第六話 三人の王子
──第三王子別棟
ルーカス兄様と僕は向かい合って座っていた。
部屋にはレオとリア、マシュも居て5人でルイス兄様を待った。
「ルイス兄様、アレンを信頼しているようでした……」
「うん、そうだね。初めて自分の力で仲間にした側近だから、信頼はしているだろうね」
どうしたものかと、僕は俯いて考える。
「アル、良い物を持って来たんだ」
とルーカス兄様は、魔道具を机の中央に置く。
「これは」
「遮音結界、秘密のお話をするための魔道具だよ」
しばらく待っていると、ルイス兄様がアレンとアイリスを連れて部屋へ入ってくる。
アイリスはルイス兄様が5歳の頃から、側仕えとしてルイス兄様に仕えている。
「リア」
「はい、アルフィ様」
リアはお茶とお菓子を追加で持って来て、人払いを始めた。
「リアンは本当に優秀だね」
「恐れ入ります。ルーカス王子殿下」
「そんなに畏まらなくて良いよ。いつも通りで」
リアはペコッと頭を下げて、アイリスとアレン、マシュを連れて部屋を出て行った。
「レオは扉の外で見張ってて」
「はい!アルフィ様!!」
僕はルイス兄様に、スキルの話をした。
そして、譲渡できることも……
「やっぱ俺の弟はすげぇな!!」
ルイス兄様の返事に、僕とルーカス兄様は唖然とした。
黙っていたことを怒られるかと思っていた。
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名前 : ルイス・ドゥウム
年齢 : 16歳
誕生日 : 10月3日
レベル : 58
魔力量 : 010680/010680
−固有スキル−
【剣士Ⅴ】 【身体強化Ⅳ】
−所持魔法−
【火炎魔法Ⅶ】
冒険者ランクA。
ルーカス・ドゥウムの弟。ドゥウム王国騎士団、総副団長の弟子。
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ルイス兄様は、素で強いんだよね〜。う〜ん。
「アル、実際に見せてあげたらどうだい?硬貨は私が出そう」
ルーカス兄様から金貨10枚を受け取り、金貨ルーレットを回した。
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《 金貨ルーレットが回されました 》
《 本日 SR確率UP・N確率UP・UR確率DOWN 》
《 10回転 》
《 確定しました 》
《 SSR : 【鑑定Ⅴ】・SR : 火焔石・SR : 回復ポーションⅥ・R : 魔導書・R : 【氷魔法Ⅰ】・N : 味噌・N : 米・N : 空の瓶・N : 鉄の鉱石・N : 小さな魔石 を獲得しました 》
《 買取価格 : 約金貨36枚 》
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【亜空間収納】を獲得してから、【ルーレット】で獲得した品は自動的に収納されるようになった。
亜空間から、今獲得したものを全て机に並べる。
「あとは、【鑑定Ⅴ】と【氷魔法Ⅰ】ですね」
「か、鑑定Ⅴ!?それに氷!!?」
「驚くよね〜、分かる〜分かるぞぉ、ルイス〜」
通常、氷魔法や雷魔法などの派生系魔法は、個別で獲得出来るものではないのだ。
ルイス兄様にはルーカス兄様が、詳しく説明してくれた。
全ての説明を聞いたルイス兄様は、僕のスキルのことを口外しないという書類を書いた。
僕は2人が難しい話をしている間に、ルイス兄様に譲渡するスキルを考えていた。
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《 譲渡もしくは、自身に付与出来ます 》
【王様って良いな】 【ペコペコ】 【早起きは三文の徳】
【恵の手Ⅲ】 【透視Ⅰ】 【嘘つきは泥棒の始まり】
【鑑定Ⅲ】 【鑑定Ⅴ】 【剣聖Ⅰ】 【勇者Ⅲ】 【隠蔽Ⅲ】 【身体強化Ⅰ】
【火炎魔法Ⅲ】 【水魔法Ⅱ】 【土魔法Ⅰ】 【闇魔法Ⅱ】 【氷魔法Ⅰ】
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こういうの考えるの好きなんだよね〜。なんか育成ゲームみたいで!
ルーカス兄様もリアも父様も、ゲーム感覚で譲渡していった結果があれなのだ。
鑑定はマストで必要だよね。あとは……
「アル??」
「どうしたの?ルーカス兄様」
「楽しそうだね」
「うん!!」
ルーカス兄様は、笑顔で僕を眺める。
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《 ルイス・ドゥウムに譲渡しました 》
【鑑定Ⅴ】 【勇者Ⅲ】 【隠蔽Ⅲ】 【水魔法Ⅱ】 【氷魔法Ⅰ】
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よし、出来た。
「アル……すごいな。こんなにもらって良いのか?」
「うん!!もちろん!!あと僕のスキルで出た魔法とかスキルは、使ってもレベル上がらないから、また上位の出たら渡すね!!」
「ありがとう。アル」
「僕、領地へ行くまでに転移を2人の分用意しようと思ってるんだ!!」
「転移??空間魔法か……」
「うん!!」
「そんなの、騎士団の名誉騎士に1人居るだけのスキルだぞ……」
「だって……何かあった時、すぐ会いに行けたら便利だし……」
「そうだねアル。私も、何ヶ月も可愛い弟達に会えないのは悲しいな」
ルーカス兄様は、硬貨が沢山入ったマジックバックをポンと机に置いた。
ヒュー!ルーカス兄様気前良い〜!!かっこいい!!
