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第一三.五話 吟遊詩人の130年




私には大切な女性が居た。

ただの売れない音楽家の私には勿体無いほどに、良い女性だった。


私がこの世界に来る直前まで、彼女は目の前で笑っていた。


私のスーツのポケットには、頑張って用意した指輪。

背伸びをして予約した、落ち着いたレストランで、ドレスを着た彼女は本当に美しくて、緊張でせっかくのワインの味はしなかった。


「由依(ゆい)ちゃん、わ、私はっ」


「ふふっ、どうしたの?今日は凄く落ち着きが無いわね」


彼女は私の口元に付いたソースを、拭ってくれた。

口元を隠して笑う姿も、私の顔を見て微笑む時少し頭を傾ける姿も、長くふわふわした髪を耳にかける姿も、ひとつひとつ全てが愛おしくて目が離せなかった。


「何か言いたいことがあるのでしたら、何でも言ってください。ちゃんと受け止めますよ」


彼女は私の心を見透かしたように微笑んだ。


「由依ちゃん。私は、君と出会って世界が鮮やかに色付いて……えっと、何が言いたいかと言うと」


私が顔を上げると、彼女は顔を真っ赤にして両手で口元を押さえて涙ぐんでいた。


「私と出会ってくれてありがとう。売れない私を側で支えてくれてありがとう。心の底から愛してる、由依」


私は小さな箱を机の上に出して、指輪を取り出した。


「私は君と、これから長い人生を歩みたい。私は多分君以上に、心を奪われる人とは出逢えない自信がある」


「私と結婚してくれませんか」


彼女は涙を拭って、左手を私に差し出した。


「はい、私も貴方を愛しています。優希さん」


私が震える手で、彼女の薬指に指輪をはめようとした時。

私の足元から光が溢れた。

周りの客達がザワザワと私達の方を見ている。

私は訳も分からず、光る模様を見て、もしかしたらもう彼女には会えなくなるのでは無いかと思った。


「由依ちゃん、ごめん……」


私は指輪をテーブルに置き、彼女に抱き付いた。


「もし、このまま私が居なくなったら、私の事は忘れて幸せになって。今まで本当にありがとう。私は世界で1番幸せな男だったよ」


「優希さん、そんな事をそんな顔で言わないで下さいっ」


最後に私の目に映った彼女は、涙を流して私へ必死に手を伸ばしている姿だった。




気付いたら私は、見た事もない獣達に囲まれていた。

私は間一髪の所で、冒険者と名乗る人達に助けられた。

冒険者は優しく、人の居る街まで同行させてくれた。

その日から私は、冒険者になった。


けれど私には、剣の才は無く冒険者ランクは、10年経っても最低ランクのままだった。

魔力はあるのに魔法も使えない。

私は異世界転移をしたのでは無いのか……

魔法が使えなくて、何が異世界転移か。


10年経つのに私の容姿は変わらないまま。


あの時聞こえた女性の声に関係があるのだろうか。


光に包まれた時、女性の声が私に降り注ぐように聞こえた。


『いつか現れる、少年君主の味方になってあげて』


その声を聞いて、目を開けると異世界だった。

今思えば、神様だったのかも知れない。


私は冒険者を細々と続けながら、少年君主を探した。

世界中を旅した。海も超えた。

鎖国国家の国で殺されそうになったこともあった。


そしてある時、国を作ろうとしている青年が居ると聞いて、ドゥウムという誰も入りたがらない危険な森へ向かった。


少年君主を探しに。


国を起こそうとしていたのは、少年とは言えない筋骨隆々の男だった。

私はリーダーのアイゼンと仲良くなり、しばらく世話になった。

アイゼンは、素晴らしい男だった。

人を想い、人に想われる才能があった。


「アイゼン、君はどのような国を作りたいんだ?」


「俺は、子供らが笑って暮らせる国を作る!!」


「子供だけか?」


