第二話 異変と運命
僕の目の前に広がるゴブリンの集落は想像以上に大きかった。
集落にはルーカス兄様達が倒したのであろうゴブリンの魔石が大量に落ちている。
そして一際大きく目立つゴブリンの前で、血を流し倒れている騎士達。そしてルーカス兄様。
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《 レベルが上がりました 》
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どうしよう。僕もう回復ポーション持ってない。
とりあえず……
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名前 : アルフィ・ドゥウム
年齢 : 3歳
レベル : 16
魔力量 : 001065/001865
−固有スキル−
【メモリー】 【ルーレット】 【ノルニル】
【記憶譲渡】 【鑑定II】 【恩恵】
−所持魔法−
【火炎魔法】 【風魔法】 【強くなぁれ】
《 SSR : レベル上昇効果5倍。残り10:46:02 》
−保管魔法・スキル−
【王様って良いな】 【火炎魔法I】 【身体強化Ⅴ】
【水魔法Ⅰ】 【鑑定Ⅰ】
–注意−
《 まだ付与されていない為、使用出来ません。自身に付与しない場合、他者に譲渡することが出来ます 》
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《 スキル譲渡 》
《 スキルを他者に譲渡する場合、魔力1,000消費します 》
《 【身体強化Ⅴ】をルーカス・ドゥウムに譲渡しますか? 》
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YES。
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《 【身体強化Ⅴ】をルーカス・ドゥウムに譲渡しました 》
《 魔力を1,000消費しました 》
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スキルの譲渡は、渡したい相手が見える所に居ないと渡せない。
うーん、ルーレット引こうかなぁ……でもなぁ……デバフ引きたくないしなぁ……
ルーカス兄様がまだ動かないのを見て、僕は【ルーレット】を回した。
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《 銀貨ルーレットが回されました 》
《 本日 SSR確率UP・UR確率DOWN・R確率DOWN 》
《 10回転 》
《 確定しました 》
《 R : 【風魔法Ⅰ】・R : 懐中時計・N : 魔力15・N : 魔物入門図鑑・N : 【ペコペコ】・N : 魔力5・N : きれいな石・N : 海石のブレスレット・N : 切れない系・N : ボロボロの木剣 を獲得しました 》
《 買取価格 : 約銀貨9枚 》
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《 銀貨ルーレットが回されました 》
《 本日 SSR確率UP・UR確率DOWN・R確率DOWN 》
《 10回転 》
《 確定しました 》
《 SR : 治癒ポーションⅣ・R : 回復ポーションⅠ・N : 薬草・N : デバフⅡ・N : 魔力5・N : 薬草・N : 干し芋・N : 玉石のヘアアクセサリー・N : ふわふわタオル・N : 空の瓶 を獲得しました 》
《 買取価格 : 約銀貨26枚 》
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デバフ引いたぁあ!!
……まぁ良いや、後で確認しよう。
今はルーカス兄様にポーション持って行かなきゃ。
僕は抱えてくれていた騎士さんに、治癒ポーションⅣと回復ポーションⅠを渡す。
「アルフィ殿下を置いて行けません」
「だいじょぶ!騎士さんもう1人居るよ、ね?」
もう1人の騎士さんは、僕が【ルーレット】で出した物を片付けてくれている。
「承知しました。すぐ戻ります」
ポーションを持った騎士さんは、急いで崖を駆け下りルーカス兄様の元へ向かった。
「ねぇ、騎士さん。ルーにい様だいじょぶかな」
「大丈夫ですよ。ルーカス殿下は強いお方です」
「うん……」
「それよりも……殿下。さっきから何ですかこれは、私ずっと殿下の側から出てくる品々を片付けているんですが」
「僕のスキルだよ」
「ですが殿下のスキルは……」
「うん。ちゃんと後でお話しするね」
