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第一話 二度あることは、三度ある。




気付くと、3歳の少年になっていた。


ドゥウム王国、王都の中心にある大きなお城。

僕は、大きな鏡で自分の姿を見て絶望した。


 また、3歳に戻ってる。この後リアが挨拶しに来るんだ。


メイドに連れられ部屋に戻ると、扉をノックし、そっと入ってくる少年。彼はリアン。

今日から僕の専属使用人の見習いとしてお城に来た。


「お初にお目にかかります、アルフィ殿下。リアンと申します」


リアは胸に手を添え頭を下げる。


 また始まるんだ、僕の王子としての人生が。




僕の3歳の日常は、メイドに身支度をしてもらう所から始まる。


「アルフィ様〜!今日も素晴らしいお天気ですよ!朝食を済ませたらお庭で遊びましょう!」


窓を開け部屋の換気をしながら、僕専属メイドのニアは微笑む。


「ニア、お庭イヤ。」


「お庭嫌なのですか〜?じゃぁ、アルフィ様は何がしたいですか?ニアはなんでもお供しますよ〜」


ニアは僕を抱き上げると、朝食のために部屋を出た。


「お本っ、みる。ニア」


「ふふ、後で行きましょうね〜。国王様もお待ちですよ〜」




広い部屋に長く大きな机と、大量の椅子が置かれている。

僕は椅子に座ると、周りを見渡した。


上座には、父のベルガー・ドゥウム。この国の現国王。

父の右手には、王妃のオリヴィア、その隣に一歳になった第一王女ミア。

父の左手には、第一王子のルーカス、その隣に第二王子ルイス。2人の兄は双子で15歳。

ルイス兄様の隣に僕アルフィが座る。


 僕は二度、この家族全員を失った。


この運命は、3歳の冬に始まった。丁度半年後だ。

一度目、ニアが毒味で亡くなった。

二度目、僕はニアの毒味を止めた。

一時的にニアは助かったが、しばらくして城の外へ出た日、輩に襲われて亡くなった。


 ……運命は変えられないのかもしれない。


けれど僕は、いつも笑顔でそばに居てくれる、居心地の良いニアを救いたいと思っている。




「アルフィ様〜。今日もいっぱい遊びましたね〜!明日は何したいですか〜?ふふっ、楽しみですね」


僕を寝かしつけるとニアは部屋を出て行った。


ニアが出て行ったのを見計らって、僕は魔法を使う。


僕のスキル。



✦ ─────────── ✦


名前 : アルフィ・ドゥウム

年齢 : 3歳

レベル : 05

魔力量 : 000158/000160


−固有スキル−

【メモリー】 【ルーレット】 【ノルニル】

【記憶譲渡】


−所持魔法−

【火炎魔法】 【風魔法】


✦ ─────────── ✦



「【記憶譲渡】??こんなの持ってたっけ」


僕は不思議に思いながらスキルを眺める。



✦ ─────────── ✦


−警告−


《 本日のルーレット最低回数を回していません 》


《 23:59までに回されなかった場合、強制ペナルティが科されます 》


【ルーレット】


✦ ─────────── ✦



「うわ、今日回してない。やだなぁ、ルーレット。まだ銅貨のルーレットしか解放されてないから、ハズレ多いんだよ……」


僕は恐る恐る【ルーレット】の文字をタップする。



✦ ─────────── ✦


《 銅貨ルーレットが回されました 》


《 本日 SR確率UP・SSR確率UP・UR確率DOWN 》


《 確定しました 》


《 R : 真紅のネックレス を獲得しました 》


《 買取価格 : 約銅貨32枚 》


✦ ─────────── ✦



僕は亜空間から出てきた真紅のネックレスを、ベッド下に隠している箱に入れる。