「ははは!!子供が笑えば、自然と大人も笑ってるもんさ」


「そういうものか?」


「あぁ、そういうもんだ!!何年、何十年掛かるか分からねーが、お前のその仏頂面も崩れるような国にしてやる!!見ててくれよな!優希!!」


豪快で心優しい男だった。

私は20年、ドゥウムを拠点に旅をした。

帰る場所があるというのは、心の救いでもあった。


遂に、ドゥウムの名が世界に轟いた。

元々アイゼンが連れて来た騎士達が起こした国だ。

軍事国家に相応しい戦果を上げたのだ。


魔族との戦争。


どの国からも疎まれている新生国ドゥウム王国は、最前線に立たされた。

ドゥウムの兵達は、魔族の殆どをたった1000人程で返り討ちにしてしまったのだ。


今となっては、長命種の者達と私くらいしか事実を知るものは居ない。

ドゥウムは、功績を上げ過ぎてしまったのだ。

魔族と手を組んでいたのではないか、ドゥウムに住むのは人間ではない、人の皮を被った魔物だと各国の貴族の間で噂されるようになった。


ドゥウムから出てきた、身籠った女が他国の兵に捕まり処刑された。


魔物に魅入られた愚かな女と。


その頃から、アイゼンはあまり笑わなくなった。




処刑された女の夫が1人、帝国へたった一本の剣を持って出て行った。

夫は、血に塗れ内臓を切り裂かれても、憎しみという感情だけで動き続け、当時の皇帝を殺害した。


一晩で、王宮には血の海が出来ていた。

夫は皇帝を殺害した後、虫の息ながらも動き続けた。

襲い掛かってくる兵士を切り倒し、ただ茫然とどうして自分がこんな事をしているのかと嘆きながら。


ただ愛した妻と、もうすぐ生まれてくる我が子を、この手に抱きたかっただけなのに、と叫びながら。


狂乱状態の夫の目の前に立ちはだかり、正気に戻したのは帝国の第五皇子殿下であった。

まだ12歳の少年が、何百人もを斬り殺した、血塗れの男に立ちはだかったのだ。

夫は、第五皇子殿下に我が子の未来を重ね、剣を落とした。

涙を流す夫に、第五皇子殿下は剣を突き刺した。

その功績により、兄達を差し置き第五皇子殿下が12歳という若さで皇帝となった。


皇帝は、優秀な君主であった。


父たる前皇帝の非礼を詫びに来たのだ。

大国である帝国の皇帝が頭を下げるのは、前例の無いことだった。


12歳の少年が危険を冒し、ドゥウムまで足を運び頭を下げに来た。

アイゼンは、許すほか無いだろうと困ったように笑っていた。

帝国とドゥウムは今後このような事が無いようにと、二国間で条約を定めた。


皇帝は、ドゥウムの騎士達に教えを乞うた。


「私は強くならなければならない。貴方方のように!!私には民を守る義務がある!!」


皇帝の必死な姿に、アイゼンは後日選定を行い教師として数名帝国へ送ろうと約束を交わした。


私も一度だけ、皇帝の少年と話をした。

12歳とは思えないほどに、聡明な子供だった。

少年君主とはこの子ではないかと思うほどに……

けれど皇帝は、ドゥウムの王城から帝国への帰路で、盗賊に襲われて亡くなった。


在位わずか半年。 12歳の皇帝は、その短過ぎる人生の幕を閉じた。


私は知っている。

盗賊が、第一皇子殿下の手の者であった事を……


2人の王が平和を願い制定した条約は、公表される前に燃えて無くなった。


ドゥウムは、鎖国国家となった。


鎖国国家になるのは簡単だ。

ドゥウムの森は何千年、何万年も人が踏み入らなかった土地。

ドゥウムの騎士数名が護衛に付いて、やっと無事に辿り着ける国である。

何人たりとも、ドゥウムに立ち入ることは出来なかった。


私はドゥウムの最南端にある砂浜で、海を眺めていた。


「アイゼン、少し歩いてくるよ。君も一緒にどうだい?」


「いや、いい……」


「そう、すぐ戻るよ」


「あぁ」


私は1人砂浜を歩いていた。

風に吹かれ、何か弦が弾かれるような音が聴こえて、私は必死に音のした何かを探した。