僕は崖上から戦うみんなを眺める。
ポーションを持った騎士さんが、ルーカス兄様の元に着くと急いで手当てをしてポーションを飲ませる。
しばらくすると、傷が治りルーカス兄様は立ち上がった。
【身体強化Ⅴ】のスキルが増えたルーカス兄様は、少し不思議そうな表情を浮かべた。
マシュの声にハッとして剣を構えた。
騎士さんが戻って来て僕を抱え、僕に見えないように崖に背を向けた。
僕はジタバタと駄々をこねたけれど、騎士さんの力は強くて大人しく待った。
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《 レベルが上がりました 》
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《 レベルが上がりました 》
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僕がウトウトと眠そうにしていると、辺りは日が暮れてきていた。
目を擦りながら顔を上げると、ニアが口を膨らませて僕の前に立っていた。
ご察しの通り、僕はクドクドとニアからお説教を受けた。
ニアは僕に飛ばされた後、王都の門前で門番の兵士に助けられたらしい。その後すぐ城に伝えて、編成された討伐隊と戻って来たそう。
お疲れ様ニア。
「ちょっと、聞いていますか!?アルフィ様!!私今日は本当に怒っていますよ!!」
「あい。ごめんさい。」
プリプリしているニアもかわいいなー、なんて思っているとルーカス兄様が大量の魔石を持って戻って来た。
ゴブリンは魔石以外使い物にならないため、全てまとめて燃やしてしまうそう。
「アル、あげる」
ルーカス兄様は、僕に綺麗で一際大きな魔石をくれた。
3歳児にあげるプレゼントとは思えないが……
「ありがと、ルーにい様」
「うん、ほとんどアルのおかげみたいなものだしね」
そう言ってルーカス兄様は、騎士達をまとめて帰り支度を始めた。
騎士達がゴブリンを解体して火に焚べる。
ゴブリンの集落は跡形もなくなり、後日調査隊が来るそうだ。
王都のすぐ側の森で、こんな大きな集落が出来たのは初めての事らしい。
僕の三度の記憶でも、ゴブリンの集落の話は聞いた事がない。
僕も知らない所で、何かが変わっているのかも知れない。
僕達は討伐隊が用意していた馬車に乗り込み王都へ戻った。
その日の夜、僕は部屋で1人、ステータスの確認をしていた。
「デバフ……出ちゃったんだよね」
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名前 : アルフィ・ドゥウム
年齢 : 3歳
レベル : 25
魔力量 : 001007/002790
−固有スキル−
【メモリー】 【ルーレット】 【ノルニル】
【記憶譲渡】 【鑑定II】 【恩恵】
−所持魔法−
【火炎魔法】 【風魔法】 【強くなぁれ】
《 SSR : レベル上昇効果5倍。残り03:21:34 》
−保管魔法・スキル−
【王様って良いな】 【火炎魔法I】 【水魔法Ⅰ】 【鑑定Ⅰ】
【風魔法Ⅰ】 【ペコペコ】
–注意−
《 まだ付与されていない為、使用出来ません。自身に付与しない場合、他者に譲渡することが出来ます 》
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《 【ルーレット】にてN : デバフⅡを獲得しました 》
《 デバフⅡの詳細 》
《 【ルーレット】でのSR・SSR・UR確率大幅DOWN/N確率大幅UP 》
《 【ルーレット】を50回、回す事により解除されます 》
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「金貨ルーレットも解禁されたのに!!これじゃ回せないよ!!」
僕はプスプスと拗ねながら騎士さんに回収してもらっていた品々をベッド下の箱にしまう。
「アイテムボックスみたいな、沢山収納できるスキルとか出ないかなぁ」
僕はクマのぬいぐるみを眺めて、箱に入らないので仕方なく……仕方なく!隣に置いて眠りについた。
──翌朝
「おはよう、アル」
うん、なんて良い目覚めだ。
目を覚ますと、隣にツラの良い兄様がニコニコと笑顔で添い寝をしていた。
後ろには昨日一緒にいた騎士さん2人と、ニア。
「ルーにい様、おはよ」
何か話があって来たのは明らかだ……
説明するのはめんどくさいな……はぁ……僕はニアを助けたいだけなのに。
は!!でも、ルーカス兄様を仲間に出来たらルーレットを回すための硬貨、言い訳を考えなくても手に入るようになるぞ!!