箱には今まで獲得したアイテムが大量に入っている。


【ルーレット】は、僕のレベルが10に上がると銀貨で回すルーレットが解放され、さらにレベル20になると金貨や白銀貨で回せるルーレットが解放される。


硬貨の価格の高いルーレットほど、価格に見合った物が当たるのだが、デバフも危険度が上がるため、出来れば回したくない。


僕は【ルーレット】の商品を眺めた。


「SR : 薬草辞典、SR : 鑑定スキル①、SR : バフ レベル1UP、R : 解毒ポーション、N : メイド服……」


僕は「はぁっ」とため息をつきながらベッドに転がる。


「やっぱり、毒を入れた人見つけるしかないのかな。」


転がりながらまた商品を眺める。


「UR : 監視カメラ……!?」


僕はガバッと起き上がる。


「急にファンタジーじゃなくなったけど!!監視カメラがあれば、犯人見つけられるんじゃ……」


《 UR : 監視カメラ 》の詳細を開く。



✦ ─────────── ✦


《 UR : 監視カメラ について 》


《 監視カメラは、設置の際アルフィの魔力をひとつにつき1,000消費する。設置した監視カメラは認識阻害が適用され、他者からは認識されにくくなる 》


《 しかし、監視カメラは設置から48時間で消滅する 》


✦ ─────────── ✦



「でもURかぁ……まだ一回も当たった事ないよぉ。それに魔力も全然足りない……」


その日から、僕は母のオリヴィアに銅貨を数枚貰い、毎日【ルーレット】の確率と睨めっこをした。




──2ヶ月後



✦ ─────────── ✦


名前 : アルフィ・ドゥウム

年齢 : 3歳

レベル : 08

魔力量 : 001002/001050


−固有スキル−

【メモリー】 【ルーレット】 【ノルニル】

【記憶譲渡】 【鑑定II】


−所持魔法−

【火炎魔法】 【風魔法】 

《 SSR : レベル上昇効果5倍。残り13:54:05 》


✦ ─────────── ✦



ベッド下に隠している箱は、二つ目になった。


「アルフィ様、お飲み物持ってきましたよ〜」


ニアが部屋に入ってくる。


「ニア、ルーにい様お外行く!!」


「そうですね〜、ルーカス様はご学友と夏期の間冒険者をしているそうですよ〜」


3歳の僕はまだまだ口が回らない。

ニアは察しが良い方だけど僕が言葉足らず過ぎる。


「アル!いっしょ!!」


ニアはキョトンとして、僕を抱き上げた。


「アルフィ様、お外は危険がいっぱいですよ。それでも行きたいのですか?」


「あい!」


「では国王様に、頼んでみましょうか」




僕はニアと父様のお部屋へ来ていた。


「おぉー!アルー!!」


ニアの柔らかい腕から、父様の硬い腕に抱き上げられる。

不服である。


「父様!ルーにい様とお外!アル行きたい!!」


「そうかーそうかそうかー!アルはかわいいなぁ。良いぞールーカスに頼みに行こうなー」


父様に抱えられたまま、ニアと3人でルーカス兄様の元へ向かった。

ルーカス兄様は身支度を終え、お茶をしていた。


「にい様!アル一緒行きたい!」


ルーカス兄様は僕の頭を撫でながら、困った顔をする。


「ルーカスよ、騎士を付けるから少し連れて行ってやってくれないか。お前も、お前の仲間の腕も評価しているから頼んでいる」


「父上。冒険者の仕事に幼い弟を連れて行く人なんて居ませんよ……」


「ルーカちゅにい様、おねがいっ」


全力で可愛くルーカス兄様にお願いをする。

僕は知っているのだ。ルーカス兄様は僕のお願いに弱い事を。


「うっ……わかった。わかりました!!連れて行きます」


