表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者様、お守りします  作者: 神無月 瑠奈
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/24

第3話(精神力三桁ナメんなッ!)

(よぉ~しッ!状況を整理しよう。まずここは異世界で部室にいた俺と比呂さんはこの異世界の平原に転移してしまったと。そして、俺はあの神野郎のせいで比呂さんの召喚獣(子犬)なっていたと………え、何?なんの冗談?)


現実に起きているこの状況にもし神様がこの手が届く範囲にいるのだとすれば異議申し立てたいと成瀬は心の底から思う。しかし、子犬にされたこの状況でも少しありがたいと思ったこともあった。


(確かに……もし、俺だってバレたら絶対に気を使われる。申し訳なさとか全力で出される。そんなの地球に帰った時にされたらたまったもんじゃない)


半ば強迫観念に近い何かを感じながら成瀬は決意する。この異世界をこの純粋無垢なお嬢様を守りながら生き抜く覚悟を………


(この子のステータスも視れるのかな?)


すると、比呂の意思を汲み取ったかのように比呂のステータスとは別のステータスがその隣に表示される。そこには………

-------------------------

名前:『』

種族:ブラックフェンリル

魔法適性《影》

LV:1

HP:5/5

MP:1/1

筋力:3

防御力:6

俊敏力:4

精神力:100

固有スキル

『真実の嗅覚』『超回復』

スキル

『影貯蔵』『障壁』『身体超強化』

-----------------------------------------------------

(ふぇ、フェンリルッ⁉……にしてはして―タスが低いような)


己の絶望的に低いステータスに落胆の声を心で漏らす。しかし、一部だけ突出して高い数値をしたものがある。


(いや、なんでッ⁉精神力にこんな要らんだろ!筋力とかMPとかにやれよッ!)


極端に偏ったステータスにあきれ果てる


(俺ってそんな精神力強かったっけ?)


固有スキルの欄に目をやると詳細が表示される

----------------

固有スキル

・真実の嗅覚

→相手の性質や虚偽を嗅ぎ分ける

・超回復

→HP・MPのいずれかが減少した場合即座に回復する

スキル

・障壁

→発動中任意の相手に攻撃が向かった瞬間、自動的に発動する。ただし一定以上の攻撃を受けるか発動から1分が経つと障壁は壊れる。再発動には3分間のインターバルが必要

・影貯蔵

→影をため込むことができ、任意で出し入れが可能

・身体超強化

→身体能力を2~5倍にすることが出来る。強化の程度は任意で変更可能。ただし、強化する程度によってはHPが大きく削れる

-------------------------------------



(なるほど……ここら辺は俺がお願いした通り。いや、若干名前が変わってたりするけど確かに能力自体は俺が要求した通りだな)


その時だった。「何か来る」本能のようなものが成瀬に告げる。


ガサゴソ……


遅れて近くの草むらから何かが近づいて来る音が聞こえる。比呂はその音に気付くと飛び上がり音を立てずゆっくりと後退する。その瞬間、音がした草むらから一匹の角が生えた兎が飛び出してきた。


「え……角が生えた、兎?」


その見た目は角が生えていることを覗けば、日本でよく見かける普通の兎とは変わらなかった。比呂は張りつめた緊張を解き、ゆっくりと近づこうとし始めたその時だった。さきほどまで愛くるしい見た目をしていたその兎の眼は全て赤く染まり奇声をあげはじめた


(あ、まずい……)


成瀬はその様子を見た瞬間察した。


『これは仲間を呼び寄せる何かだ』と……


「……ッ⁉ワンちゃんッ⁉」


成瀬は比呂の前に飛び出し、角付き兎に向かって爪立てた腕を振る抜く。


キュッ⁉


何故かはわからないがスキル『身体超強化』を発動したのが分かった。スキルの発動方法など知らないはずなのに出来るという確証が確かに成瀬の中にあった。遅れて超強化の反動で全身に痛みが走る。全身がきしむのが分かる。しかし、その痛みも数秒後には消え去る。


(なるほど。これが超回復の効果か)


比呂の後ろにいた成瀬は物理的に角付き兎には見えなかったようで不意打ちが効いたのか、当たり所が良かったのか角付き兎は短い悲鳴を上げ絶命した


【ホーンラビットの絶命を感知しました。個体名『ワンちゃん』は経験値を獲得しました。レベルが2上昇しました。各種ステータスが上昇しました。名づけにより各種ステータスが上昇しました。】


(うわっ!)


突然頭の中に響いた電子音のようなそれに成瀬は驚く。


(おいおい……急になんだよ、この声は。いや、ラノベではこういうのは当たり前か。むしろテンション上がってきた………………ってか、個体名ワンちゃんって何?)


一瞬遅れて思い出す。確かに先ほどの電子音が成瀬の事を個体名ワンちゃんと言った。


(す、ステータスッ!)