今まで大変だったんだよな……
父様にも母様にもお小遣い頼んだら、何に使うのかしつこく聞かれて言い訳に困ってたんだ……
僕はニコッと笑って、ルーカス兄様を見る。
「ルーにい様、どうしたの?」
「アル、兄さんに教えてくれるかな。スキルのこと」
やっぱり……
「ルーにい様、スキルって?」
「もう気づいているから、教えてくれないかな?気づいたら【身体強化Ⅴ】が増えてて昨日はびっくりしたよ」
僕は渋々話を始めた。
──数時間後
「あはは!!すごいねぇアルは!!てんっさいだよ!!」
……兄さんが、壊れた。
興奮しているようで、鼻息を荒くしている。
美形が勿体無い……
「ルーカス様落ち着いてください……アルフィ様が怖がっていますよ」
ニアが間に入ってくれて、ルーカス兄様も少し落ち着いてくれた。
どうしてルーカス兄様がこれほど興奮しているかと言うと、ルーカス兄様は生粋の魔法オタクなのである。
「ルーにい様、もう良い?お腹すいた……」
僕のお腹はキュルルルと1時間も前から鳴り続けている。
「あぁ、そうだね!!朝食を食べていなかった!!何か用意してもらおう!!その代わり今まで出た品々を兄さんに譲ってくれないか!?昨日のポーションも異様に治りが良かったし、調べたいんだ!!アルが要らない物だけで良いから!!ね!?」
ルーカス兄様は笑顔で僕にお願いをするので、僕は両手を出した。
「もちろん!!今後の【ルーレット】に必要な硬貨は兄さんが用意してあげるよ!!魔法の……可愛い弟のためだからね!!」
魔法って言ったね。弟より魔法の方が好きなんだね。三度目にして初めて知ったよ、ルーカス兄様……
僕はルーカス兄様と外で用意してもらった軽食を食べながら、僕のベッド下にあった箱の中身を仕分けしていた。
「アル〜、これ何〜?」
「真紅の石のネックレスだよ」
「アルこれは〜?」
「解毒ポーションⅡ」
「アル〜!これ」
僕はルーカス兄様に、スキルについて説明していた時に当たった【鑑定Ⅴ】を譲渡した。
三歳児に毎回も説明を求めるな。
無事仕分けも終わり、蓋が閉まらないほど沢山入っていた2つの箱は、1つに収まり綺麗に蓋が閉まるようになった。
そしてルーカス兄様の騎士だった2人は、僕の専属護衛騎士になった。ルーカス兄様と父様の命令だそう。
まぁ事情を知っている2人だから良かった。隠れてコソコソしなくても済む。
そして何より!!
ルーカス兄様がアイテムポーチと大量の硬貨をくれた。
外で【ルーレット】を回した際、アイテムポーチがあれば持ち運びが楽になるからとのことだ。
硬貨は、しばらく豪遊出来るくらいの枚数を貰えた。
僕、【ルーレット】で欲しいものがあったから嬉しい。
僕はルーカス兄様と別れて、ニアに抱き抱えられてルンルンで部屋に戻った。
「良かったですね〜アルフィ様〜!」
「あい!!」
僕達2人が部屋に戻ってすぐ、扉が叩かれる。
「失礼します。アルフィ様」
「リア!」
「はい、アルフィ様。リアンです」
リアはおやつを持って来てくれたらしい。
ルーカス兄様のせいで、変な時間に朝食を食べたから昼食を食べていなかったのだ。
リアは気が利くのです。
「マカロン!!」
「はい、アルフィ様からお教え頂いたレシピで作ってみました。材料を取りに出ていたので、しばらく留守にしていましたがお変わりありませんか」
「だいじょぶ!」
リアは、僕と3つしか歳が変わらないのに、すごく大人だ。でも6歳で1人探検は危険だからやめさせないと。
僕はマカロンの魔力に抗えず、ひとつ、またひとつと食べ進めた。
「美味しいですか〜?アルフィ様」
「ニアも食べる」
「いえいえ!せっかくリアンさんが、アルフィ様のために作って下さったのですから!頂けません!!」
「アルフィ様が良ければ私は構いません」
「だって!ほらニアも食べる」
「ありがとうございます!リアンさん!!」
ニアは「美味しい〜」と頬を押さえている。
ほっぺが落ちそうなんだね。僕も落ちそうだよ。
「アルフィ様、移民が王都に押し寄せているそうです。しばらくは城を出られませんようお願いします」
「リアンさん、そんな話聞いたことありませんよ?何かあったのでしょうか?」
「えぇ。私が食材を探しに森や町を旅していた時、町人の噂話ではありますが……私もこの目で国境で大勢の人間が移動しているのを見ました。少なくともこの国に移民が押し寄せているのは間違いないかと」
「そうなのですね」
ニアは不安そうに紅茶を飲んだ。
「ありがとうリア、アルだいじょぶ」
「左様ですね」
夜になり、部屋で1人になった僕は【ルーレット】を回していた。
朝のルーカス兄様への説明で10回したから、デバフ切れるまであと40回。渋い、渋すぎるよ……
40回……SRすら出なかった……
薬草も溜まってきたな。何か自分で作れないかな。
その後【ルーレット】で出たものをルーカス兄様に譲って、硬貨を貰いルーレットの景品と睨めっこをする僕の日々が始まった。
──数ヶ月後
ニアが亡くなる2週間前。
ついに、ついに【ルーレット】にUR : 監視カメラが本日のラインナップに入った。そして何より、今日はUR・R確率UP/N確率DOWN!!
ある。全然ある。
僕は硬貨の入った巾着をひっくり返し、全ての硬貨を出した。