それを見たルイス兄様も「じゃぁ俺も〜」と、硬貨の入った巾着を出した。
シッシッシ〜!!デバフが出る可能性が少ない時にこれで引きまくろう!
「それに、後2年したら私達は国外の学院へ通うことになる。転移魔法は本当に有難いんだよ。だから私達からの先行投資」
「うん!!」
この世界の王族や貴族は、満18歳になる年の春から帝国の中央都市にある貴族学院への入学が義務付けられている。学院は6年制で、成績優秀者や試験合格者は授業が免除されることもある。
学院には帝国が各国ごとに用意した寮があり、そこで共同生活を行う。
僕の時ですらすっごくボロい寮だったんだ、兄様達の時なんて目も当てられないくらい酷かっただろう。
あ、そうだ。寮の建て替え許可貰おうかな。兄様達が辛い目に遭うのは嫌だし!!
ドゥウムはまだ100年くらいしか経ってない国家だし、貴族も少ないから多分ボロ屋をあてがわれたんだろう。
はぁ……帝国には建国の時から嫌がらせされていたらしい。本当に、困った大国家様だね。
だって!!酷いんだよ!?帝国の寮は宮殿みたいに大きくて綺麗で豪華なのに、ドゥウムの寮は木のボロ屋だよ!?隙間風も酷くて、帝国内の宿に泊まった方がまんぼもマシだよ!!!!
ぐぬぬぬ……と拳を握っていると不思議そうに、兄様達が僕の顔を覗き込んでいた。
「ど、どうしたの!?」
「いや、さっきから百面相しているから。どうしたのかと思ってね」
「ううん、領地へ連れて行く人材どうしようかなと思って」
「そうだよなぁ、アルは専属の家臣も少ないし」
「そうですね、アルはまだ騎士団も作っていないし……」
ルーカス兄様とルイス兄様には、第一王子騎士団と第二王子騎士団という、自分達で動かせる軍隊があるのだが、僕にはまだ無いのだ。
だからこその建国祭のトーナメント戦である。
各々が領地へ連れて行く人材を選別するためなのだが、僕の部隊を作ることも兼ねている。
今日は遅いからと、ルイス兄様はアレンとアイリスを連れて部屋を出て行った。
ルーカス兄様もマシュを連れ、後を追うように部屋を出て行った。
僕はルーカス兄様を追い、マントを引っ張って止めた。
「どうしたのぉ〜!!アルぅ!!」
失敗した……自分で言うのは恥ずかしいけれど、ルーカス兄様にとって僕は天使なのだ。
ルーカス兄様に持ち上げられ、むぎゅむぎゅと顔を擦り付けられる。
「兄様、やめてください!」
「で?どうしたんだい?」
「兄様達は、来年の春学院へ行くでしょう??」
「うん、そうだね」
「寮の改修する許可って、いただけないのでしょうか?レオから寮は隙間風が酷く、臭くてたまらないと聞きました」
「そうだね、私も聞いているよ」
ルーカス兄様は、うーんと考える。
「今は帝国の第四皇子が、学院を管理していたはずだよ」
ふむ、第四皇子から許可を貰えば出来るかもってことか。
ルーカス兄様は、僕の考えていることを見透かしたように、ニコニコと笑う。
「私は浴槽があれば嬉しいかな」
ルーカス兄様はそう呟くと、僕を下ろして別棟を出て行った。
多分ルーカス兄様は、心を読むスキルを隠し持っているんだ。絶対!!!
翌日僕は、シオンとルイの冒険者登録をするため、2人を連れて冒険者ギルドへ来ていた。
2人のレベルが上がれば、護衛の心配は無くなるはず。
レオだけでも十分な護衛だけれど、城の外では最低2人護衛を付けるように言われているんだよね。
「アルフィ様、申し訳ありません。お付き合い頂いてしまって」
「大丈夫、僕も冒険者ギルド来てみたかったんだ」
2人が簡単な依頼をこなしている間に、僕はレオと図書館で地図を探していた。
「アルフィ様、どうして地図が必要なのですか?」
「帝国に行こうと思ってね〜」
「帝国の地図であれば、俺持ってますけど」
「え」
僕はレオを置いて図書館を出て行った。
「あ、アルフィ様!?」