--------------------------

名前:ワンちゃん

種族:ブラックフェンリル

魔法適性《影》

LV:3 

HP:30/30

MP:10/10

筋力:26

防御力:29

俊敏力:25

精神力:131

固有スキル

『真実の嗅覚』『超回復』

スキル

『影貯蔵』『障壁』『身体超強化』

----------------------------------------------------------

 (OH……マジデスカ)


 あの時、確かに比呂は成瀬に対してワンちゃんと言った。それを思い出し成瀬は項垂れる


(アレは……アレは名づけではないでしょうッ!なんでそうなるんだよォォォッ!)



~一方その頃。名付けてしまったことに気が付いた比呂は~


 (どうしよぉ……咄嗟にワンちゃんなんて言っちゃったせいで私の召喚獣がワンちゃんになっちゃった。こ、コレ修正できないのかな?)


 『ワンちゃん』

 

咄嗟だったとはいえ、なんとも間抜けな名前になってしまった一匹はひどく落胆し、名付けてしまった一人は、目の前で明らかに落胆した様子の一匹にものすごい罪悪感を覚えるのだった。


「びっくりしたぁ。でも、さっきので改めて分かったけどやっぱりここは日本じゃないのね。ありがと私の小さな騎士さん」


 比呂は感謝の気持ちを込めて子犬になってしまった成瀬を抱き上げ、頬をこすりつける。しかし、見た目は子犬であるが中身はそのまま17歳の男子高校生である成瀬には非常に不服なことであるが成瀬は思った。これって、もしこの子犬が同級生の友人だと知ったら?


比呂は恥ずかしさで死ぬか、こっちが責められるかの二択だよな?しかも、もし俺だって知ったら多分このお人好しなお嬢様は守らせてもらえない。もし、それで比呂の心身に傷が出来たとしたら?

 そこで成瀬の頭に二人の顔が浮かび上がる。比呂の彼氏であり、成瀬にとってかけがえのない親友である春陽川大翔。比呂の大親友であり、成瀬にとって世界に唯一無二の片恋相手である村河瑠璃。その二人の失望したような表情………


(絶対に守り通さねば)


それが比呂咲樹の従順な召喚獣としてこの世界を生きると決めた男の始まりだった



それは戦闘が終わってすぐ。比呂によって撫でまわされている時だった


ガサガサッ……ゴソッ!


「「ッ!?」」


呑気にしているといくつもの気配がどんどん迫ってくるのが成瀬には分った。


(あぁ~クソッ!さっきのホーンラビットの………手遅れだったか)


魔物やそれに準じる生物が出てくるゲームやアニメでは度々目にすることのある弱い魔物の常套手段。今、成瀬達の目の前には先ほどのホーンラビットが呼び出したであろう約十匹のホーンラビットが姿を現す。


『『『キッキッキッ!』』』


その甲高い鳴き声は聞いたもの全てに悪寒を感じさせる。


(いや、慌てるなよ。真一……不意打ちとはいえ俺の一撃で倒せたってことはそこまでレベルもHPも高くないはずだ。問題は敵の数だ………)


成瀬は後ろで足を竦ませる比呂の姿を横目で見る。


(念の為に障壁を発動。身体強化は出し惜しみなしで5倍だッ!)


その瞬間体集からメキメキと強化された筋肉によって骨が潰される嫌な音がする。それと同時に超回復が自動発動を始める。潰れる骨や急激な強化に耐えられず自壊する筋繊維を修復し始める。


(なるほどッ………これは精神力いるわッ!)


自壊する傍から回復が発動すると言っても痛みはしっかり残る。それも強化率をあげれば痛みも増す。戦闘中にこれだけの激痛が伴えば、まず戦いどころではなくなる。131という数字がどれだけ高いのかはさておき、これだけの激痛の中しっかり思考出来ている事実に神の粋な計らいと捉え、心の中でそっと感謝の言葉を述べる。


 (ざっくり成長痛の100億倍ッ!)


目の前で急激な身体強化を果たした成瀬にホーンラビットは言い表せない何かを感じ取る。しかし、依然発し続ける奇声に対し、対抗するように成瀬は低い唸り声を轟かせる。


(障壁の効果は1分間任意の相手の周囲に盾を作る。つまり1分間でホーンラビットを10匹倒せってことだ。それじゃあ、1分チャレンジ行ってみよッ!)


成瀬はホーンラビット目掛けて肉薄しようとする。しかし、気付いた瞬間目の前にホーンラビットが迫っていた。


「え………」



後方から比呂さんの呆気にとられたような声が聞こえる。それもそれなりに離れていることが分かる。


(え……目の前に、なんで?)


