知れませんね。
まだ動いていないまだ救いようのあるバカも固定しておきましょう。動かれては面倒です。
「さて、行動の自由を奪われてしまいましたが、いかがなさいますの?補足をしておきますと、ギルド長の時に動けたのはわざとですわ」
「う、うごけねぇ!?おいこら!解放しやがれ!卑怯だぞ!」
「何をいったい……。卑怯も何もバカに絡まれて、お灸を添えているだけですわ。そちらこそ、現状を理解していて?いい大人が2人で"小娘"にもてあそばれているんですのよ?」
もう冷笑しか浮かびません。しかし周りのギャラリーが騒がしくなってきました。こんな往来で冒険者2人が騒いでいれば注目されてもおかしくはないでしょうし、適当に傷つけて去ることにしましょうかね。
こう、痛いけれども、命に別状はない程度のものってなにがあるんですかね?
「再起不能な傷でもつけておきましょうか?安心してくださいまし、殺しはしませんわ。まぁ、冒険者としては死ぬのかもしれませんが。」
片目でも爆ぜさせておきましょう。ものすごく痛いだけで、一般生活も送れますし、死角は増えますが、冒険者を続けられないこともありませんし。
「"ハゼロ"」
「ッグギャァ!!」
あぁ、なんて良い眺めでしょうか、鮮血が飛び散る姿は。痛くても動かない体、押さえる事すらかなわない恐怖に歪む顔。のた打ち回ろうとする体は、押さえつけられたように動かない。バカは一生モノの傷をつけておく事が最も薬になるでしょうね。
「っおい!!しっかりしろ!」「誰か!衛兵を呼べ!」「逃げろっ!」などなど、周りの騒がしさも心地よく感じてしまいそうです。