「ライアー……」


私は砂をかき分け、竪琴を拾った。


まだ綺麗だ。塩水にも浸かっていなさそうだし。


私は、弦を撫でるように弾く。

少し調弦をして、もう一度弦を撫でる。


「ふふ、由依ちゃんが教えてくれたライアー。やっと弾けそうだよ」


私はライアーを持ってアイゼンの元へ戻った。


「アイゼン、君には救われてばかりだ。私の音を聴いてくれないかい?」


「なんだ?それは」


「聴いて」


私はライアーで、優しく撫でるように音を奏でた。

由依ちゃんが教えてくれた曲、歌詞は覚えていないけれど、メロディーは覚えている。

由依ちゃんと2人でライアーを奏でた光景も覚えている。

でも、由依ちゃんのコロコロと変わる表情も、由依ちゃんの優しい歌声も、いつも安心出来た由依ちゃんの匂いを私はもう……思い出せない。


あんなに愛していたのに……


私はライアーを奏でながらハミングをする。

私の閉じた目からは涙が流れた。

ただ波音が聞こえて、穏やかで幸せなはずなのに、凄く悲しい。悲しかった。 


「アイゼン、君の夢は何?」


「俺は……わからない」


「私の夢は、もう叶わない。どんなに頑張っても、どれだけ手を伸ばしても。もう、届かない」


ライアーの心地良い音が、私の心を覆ってくれる。


「アイゼンは、私の分まで足掻いて欲しい。悲しいこと、苦しいこと、多分これからの方がずっと多い。けれど、私が憧れた友の姿は、夢を絶対に叶えると言わんばかりに豪快に笑うアイゼン・ドゥウムという男の姿だ」


「優希……俺は」


「私、新しい夢を見つけたよ。冒険者を辞めて、吟遊詩人になるよ。吟遊詩人になって、色んな国を旅しながら少年君主を探すよ」


「そうだな、優希に冒険者は向いていない」


アイゼンが少し笑った。


「その為に、いつまでも鎖国国家では困る。私が故郷に帰って来られないじゃないか」


「あぁ、そうだな。あぁ〜、そうだなぁ!」


1年ほどドゥウムでライアーを練習して、私はドゥウムを出た。


「優希、元気でな」


「うん、アイゼンも。騎士のみんなもね」


「お前が自慢したくなるような故郷を作ってやる」


「いつになるかなぁ。そんなのー」


「高望みするな!」


「ふふ、アイゼン。君がまずするのは、子供が笑って暮らせる国だよ。私は気長に待つよ、君の何代か先の未来で私が自慢できる故郷になるのを」


「あぁ、ありがとう。優希、寂しくなるよ」


「うん、私もだよ」


私の姿が見えなくなるまで、アイゼン達は見送ってくれていた。


本当、寂しくなるよ。

この世界で初めてのお友達、アイゼン。




アイゼンの訃報を聞いたのは、ドゥウムを出て20回目の冬を迎えた頃だった。

相変わらず私の容姿は変わっていない。


「髪は伸びるんだよな、なんの違いなんだろう」


泊まっていた宿の扉を鳥が叩き、私はドゥウム王国からの手紙を受け取った。

アイゼンが毒殺された、とのことだった。


未だにドゥウムを悪く言う国も多い。


仕方が無いとも思う。

ドゥウムの噂を聞いた各国の民の中に、ドゥウムへ移住する者が多く現れたのだ。

騎士団に入りたいという者、職を得たい者、衣食住のない者。

名誉を得たい者。今まで貴族に陥れられていた者達が、ドゥウムへ押し寄せた。


開拓をしているうちに、大鉱脈やダンジョン、レア素材の魔物が多く、冒険者も多く集まった。


自国の民が異国へ移り住み、納税者が減るのだ。

私が旅で見てきた貴族に、税を下げてでも民の幸せを願うような者は少ない。

そうなれば、少々危険はあるが職に就けば寮があり、給金もしっかり出て、毎日まともな食事がとれる、と噂になっている国に移り住みたいと思う者も多いだろう。


そして移住民のほとんどは、騎士団に入りたいという者の家族が多く、ドゥウムの納税は強制ではないのだが納税率が高く、ドゥウムは歴史の長い国よりも裕福な国となりつつあった。