ルーカス兄様はため息をつきながら、肩を落とす。


「その代わりアル。絶対僕から離れないでね」


「あい!にい様!」


ルーカス兄様の護衛の騎士数名とニアに囲まれ、冒険が始まる。


ニアに抱えられ、お城を出る。

僕は移動中、父様にお願いに行く直前に当たった【恩恵】をルーカス兄様と騎士達に、こっそり共有した。



✦ ─────────── ✦


《 【恩恵】スキルについて 》


《 【恩恵】スキルを共有した相手が、魔物を倒すと共有した者達のレベルも上昇します。最大10名まで共有可能 》


《 共有1人につき魔力を最低100消費します。なお共有は約5時間で解除されます 》


✦ ─────────── ✦



これで僕は怖い魔物倒さなくてもレベルが上がる。

それに、まだレベル低いから今日で10くらいは行けそう。

レベルが低いほど上がりやすいのだ。




冒険者ギルドに到着すると、ルーカス兄様のパーティメンバーが待っていた。ルーカス兄様を入れて男3人女1人の4人パーティみたいだ。


ルーカス兄様は魔剣士。魔法も剣術も使いこなす、兄様は器用なのだ。

ウィルはルーカス兄様との正反対の雰囲気の少年。剣士で、学園内の剣術大会ではルイス兄様に勝って優勝するほどの腕らしい。

マシュは落ち着きがあって、昔からルーカス兄様の側近としていつもルーカス兄様と一緒に居る。ソーサラーなんだって。

最後に、エルラはパーティ唯一の女性でありクレリックの公爵令嬢。


比較的安全なゴブリン討伐の依頼を受け、王都を後にした。




「かわいいですわ〜。わたくしにも妹か弟が居ればよかったのに」


エルラは、僕を気に入ったのかずっと隣を歩く。


「ルーカス様ったら、全然ご家族のお話なさらないから、あまり仲良くないのかと思っていましたのよ」


エルラはすごくお喋りで、ゴブリン討伐依頼のある森へ入るまでずっとこの調子だった。


「アル、そろそろゴブリンの集落に着くから、絶対に1人になっちゃだめだよ」


僕はルーカス兄様の真剣な目に静かに頷いた。


 動かないよ兄様。だって僕には【恩恵】があるもん。


【恩恵】は本当にラッキーだった。

3歳の僕じゃ筋力増加のバフを獲得しなきゃ、剣すら振れないし。何より痛いの嫌だし!!


それに、僕は死ぬ程の痛みを知っているから……


三度目は絶対に嫌だ。




ニアと草むらに隠れていると、大量のゴブリンが現れる。

騎士達は僕とニアを守ってくれている。



✦ ─────────── ✦


《 レベルが上がりました 》


✦ ─────────── ✦



おぉ、順調に上がってるー!あとレベル1で10だから、そこまでいけると良いなー。



✦ ─────────── ✦


《 レベルが上がりました 》


《 レベル10 》


《 銀貨ルーレットが追加されました 》


《 銀貨ルーレットに280種類の品が追加されます 》


【ルーレット】


✦ ─────────── ✦



部屋に戻ったら詳細確認しよー。


ニヤニヤとそんな事を考えていると、すぐにレベルが11に上がった。


やっぱり5倍は早いなー。




周りを見渡すと、騎士達がザワザワとお互い顔を見合っている。

【恩恵】の効果バレたかな、なんて思っていると、ルーカス兄様が僕の元へ駆け寄ってくる。


「アルフィ、騎士達とニアと先に城へ戻ってくれるかい」


「どうかされたのですか?」


ニアは心配そうに僕を抱きしめる。

苦しいよニアさん。


「依頼では下位ゴブリンだけの集落だったんだけど、ゴブリンキングが居た。キングが居るってことはゴブリンももっと居るはず。だから、先に逃げてほしい。私達も後ですぐ行くから」


