三角駅から熊本へ ― まだまだ元気な鉄道旅組
五日目の朝。
三角の小さな港町の民宿に、スマホのアラームがいくつも鳴り響いた。
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三角駅から熊本へ ― まだまだ元気な鉄道旅組
「…んぁ〜…もうちょっと…」
布団の中でごろごろするのは、もちろん光子と優子。
「ママ起きてー。三角線、乗り遅れるよ?」
陽翔が光子のスマホを顔の横に置いて、アラーム最大音量。
「…うにゃぁ…ちょ、耳元で鳴らさんね…」
「おかーしゃん、起きて〜!」
彩羽が、光子のほっぺにダイブ。
一方、優子のほうでは――
「ママ、起きて? 電車行くよ?」
結音がやさしく揺らす。
「ゆのんちゃん…あと5分だけ…」
「だーめ。5分言うたら30分寝るやろ?」
灯乃が的確なツッコミを入れつつ、布団をベリッとめくる。
「さっすが年長さん、容赦ないね〜」と拓実が笑い、
祥子と隼も「この一家の朝、エネルギーすご…」と目を丸くしていた。
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三角駅。
海の向こうに小さく島影が浮かび、静かなホームに、ディーゼルカーがコトコトと入ってくる。
「三角線って名前かわいいよね〜。なんか算数の時間みたい」
優子がきょろきょろ駅名標を見回すと、後ろで陽翔が嬉しそうに叫ぶ。
「ママ見て! みさかど、じゃなくて“みすみ”って読むと?」
「そうたい、陽翔。賢かねぇ〜。ママ、漢字テストで負けそう…」
車内では、子どもたちが窓に張り付いて、
海と山が近づいたり離れたりする景色に目を輝かせていた。
「しょうこしゃん、海きれい〜!」
彩羽が身を乗り出すと、祥子が慌てて肩を抱く。
「落ちんごとね〜。でも、ほんときれいよね。走ってきた甲斐あるわ」
隼はそんな祥子の横顔を見ながら、
(フルマラソン・金メダリストが、今は完全に“優しいお姉さん”になっとるな…)
と、ちょっと誇らしい気分で窓の外を眺めていた。
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水前寺公園 ― 音楽一家の“静かな朝練”
熊本駅からバスで移動し、水前寺成趣園へ。
「ここ、ザ・日本庭園って感じね〜」
「しっとりしとってよかやん。たまにはこういう静かなとこ来らないかん」
橋を渡ったり、小さな丘を登ったりしながら散策していると、
陽翔が小声で歌いだす。
「♪ はるのうみ〜…て、ここ海じゃなかけど」
「雰囲気は若干、池のオーケストラって感じやね」
春介が笑い、春海がそれに合わせるように、手でタクトを振る真似をする。
「ほら、ピーチシード★で作った“春の海ドライブソング”のMVここで追加撮影してもいいよね」
優子がスマホを構えると、
穂乃果がいないのに春介がなぜか決め顔になり、結音にツッコまれる。
「春介おじちゃん、誰に向かってキメ顔しよーと?」
「…全国のファンの皆さんに?」
「まだリリース前やろ!」と春海も乗っかり、
静かな庭園に、ちいさな笑いの波が広がった。
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熊本から大牟田へ、そして柳川へ ― “柳川”の駅名標に大興奮
熊本駅に戻り、今度は鹿児島本線で北上。
「次は〜、おおむた〜、おおむた〜」
車内アナウンスが流れると、陽翔が首をかしげる。
「ここから、にしてつっていう でんしゃに乗ると?」
「そうそう。パパたちが昔からお世話になっとる西鉄さんね」
翼が答えると、結音がすかさず尋ねる。
「にしてつって、美味しいと?」
「それはにしてつラーメンとか想像しとるやろ?」
優子のツッコミが炸裂する。
大牟田駅で西鉄電車に乗り換え。
赤い車体がホームに入ってくると、灯乃の目がキラッと光る。
「なんか、オモチャの電車が大きくなったみたいやね!」
「わかる〜」と燈真も大きくうなずく。
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そして――西鉄柳川駅。
ホームに降り立った瞬間、柳川家のテンションが一段階上がった。
「見て見て! 駅名標に“柳川”ってかいとー!!」
優子が指差し、
拓実がニヤニヤしながらポーズを決める。
「俺、この下で写真撮らないかんやろ」
「パパ、どや顔〜」
結音・灯乃・悠翔が、
“柳川”駅名標の下にずらっと並び、家族写真を撮ることに。
「はい、せーのー…」
「柳川ファミリー、ばいーーん!!」
謎の掛け声とともにシャッターが切られ、
隣で見ていた青柳家も「うちもやろうやん!」と騒ぎ出す。
「青柳駅はないけど、便乗ショットいっとこか」
光子が爆笑しながら、
