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お買いものですわ

 ギルドを出るときにとめられるかと思いましたが、すんなり出ることができました。それで魔道具店はたしか西通りの中ほどでしたね。

 今の所持金は銀貨20枚、銅貨40枚で日本円だと20万4千円ですかね?結構な額になりましたけど、収納袋が銀板1枚、10万円ほどと考えると旅に必要な物資を買って行ったらあまり残らなそうですね。

 それでも次の街に着いてから金策に励めば生活はできそうです。それに次からは深めのフードでも被って誤魔化せば、多少目立っても日常生活は問題なく遅れそうですしね。


そんなこんなで魔導具店に着きました。当たり前ですけど、先ほど店番をしていたマルクがいました。


「君はさっきの。どうしたんだい?忘れ物かな?」


 まさかもうお金を稼いできて収納袋を買いに来たとは思わないでしょうね。というより数時間で稼いできたお金なんて怪しい気がします。私だったら確実に問いただしますね。

 さて、どういった物語(ウソ)を展開しましょうか。突然お金を手に入れても不思議ではないものとなるとなかなかパッと浮かびませんね。

 あ、そうだ


「いえ、収納袋を買いに来ましたの」


「え?これからお金を貯めるって話じゃなかった?」


「自分用ではありませんわ。お使いですの。依頼でとあるお爺さんの家へ行きましたらついでに買って来いと言われまして」


 そう、自分用と言うから誤魔化しが効かないんです。多少無理があってもお使いであれば、何とかいけそうな気がしますし、なにより知らぬ存ぜぬで通すことも不可能ではありません。

 これが見も知らぬ誰かから唐突に、という話であればやめたほうがいいとか、怪しすぎるとか止められる可能性が高そうですけど、ギルドの依頼なら仕事として請け負っているし、ギルドという信頼できそうな機関を通している以上犯罪に巻き込まれる心配も少ないと考える人のほうが多そうですしね。


「そ、そうか……。ずいぶん不思議な依頼を受けたんだね。……でもギルドからなら危険は少ないだろうし、僕が売らなきゃ君が困るだろうし、一応売っておくよ。なにか困ったことがあったら相談くらいなら乗るからさ」


「それは助かりますわ。万が一の時には頼らせていただきますわ」


 と、いうわけで無事収納袋を買うことができました。残金で日持ちしそうな食料を買ったらこの街とはおさらばです。日持ちしそうなものといえば干し肉が定番ですね。

 早速買いに行こうと、挨拶をして踵を返した時に、ふとクラッコの事を聞いておこうと思いました。


「ところで、レント・クラッコと名乗る壮年のおじ様に心当たりはありませんか?」


「うーん、知らないなぁ……。でも確か姓のほう、クラッコってのは聞いたことある気が…………あぁ!先代の王宮魔術顧問様だ!」


 なんか非常にめんどくさい心当たりですね。しかも王都でもない街のしがない魔道具店店主がうろ覚えとはいえ知っているレベルとは……。ただの同じ姓というだけならいいんですけど、ビンゴだった場合は接触が非常に困難です。


「ちなみに、どうしてそんなことを?」


「少し前に世話になりまして、そのお礼(・・)を、と思っておりますの」


 そのあとは適当に濁してお店を去りました。まぁ人違いでも王宮に行けば何かしらの情報は得られるかもしれませんし、目的地は王都ですね。

 そのためにも情報収集と、旅の最中でも不自然でない服装、王都でも目立たない服装の入手ですね。流石にこの村娘スタイルで王都は厳しそうですからね。

 せめて道中はローブなど、王都ではまともそうな服が求められます。そう考えると余ったお金では足りないかもしれませんね。 でもその時は別の町に寄って、そこでまた稼げばいいでしょう。


 露店や服屋、普通の道具屋で必要なものをそろえたら、残金が銅貨3枚になりました。すっかんぴんです。

 買ったものは、道中のためのフード付きローブに雨具、食料程度です。その程度で銀貨が消えました。旅に耐えうるローブが意外と高かったです。まぁその分見た目もまともですし、耐久性だってそこそこのものですが。


「お、おい!」


 なんて考え事しながら歩いていたら、後ろから声をかけられました。振り向くと2人組の冒険者風の男性です。いきなり、おい、なんて失礼極まりありませんが、先ほどのギルドで起きた出来事を考えると、呼び止める事が出来ただけ肝が据わっているのでしょうかね?もしくは理解力のないお馬鹿さんか。


「どうかなさいましたか?それと女性に向かっていきなり、おい、だなんて失礼ですわ」


「うっ……。そ、それはともかく、いったいギルド長に何しやがったんだ!」

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