ルーカス兄様は、この国の第一王子。

今ここに第一王子の命令に刃向かえる者は居ない。


僕以外は……


「ルーにい様、銀貨くだちゃい」


僕は両手をルーカス兄様の前へ出す。


「アル。こんな時に、後であげるよ?」


引かない僕を見て、ルーカス兄様は持っていた硬貨の入った巾着を渡してくれた。


ルーカス兄様は、騎士達に目配せをしてパーティメンバーの元へ戻って行った。


「騎士さん、アルは大丈夫。ルーにい様の所行って下さい。騎士さん達は、アルの剣違う。ルーにい様の」


騎士達は戸惑いながら、主人の命令には逆らえないため僕の元に2人の騎士を残し、他の騎士達はルーカス兄様の元へ行った。




僕はニアに不思議な目で見られながら地べたに座り、ルーカス兄様に貰った巾着を逆さまにする。

バサーッと硬貨を出して並べる。


さすが一国の第一王子。

魔法の巾着からは、大きさに見合わないほど大量に硬貨が出てくる。


硬貨の山ができて、僕は1人で銀貨を分けていたけど数が多すぎて途中でやめた。


「ニア、銀貨だけちょーだい」


「は、はい。アルフィ様」


ニアは言われるがまま、硬貨の山から銀貨だけを集める。


僕はニアから銀貨を貰い、ステータス画面を開く。


【ルーレット】



✦ ─────────── ✦


《 銀貨ルーレット 》


《 本日 SSR確率UP・UR確率DOWN・R確率DOWN 》


《 銀貨ルーレット 10回転 : SSR以上の品確率2%UP 》


【ルーレット】


✦ ─────────── ✦



ルーレットの詳細を開く。



✦ ─────────── ✦


《 本日の銀貨ルーレット 》


−ラインナップ−


UR : 暗黒龍の鱗

SSR : 回復ポーション

SSR : 【闇魔法Ⅴ】

SSR : 【身体強化Ⅴ】

SSR : 禁忌魔法の書Ⅱ

SSR : 【隠密】

SSR : 龍の首飾り

・

・

・


《 銀貨ルーレット回しますか 》


✦ ─────────── ✦



今必要なのは、



✦ ─────────── ✦


UR : 【身体強化Ⅶ】

SSR : 【強くなぁれ】

SSR : 【守護者】


✦ ─────────── ✦



ここら辺かな。

丁度今日のラインナップにも入ってる。

僕は銀貨を10枚両手に乗せてルーレットを回す。



✦ ─────────── ✦


《 銀貨ルーレットが回されました 》


《 本日 SSR確率UP・UR確率DOWN・R確率DOWN 》


《 10回転 》


《 確定しました 》


《 SSR : 【王様って良いな】・SSR : 解毒ポーションⅢ・SSR : 魔導士の杖・R : 冒険者のマント・R : よく切れるナイフ・N : 薬草・N : 【火炎魔法Ⅰ】・N : 薬草・N : 魔力5・N : 光石のピアス を獲得しました 》


《 買取価格 : 約金貨1枚 》


✦ ─────────── ✦



亜空間から、解毒ポーションⅢ・魔導士の杖・冒険者のマント・よく切れるナイフ・薬草・光石のピアスがドサドサッと出てくる。


僕は運の悪さに「はぁ」とため息をつき、頭を上げるとニアは驚いた表情で僕を見つめていた。


「アルフィ様。今銀貨が消えました。そ、それにその品々はどうされたのですか……」


ニアはオロオロと銀貨を落とす。


「ニア、銀貨ちょーだい」


「はっ、はい。アルフィ様……」



✦ ─────────── ✦


《 銀貨ルーレットが回されました 》


《 本日 SSR確率UP・UR確率DOWN・R確率DOWN 》


《 10回転 》


《 確定しました 》


《 SSR : 【身体強化Ⅴ】・SSR : 【強くなぁれ】・R : 回復ポーションⅠ・N : 薬草・N : 【水魔法Ⅰ】・N : 【鑑定Ⅰ】・N : 魔力10・N : クマのぬいぐるみ・N : レシピ本・N : 乾パン を獲得しました 》