青柳家+子どもたちで“柳川に青柳乱入ショット”も撮影。
「これ、絶対爆笑通信で流すやろ…」と春介がぼそっと言い、
春海が「今夜のネタ、ひとつ確保」とニヤリとするのだった。
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柳川・川下り ― 子どもも大人も“水郷ボートでとろける”
川下りの舟に乗り込むと、
ゆったりとした水面に、空と柳の影が揺れる。
「水の上って、なんか音が柔らかくなるね」
祥子がぽつりと言うと、
隼が「マラソンコースに取り入れたいくらいの癒やしやな」と笑う。
船頭さんが、
柳川の歴史や詩を、博多弁まじりで語ってくれる。
「この辺りはね、昔から水の町で…」
「ねぇねぇ、あそこにカメおる!」
燈真が指をさし、
「ほんとや! およぎよーと!」と陽翔も身を乗り出す。
船頭さんが軽く歌を口ずさむと、
結音が小さな声でハモリ始め、
灯乃も「ららら〜♪」と適当な歌詞で乗ってくる。
「この船、絶対ふつうの観光より音楽濃度高いよね…」と拓実。
「世界でここだけやろね、“勝手に合唱付き川下り”」と優子も肩をすくめた。
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甘木鉄道でローカル線満喫
その後は西鉄で甘木へ、
さらに甘木鉄道に乗り換え、単行ディーゼルカーの旅。
「このガタンゴトンって音、落ち着く〜」
春介が窓に額をくっつけて言うと、春海がニヤッとする。
「このリズムで新曲作れそうじゃない?」
「それな。帰ったら“甘木ラプソディ”とかタイトルつけよか」
車内では、
陽翔と燈真が座席の背もたれをドラム代わりにポコポコ叩き、
悠翔と彩羽は、そのリズムに合わせて謎のダンスを始める。
「ひーちゃん、こっちこっち〜!」
「おにーしゃん、はやい〜!」
車両の一角だけ、完全にダンスホール状態だった。
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鹿島・祐徳稲荷神社 ― 旅の“安全祈願”と、家族それぞれの願い
肥前鹿島で降りると、
駅前には“祐徳稲荷”行きのバス案内が出ている。
「さぁ、ここからはパワースポットツアーやね」
光子が腕を組み、
優子が「旅の安全と、みんなの健康と…あと世界平和」と指折り数える。
階段を上る途中、
大人たちはじわじわ脚にきていたが、
子どもたちは元気いっぱい。
「ママ、はやくはやく〜!」
「待って〜、ママもう太ももパンパン…」
拝殿前。
手を合わせながら、それぞれが胸の中で願いごとを唱える。
陽翔
(パパとママが、これからもいっぱい笑えますように)
結音
(家族も、ファンのみんなも、ずっと笑顔でおれますように)
燈真
(テニスつよくなりたい…あと、もっとギャグうまくなりたい)
灯乃
(お嫁さんになるまで、たくさん爆笑できますように)
悠翔・彩羽
(おにーしゃん、おねえしゃんだいすき。ずっといっしょがいい)
祥子
(もう二度と、あんな暴力で泣く人が増えませんように)
隼
(彼女の隣で、ずっと笑っていられますように)
光子・優子
(うちの家族も、世界じゅうの家族も、
“笑いながら生きていける”世の中になりますように)
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夜の“爆笑通信 in 肥前鹿島”
宿に戻ると、お待ちかねの爆笑通信タイム。
全世界の「爆笑発電所支部」とオンラインでつなぐ。
「はいどーも〜! 九州日本海…じゃなかった、有明海沿いからお届けしてます、爆笑発電所・夏の鉄道旅スペシャル〜!!」
光子がオープニングコール。
「今日はね、柳川駅で“柳川家公式駅名標写真”撮ってきました〜」
優子が写真を画面に出す。
コメント欄は、
《駅名標で家族写真www》
《柳川さん家、公式に駅ジャック》
《青柳ファミリー便乗ショットも出せ!》
などと大盛り上がり。
春介
「そして本日のハイライト、甘木鉄道内“幼児ディスコ”の様子です」
動画が流れると、
悠翔と彩羽の謎ダンスに、
全支部のチャットが「腹筋崩壊」「これスタンプ化しろ」で埋まる。
最後に、光子が締めくくる。
「明日はね、いよいよ長崎方面には行かんけど(笑)、
引き続き“日本の海ぎわ鉄道旅”、
安全運行でまいりまーす!
ほんならみなさん、明日も
笑顔で安全運行、よか一日にしちゃり〜!」
画面の向こうから、
各支部の「はーい!」という声が聞こえてくるような、にぎやかな夜だった。
そのあと、子どもたちは、
一日の疲れと笑いの余韻を抱えたまま、
あっという間に夢の中へ。
――こうして、
日本の海に寄りそう鉄道旅・五日目の夜は、
笑いとささやかな祈りに包まれて、静かに更けていった。