そして、成瀬も困惑していた。一歩踏み出した瞬間ホーンラビットの目の前まで跳躍していたのだから。その困惑はホーンラビットたちも同じようだった。一瞬見失った獲物が急に目の前に現れたんだ。無理もない。その一瞬を辛うじて捉えた成瀬は正面のホーンラビットの眉間を『お手』の要領で地面へたたきつける。その瞬間すさまじい衝撃音と共に草原の一部が陥没(・・)した


【ホーンラビットの絶命を感知しました。個体名『ワンちゃん』は経験値を獲得しました】


ホーンラビットの絶命を知らせる音声が脳内に流れる。


(まぁ、頭部が砕けるどころか消し飛んだんだ。アレで生きてたらお手上げだ。しかし、。これは駄目だな。俺が扱いきれない)


頭部を失い、クレーターのど真ん中で力なく横たわるホーンラビットを見つつ、慌てて5倍にしていた身体超強化を2倍にまで引き下げる


(慣れるまでは5倍は封印だな、こりゃ………)


どうやら戦闘のホーンラビットが統率を行っていたようで、そいつが吹っ飛んだことによって恐怖がホーラビットの群れを支配する。統率者が居なくなり、統率は乱れたホーンラビットたちは血相を変えて逃げようとする。しかし、揺らいだ隙を成瀬は見逃さない。次は向かって右斜め後方の一体へ噛みつく。しかし、身体超強化2倍したとはいえ、レベル3のただの噛みつくだけでは絶対に重い一撃には成り得ない。だから成瀬は噛みつき怯んだホーンラビットへ追撃を与える。より重くより鋭く。引っ掻くというよりそれは刺突に近い一撃。意図せず両爪で繰り出されたそれは相手の胴体を引きちぎった


「ヒッ……」


後ろから短い悲鳴が聞こえる。


(あぁ、ちょっとスプラッター過ぎたか……)


そんなことを考えていると


【ホーンラビットの絶命を感知しました。個体名『ワンちゃん』は経験値を獲得しました。レベルが1上昇しました。各種ステータスが上昇しました。】


(複数攻撃を入れないと絶命しないか……まぁこれくらいなら許容範囲か………ッ!?)


その瞬間、右の後ろ脚に鋭い何かが刺さる感触と強烈な痛みが走る


(ゔッ⁉……)


視線を右の後ろ脚に向けるとホーンラビットの角が成瀬の右後ろ脚を貫通していた。


(そうか……角が刺さったのかッ)


人間の頃であれば恐らく悲鳴を上げのたうち回っていたはずだ。しかし……


(精神力三桁ナメんなッ!死に曝せッ!)


レベルアップの恩恵。それは各種ステータスの上昇。引っ掻くや噛みつくの様な筋力が諸に影響する攻撃は、その恩恵を120%発揮する


「「キュッ⁉」」


右後ろ脚を突き刺してきたホーンラビットを一時無視し、目の前の二匹を強化した爪で攻撃する。


【ホーンラビットの絶命を感知しました。ホーンラビットの絶命を感知しました。個体名『ワンちゃん』は経験値を獲得しました。】


先ほどまで2撃以上が必要だったのがレベルアップ後は一撃で絶命に至るまでになる。そして、先ほど成瀬の右後ろ脚を貫いたホーンラビットに噛みつく……しかし、ステータス上昇の影響で先ほどまで噛みつくだけだったはずがかみついた箇所をそのまま噛み千切ってしまう。すると………


【ホーンラビットの絶命を感知しました。個体名『ワンちゃん』は経験値を獲得しました。レベルが1上昇しました。各種ステータスが上昇しました。】


微かに成瀬の口角が上がる


(『引っ掻く』ッ『噛み砕く』ッ『引っ掻く』ッ『引っ掻く』ッ‼)


1体、2体とホーンラビットは切り刻まれ最後の一体を『引っ掻く』で仕留め切ったところで全てのホーンラビットが絶命したという声が脳内に響き渡った


「わ、ワンちゃん……?」


その声には不安の色が濃く入っていた。それはさながら先ほどまで可愛らしかったはずのペットが獰猛な猛獣になったような。本当にこの子は先ほどまで私の腕の中に居た子なのかと……そんな風に思わせる声。その主の方へ顔を向けると……


「………ッ」


 それは先ほどまでの成瀬を見る目とは違い何か異質なものを見る目だった。しかし、それは仕方がないこと。目の前であれだけ魔物を殺せばそうなるだろ


(こ、これはまずいな……)


先ほどの戦闘の影響で息を荒げながらもまずいと察知した成瀬は背を地面につけ、腹を見せる。所謂服従のポーズというやつだ。そして極めつけは……


クゥゥ~~ン


敵意はありません。と全力で比呂へアピールする。すると……


「プッアハハハハ」


気が抜けたように声をあげて笑い出す


「ごめんね。私……怖かったの。まるでワンちゃんがワンちゃんじゃないみたいな戦いしてたからさ……ごめんね。でも、ありがとう。私を守ってくれて」


そういうと朗らかに笑いながら優しく腹を撫で始める


(く、くすぐったい……でも、よかったぁぁぁぁ。これで距離が出来ればめっちゃ居心地悪いし。何より頑張ったのに褒められないのか悲しいぃぃぃッ)


その様子に成瀬は心底安心するのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