《 買取価格 : 約銀貨2枚 》


✦ ─────────── ✦



また亜空間から、回復ポーションⅠ・薬草・クマのぬいぐるみ・レシピ本・乾パンが出てくる。


 何故に乾パン……


「ニア、ルーにい様見える所まで連れてって」


「い、いけません!!危険です。だめですからね」


僕はムッと頬を膨らませ、ふらふらと立ち上がり騎士さんの足にしがみつく。


「アルフィ殿下!どうされましたか?」


「ルーにい様の所!行く!!」


「ですが……アルフィ殿下」


僕は1人でヨタヨタと歩き出す。

ニアは慌てて僕を抱き上げる。


「どこ行くんですか。ダメと言ったらダメです」


僕がニアの腕の中でムスーッと拗ねていると、突然木が吹っ飛んで来た。


僕達の目前に飛んで来た木の陰に、マシュが倒れていた。

すごい怪我だ。


「……ルーカスっ様」


マシュは無理に立ち上がろうとして、血を吐いて倒れてしまった。


「マシュさん!」


ニアはすぐに駆け寄って、メイド服の裾をさっき【ルーレット】で出てきていたナイフで切る。

切り離した布で、マシュの怪我の応急処置をする。


「マシュさん。しっかりしてくださいっ」


「ニア、城へ戻って討伐部隊を……至急、編成するよう伝えて下さい」


ニアは泣きながら傷を押さえ、2人の騎士は僕達の前に立ちはだかって、危険に備える。

僕は、回復ポーションⅠをマシュにバチャバチャとかける。


「……ちょっ。アルフィ様!何されてるんですか!酷い怪我なのですよ!?」


「いや……ニア。大丈夫。少し楽になった」


回復ポーションⅠは、王国で売られている下位回復ポーションよりも効果があるらしい。

マシュの傷が塞がり血が止まった。


 擦り傷治るくらいかなと思ってたけど、すごーい。


マシュは再び立ち上がり、ルーカス兄様の元へ向かおうとする。僕はそんなマシュを引き止める。


「アルフィ殿下。私はお兄様の元へ……」


「強くなぁれ」


「アルフィ殿下?」


「マチュ、がんばってね!」


「は、はい。アルフィ殿下も安全な所までお逃げ下さいね」


「あい!」


マシュはルーカス兄様の元へ走り戻って行った。



✦ ─────────── ✦


《 【強くなぁれ】スキルについて 》


《 【強くなぁれ】は、スキル所持者が任意の武器・防具を強化することが出来ます。同時強化最大5個まで可能 》


《 消費する魔力量によって強化倍率は変動します。強化は約1時間で解除されます 》


−注意−

《 人体への強化不可、強化された武器や防具は解除された後消滅する可能性があります 》


✦ ─────────── ✦



僕は、マシュの杖と防具を強化した。

魔力を残す為に少ししか使わなかったから、1.2倍にしかならなかったけど、気休めにはなるよね。



✦ ─────────── ✦


《 レベルが上がりました 》


✦ ─────────── ✦



✦ ─────────── ✦


《 レベルが上がりました 》


✦ ─────────── ✦



 ルーカス兄様達……戦ってる。


あっという間に僕のレベルは15に上がった。


「ニア、城へ戻って」


「アルフィ様も一緒にですね」


「ニアだけ、アルいない方が早い」


「出来ません!ニアはアルフィ様とずっと一緒です!!」


「うーん。わかった」


僕は手に魔力を集める。


「ブラスト」


そう僕が呟くと、ニアのメイド服の裾がフワッと風になびく。


「アルフィ様?」


ニアがキョトンと僕を見る。

その瞬間、ニアは浮かび上がる。


「ニア、父様にお願いね」


「アルフィさまぁぁああ──」


ニアは風魔法に乗って王都へ向かって飛んでいった。


「ふぅ」


僕は短い腕で額の汗を拭う。

騎士さん達は今目の前で起こった光景に、唖然としている。


「抱っこ……」


騎士さんに向けて両手を伸ばす。

騎士さんはオロオロしながら僕を抱き上げた。


「ルーにい様の所、行く」


「ですが……アルフィ様……」


「行くのー!」


僕は騎士さんのマントを引っ張る。

騎士さんは困ったような表情を浮かべる。

2人顔を見合わせ、ルーカス兄様の元へ向かうことになった。

もう1人の騎士さんは、僕が【ルーレット】で出して放置していた品々をマントにまとめて持ってきてくれる。


しばらく進むと崖になっていて、そこからゴブリンの集落を見下ろす。




 僕は、こんなの知らない。


ルーカス兄様は、28歳まではいつも生きている……






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