換金のお時間ですわ!
よく考えてみれば街を出てから4時間弱で戻ってきてしまっています。これでは『嬢ちゃんやっぱり怖くなって(ry』イベントが発生しそうです。
しかしこの目先の事しか考えられない性格はどうにかしなければいけませんね。日本にいたときは何と言うか、そこまで想定外な事件は発生しにくかったので誤魔化しも何とかできましたが、こっちでは想定外が多すぎるといいますか、そもそも想定出来ていない事が多い気がします。
平常心を保てているようで、それなりにいっぱいいっぱいなのでしょうか?このままだとどこかで誤魔化し切れない事態に陥りそうな気がします。
これからはしっかり考えてから行動できればいいのですが、なかなか難しそうです。
そういえばクラッコの事、ギルドで聞いてみるのもありかもしれませんね。確かフルネームはレント・クラッコでしたっけ?彼の手がかりが掴めれば日本へ戻る方法も探しやすくなるかもしれません。
あと、おじ様の事を聞くついでに他の街の場所も伺っておきましょう。適当に出て荒野で迷子にはなりたくありません。
街の中心の方にあるギルドへ向かう道中、昨日からリンゴっぽい何かしか食べていない事を思い出し、屋台で何かの串焼きを買って食べました。3本で銅貨5枚です。そこまで美味しくありませんでしたが、不味くもありません。おなかが膨れたのでよしとしましょう。
それからギルドに着きました。イベントが発生しなければいいのですが……、入った瞬間に若干のざわめきがありました。見渡すとすぐに静かになって、誰も絡みには来ません。これは期待をしてしまいます。
「えっと……何か聞きそびれがありましたか?」
受付のお姉さんは不思議そうな顔をして首を傾げます。大人の魅力にあどけなさが加わって、高得点ですね。またいつか噂が静まった頃に戻ってきたくなりました。
「ワーウルフの常時依頼の換金をお願いしますわ」
なんだか周りの視線が集中しているような気がします。時間的には、依頼1回分だけ討伐してとんぼ返りしてきたようなものでしょう、実際は100匹以上仕留めていますが。
「お早いですね。自動登録にはなっていますが、念の為討伐数をお聞きしてもよろしいですか?」
「別に何匹になっていようがかまいませんわ。細かくは数えていませんもの」
「なんだいガキ、片手で足りる数も数えらんねえのか?」
後ろから茶々を入れられました。振り返ると中年と言って問題ないような年齢の冒険者が立っています。周囲には緊張が走っているようですね。この冒険者は私を馬鹿にするような目をしていますし、試験の場にいなかったのでしょうか?
「他の連中が凄い奴が現れたなんて騒いでたが、どこが凄いんだか。ただのガキじゃねえか」
「いきなり現れてガキとは、知性のかけらもありませんわ。常識ある大人とはかけ離れていますわ」
ムカっと来たので、つい売り言葉に買い言葉で言ってしまいました。反省も後悔もしていませんが。こいつはどこまで傷つけても……、いえ、ギルド内での荒事は禁止でしたね。動きだけ封じて放置が最善でしょう。
「あ゛ぁ!?てめえぶっころs『ウゴクナ』っ!!??」
と言うわけでサイファスと同じように固定しておきました。これは意外と効果抜群なのでしょう。プラシーボ効果なんて知れ渡っていないでしょうし、傍目にはまさにバケモノですね。
「換金をお願いしますわ」
受付のお姉さんへ振り返り、淡々と言ったら彼女はポカーンとした後、若干おびえ始めました。それでも職務を放棄せずにやり始めてくれたので、感謝ですね。
「おいてめえ!俺に何しやがった!?」
後ろで騒がれると殺したくなります。我慢したいところですが、どうにかして黙らせないと衝動に負けてしまいます、これは。何かいい案は無いでしょうか?
口や声帯を固定してしまうと窒息しそうですし……そうです、彼をある程度の空間ごと囲って音が伝わらないよう、静止させてしまえばいいんです。幸いといっていいのかは微妙ですが、野郎共の汗のおかげで湿気は十分にありますので、囲ってみました。
『シャベルナ』
「…………………………」
効果覿面です。声が届かなくなりました。周囲も一緒に黙ってしまいましたが、まあいいでしょう。いえ、受付のお姉さんまで固まってしまいました。どうしましょうか?
今声をかけたら逃げ出してしまいそうです。穏便に、おびえられずに行動を再開してほしいものですね。
呼んだらギルマスは出てきてくれるでしょうか。声が届かなかったり、実は不在だったりしたら恥ずかしいですし、ギルドごとノックして出てきてもらう事にしましょう。
どんな物質であれ、微量は水分が含まれていますし、それと空気中のを揺するように動かせばギルドごとゆれてくれるはずです。
個別に操作するのは面倒なので、建物の中の水分を全て管理化において、動かす事にします。
「ユレロ」
ちゃんと揺れてくれました。でも建物の至る所にヒビが出来ました。
そして直後、管理下においたせいで誰一人動けなくなり、ギルド内が悲鳴で包まれました。
こんなことが起きるなんて思ってもいなかった。
もはや作者ですら優衣ちゃんの行動は予想がつきません(マジレス)