各国のドゥウムへの心証は悪化するばかりだった。


人は欲深い。

手を付けられなかった土地に、利が多いと分かれば欲しくなる。

民が移り住み、豊かになっていく国を羨み、悪魔とも契約してしまうのだろう。




──アイゼンが亡くなる少し前


ある国が勇者召喚という禁忌の魔術に手を出した。


『人の皮を被った悪魔が人類を滅ぼそうとしている』と。


その国の美しい王女の言葉を鵜呑みにした愚かな勇者は、ドゥウムへ侵攻する軍を率いた。

各国から軍が派遣され、総勢50万人もの大軍となっていた。


その情報を知ったアイゼンは、息子の1人を隣国のフロレア王国へ助力を求めに遣わせた。

ドゥウムを挟む左右の国は、戦争をしないと宣言している聖女の国聖信国と、平和で豊かな国フロレア王国。


フロレア王国から、助力は得られなかったが、自国の領土に軍は通さないとだけ約束をしてくれた。


聖信国からも助力は得られなかったが、教皇は戦後、人命を救うために神官を送ることは已むを得ないと、言ってくれたそうだ。

教皇は温和な方だが、神官達の目には少し違和感があったと使者はぼやいていたそうだ。


アイゼンは隣国を信じ、帝国との国境に守りを固めた。

民達には、比較的安全なダンジョンの中に避難してもらった。護衛には冒険者に付いてもらった。

ドゥウムでは、森で夜を明かすよりダンジョンの中の方が弱い魔物が多く、低階層であれば安全なのだ。


50万の大軍は帝国との国境から入ってきた。

危険な森は、50万の大軍の体力を削った。

数十人掛かりでも到底倒せないほどの魔物や、古竜、魔法の効かない魔物など、他の国には居ない魔獣が多く生息している。


勇者は古竜が目の前に降り立った時、腰を抜かしてその場に座り込んだ。


古竜は何千年もの昔から、ドゥウムの森を守護していた。

アイゼンはその古竜と友好関係を築き、街を作る事が出来た。


古竜の一吹きで15万もの兵が命を落とした。


本当に人は愚かだ。

文献で記された事を信じず、欲をかいて進軍して来た。

先人は何度も後世に遺していたというのに……


『ドゥウムの森に手を出すな』と。


愚かな人間は残りの兵が、たった数千人になるまで引かなかった。

私はただ遠い国で、その知らせを受けていただけで何も出来なかった。私は剣も扱えず、魔法も使えなかったから。


ドゥウムの恐怖を再認識した人間達は、それ以降、表立って進軍することはなかった。

けれど裏でコソコソと、ドゥウムを手中に収めるために手段を選ばない者が居た。


そんな奴らに、アイゼンは殺された。

アイゼンの息子、長男と次男も殺された。

残された長女と三男は、2人で助け合って国をどうにか維持していた。


そんな時私はやっと、アイゼンの墓参りが出来た。

アイゼンが好きだった酒と花を供えて、ライアーを奏でた。




◇ ◇ ◇


「優希さん……優希さん!」


「由依ちゃん。ごめん、少しボーッとしてて」


「優希さんは優しすぎよ。私は凄く怒っているのよ?」


「由依ちゃんが怒る事じゃないよ」


「怒るわ、だってあんなに必死で練習していたのに……悲しいじゃない……」


「良いんだよ。ありがとう、由依ちゃん」


バイオリンを握って控え室で座り込む私を、由依ちゃんが包むように抱きしめた。


◇ ◇ ◇



アイゼンが亡くなって、どれほどの年月が経っただろうか。

私は1人、ライアーを弾きながら色んな国を旅した。

ただ、長い時間を過ごすだけの日々。


また会いたいよ、由依ちゃん……


私は、帝国でライアーを弾いていた。

少年君主の存在など忘れていた。

ただ寂しくて、1人は嫌だと……元いた場所に戻りたいと思うばかり。


そんな時、


「お兄さん!!日本人でしょ!?」


顔を上げると、目の前には少年と言うには幼い子供が私に話しかけていた。

この胸の高鳴りをどう言葉に表現して良いのか、わからない。

ただこれだけは言える。

初めて由依ちゃんと出逢った時と同じ衝撃。

この絶望から、私を救い上げてくれる予感がした。


「一緒に来てくれませんか?さっきの歌、魔法ですよね」


「私は、魔法を使えない……」


少年は、唖然としながら私の耳元でコソッと呟いた。


「僕も、日本人なんです」


「君も……」


やっと出逢えた、少年君主。

神様、この子なのですね。この子の事なのですね。


少年が私に伸ばした手を握りしめて、涙を流してしまった。

久しぶりに人と触れ合った手は、温かかった。


「やっと、出逢えた……」


私はボソッと、呟いた。


「何か言いました?」


「何でもないよ」


「お名前は?」


「陽皐(ひさわ)優希(ゆうき)」


「優希さん!僕はアルフィ・ドゥウム、よろしくね」


「ドゥウム……アルフィ。そう、アルフィ。よろしく」


ドゥウム、アイゼンの子孫か。

淡い紫の髪と金色に輝く瞳……懐かしい。

アイゼンもそうだった。


もう少し、この世界の行く末を見てみよう。

もう少しだけ、生き続けてみよう。


少年君主が見せてくれる、未来を想い描きながら。




◇ ◇ ◇


私が由依ちゃんと出逢ったのは、私が音楽をやめてから3年が経った、中学二年生の時だった。

母に連れられて見に行った、ピアノのコンクールだった。


小学一年生から中学三年生までの、生徒達が参加していた。

つまらなかった。

何も変わり映えのしない、楽譜通りの真面目な音楽。

音を奏でる者の顔が見えて来ない。

私は帰ろうと思った。


母は、私に何度もピアノをもう一度、習わせようとした。

コンクールも、その為だったのだろう。

けれど、私は余計に音楽への欲を失っていく。


その時、花が舞った。


他の参加者とは、格が違う。

音楽を楽しそうに奏でる、同い年の女の子。

その女の子から、目が離せなくなった。


その女の子の音に感化されたのか、私は無性に音を奏でたくなった。


女の子はコンクールで優勝した。

表彰後、私は女の子に話しかけた。

女の子は由依というらしい。


「初めまして、優希さん。私は貴方の演奏を聴いて、音楽を始めました。お会い出来て光栄です」


「私の演奏?」


「はい、小学一年生の時のコンクールは、覚えていらっしゃいますか?」


「いや、覚えていないな」


「そうですよね。優希さんは、参加されるコンクール全てで優勝されていますから。でも私は、あの時の演奏で心惹かれたのです。貴方の音に」


その日から私達は、毎週のように会うようになった。

私は再び音楽を始め、2人で音を奏でる日々。

私は由依ちゃんへ向けて、音を奏で続けた。


高校生になると、同じ学校に通い毎日のように音楽を奏でた。

ただ一緒に、音を奏でるだけで幸せだった。


私達は交際を始めた。

音楽で想いを伝え合う。


由依ちゃん、君のおかげで私の世界は色付いて、輝いていた。


幸い私の家も由依ちゃんの家も裕福で、ほとんどの楽器に触れる事が出来た。

独学で練習し、自由に音を奏でる事ができて幸せだった。


大学でも私達は音楽を続けた。

私は売れない音楽家になって、由依ちゃんは先生になった。

私に教えるのも上手かったから、良い先生になるだろうと思っていたけれど、すぐに子供達から人気の先生になった。


そんな由依ちゃんに支えられて、私は細々と音楽家を続けた。


◇ ◇ ◇




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